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事の発端は些細な事だった。 朝俺が寝坊したとか、帰りが遅くなるのに連絡しなかったりとか、 いつもなら喧嘩なんてしないのにたまたまこの日はお互い機嫌が悪くて。
ｋｚ
感情のまま、声を荒げる。 涙で滲んだ視界と脳みそではうまく言葉を 並べることは不可能だ。
K n
ｋｚ
叶の薄い唇が不自然に口角を上げ、ため息が零れた。 細い指先がそのまま髪に通され、かき上げられる。 見たこともない表情と仕草に、胸奥が冷えていく感覚に怯えた。
K n
ｋｚ
ソファーに置かれた荷物をひっつかみ、すぐさまその場を後にする。 見られてしまっていただろうか。 情けなく泣きじゃくりながら横を通り過ぎたのを。 こいつは、俺を見て何を思ったのだろうか。 考えれば考えるほどに キリがなかった。
ｋｚ
ｋｚ
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不在着信
ｋｚ
不在着信
ただただ、ひたすらに電話をかけた。 頭が真っ白で、何も考えられなくなって。 返ってくるのは繰り返すコールだけ。叶の声は聞こえない。
ｋｚ
かなえ、そう嗚咽しても優しく笑う彼はいない。 俺より暖かい掌で頭を撫でられることも、 細い指先で涙を拭ってくれることも。 くーちゃん、ってバニラアイスみたいな声で甘やかしてくれることも。 当たり前だったものが叶わない現実に息が詰まった。
膝を抱えたまま、シャットダウンするように眠りに落ちる。
あれからどれほどの時間が流れただろうか。 元々クラスが離れている葛葉を見かけることはあるが 声を掛けられるほどの勇気が僕にはなかった。 わかってる、別れを切り出したのは僕からだし何度もかかってきた電話に 出なかったのは他でもない僕自身だ。
K n
曖昧な思考を繰り返す頭は使い物にならなくて。 クラスメイトは皆口をそろえて休めと言う。 でも、それでも葛葉が気になって来てしまう辺り本当に重いし 未練タラタラだしで相当狂ってると思う。 葛葉はもう僕を嫌いになってしまっただろうか。 あの日からもう連絡はきていない
モブ
K n
移動教室途中の曲がり角、耳に入った会話はお手本になるほど完璧なナンパ台詞で。あまりにもタイムリー過ぎるそれに意味もなく苛立ってしまう。 僕には全く関係のないことなのに。
？？
…そう、関係ない。 僕が怒る理由も助ける理由も残っていないのに。 …ずるいな、困惑に満ちた赤い瞳が僕を映しているところとか。
K n
気付けば、真っ白で細い腕を掴んでいた。
いつの間にかそこにいた男はいなくなっていて、 叶は俺の手を引いていた。 何週間振りだろうか。前よりも大きく見える背中も、それもこれも 長い間顔を合わせていなかった事実の代償だろうか。気を抜けばまたあの時みたいに泣き出してしまいそうだ。
ｋｚ
K n
そう言って困ったように眉を下げる叶に胸が擽ったくなって、嬉しくて、でも辛くて。 むかつく、嫌い、嘘、好き、好き。 溢れそうで壊れそうな胸が煩くて仕方がない。 別れようって言ってたじゃん 思わせぶり？たらしかよ。
ｋｚ
K n
俺の言葉を遮っては顔を顰め、どこか悲しそうに訴える叶にまた涙が溢れそうになる。 当に、空っぽであったはずなのに。 涙が乾くほど泣いたはずなのに。 こいつの前になると全部が全部狂ってしまう。
ｋｚ
自分で言ってかなり胸に刺さった。 叶はもう元恋人だろうが関係ないのだろうか。こんなに長いようで短い間でも簡単に割り切れるほど、叶にとってはその程度の愛だったのだろうか。 悔しい、いつまでも未練タラタラなのは俺だけ。
K n
ぐい、急に頬を掴まれたと思えば強制的に叶の方に顔を向けられる。 馬鹿、何やってんだこいつ、 抵抗しようとするも、不思議と手に力が入らない。
K n
ｋｚ
どうやら、手遅れだったらしい。 気づかれてしまってはもう我慢なんてできなくて。ぽろぽろと溢れ続ける涙の止め方なんてわからない、今まで誰も教えてくれなかったから。
K n
すり、涙で濡れた頬を叶が撫でる。 何度も何度も謝る彼に胸が痛くなって、下唇を噛む。 やめてくれよ、優しくしないでくれ。 恋だの愛だのを並べる前に、この男は俺の事を理解しすぎている。
ｋｚ
全部全部わかられてしまっている。 その事実に、腹が立った。
K n
ｋｚ
急に抱きしめられたとわかれば、そのまま口付けられる。 優しすぎて、甘すぎるそれは甘党の俺でも重すぎる程で
K n
ｋｚ
K n
K n
あー、無理、 幸せ過ぎて泣きそう、 今日でもう一生分泣いてるわ
K n
ｋｚ
K n
ｋｚ
かわいいねくーちゃん、なんてバニラアイスが溶けた声でほほ笑む叶に むかついて一発殴ろとした、が…
K n
完全にやべえスイッチが入った悪魔がそこにいた。
ｋｚ
そのまま手を握られ、指先が絡められる。 熱い、熱くて壊れそうだ。
K n
ｋｚ
K n
ｋｚ
K n
ｋｚ
なんだかんだ言って叶が好きだとか、実はうれしいとか、 そんなこと絶対言ってやらねえ。
K n
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コメント
16件
もうこれすきすぎてしぬしないた
定期的に読みたくなって何回もきちゃいます 2人の良さが詰まってて最高です
修学旅行の疲れ全部飛びました。 ありがとうございました。（←←←←←え、なんかきm）
