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それは唐突に起こった。
3月某日
私は志望校の入学試験を終え、帰路に着いていた。
花凜
花凜
私は自身の試験結果に自信はなかった。
だって、誰もが憧れる高等学校。
雄英高校ヒーロー科。
自身の努力が報われなかったのかと思い、気を落としていた。
花凜
花凜
私の家は母子家庭だった。
それでもお母さんは私の夢のために私の背中を押してくれた。
お母さんのためにも、落ちるわけにはいかないのに。
花凜
強気握りしめた拳に爪がくい込んで痛かった。
涙を堪えようとする鼻の奥も痛かった。
花凜
花凜
私は自分に言い聞かせるように言った。
そして、私は落ち込んだとき、決まってすることがある。
"それ"を実行するため、私は人気の少ない場所へ向かった。
辿り着いたのは、誰もいない草原。
ただ、そこに咲いている花たちは素晴らしい程に綺麗だった。
花凜
私は花が大好き。
鮮やかで、綺麗で、優しくて。
見ているだけで幸せになれる。
花凜
私は大きく息を吸った。
そして、"個性"を発動した。
その瞬間、私の周りを花びらが渦を巻くようにして覆い始めた。
花凜
花凜
桃色の花びらが宙を舞う。
気づけば、蝶も周りを舞っていた。
こうしているときだけは、辛いことも忘れられた。
大好きな花に囲まれて、心を浄化させて。
次、私の視界を横切ったのは、
とても綺麗な蝶だった。
鮮やかな色合いの、綺麗な蝶。
本当に、とても綺麗だった。
だから、直ぐに気が付けなかった。
蝶より少しだけ向こう側に、
男の人が立っていた。
花凜
凄く焦った。
見られてしまった。
雄英の制服を着ていた。
どうしよう。
だけど、次の瞬間
目があった瞬間。
音が消えた。
彼しか見えなかった。
顔が熱い。
熱くて熱くて、
これ以上彼の前にいられなくて、
その場を逃げてしまった。
花凜
花凜
心臓がとても五月蝿かった。
走ったからじゃない。
私の人生で、最初で最後の
一目惚れだった。