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既読の未来

既読の未来

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3

既読の未来 第3話

♥

160

2021年05月20日

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6月8日 火曜日

08:40 学校 SHR

女子生徒1

ねぇ、未来の自分から届くRINEって知ってる?

女子生徒2

えー、なにそれ?

女子生徒1

なんかね、ある日いきなり

女子生徒1

自分と同じ名前のアカウントからRINEが届くらしいの

女子生徒1

それが、未来の自分からなんだって!

女子生徒2

えーうそ、それヤバくない?

女子生徒1

ヤバいヤバい!

担任

お前たち、静かにしろ

女子生徒の話を遮って、担任が入ってきた。

日直の号令の後、担任が話し始める。

担任

えー…

担任

隣のクラスの、篠原エイジくんが

担任

…………

担任

土曜の夜に、亡くなったそうだ

静まりかえる教室内。

俺の心臓が、どくんと大きく脈打つ。

担任

昨日、警察から連絡があった

担任

なんでも、町外れの廃墟に忍び込んで

担任

足を滑らせて、下に落ちたらしい

担任

それで、頭を打って…

教室が少しずつざわめき出す。

担任

静かにしろ!

担任

お前たちは、絶対にそんな場所に行くんじゃないぞ

担任

後日、警察が事情を聞きに来るかもしれないそうだ

担任

エイジくんと仲の良かったものは、協力するように

担任

その時は必ず教師も付き添うから、安心してほしい

担任

エイジくんの葬儀には、代表で委員長に出てもらう

担任

──以上だ。委員長はちょっと来なさい

ホームルームが終わり、担任が出ていく。

クラス委員長も、戸惑いながらその後を追う。

そして、教室内は途端に騒がしくなった。

ユウヤ

(…もう、死体が見つかった)

ユウヤ

(どうしよう、どうすれば…)

ユウヤ

(…でも、事故死だと思われてる)

ユウヤ

(うまくいった、のか)

ユウヤ

(けど、警察が事情を聞きに…)

ユウヤ

(いや、俺には来るわけがない)

ユウヤ

(何も証拠は残してないはずだ)

ユウヤ

(大丈夫だ…大丈夫…)

マサル

よぉ、ユウヤ

ユウヤ

うわぁっ!

マサル

おわっ!?

マサル

な、なんだよ!

ユウヤ

あ、ああ…マサルか…

ユウヤ

おどかすなよ…

マサル

こっちのセリフだよ!

マサル

でも驚いたな、エイジが死ぬなんてな

ユウヤ

あ、ああ…そうだな

マサル

けど、お前の妄想通りに死んだよな

ユウヤ

え…

マサル

もしかして

マサル

お前がやったのか?

ユウヤ

そ、

ユウヤ

そんなわけないだろ!

マサル

バカ、冗談だって!

マサル

お前にそんなことできるわけねぇよ

ユウヤ

…………

マサル

…大きな声じゃ言えねぇけどよ

マサル

俺、ざまぁみろって思ってんだ

ユウヤ

…………

マサル

どうせみんなも同じように思ってるぜ

マサル

お前もそうだろ?

ユウヤ

ああ…

ユウヤ

うん、まぁ、そうかもな…

教室内は、エイジの話で盛り上がっている。

だが、誰も悲しんではいないようだった。

21:03 ユウヤの部屋

ユウヤ

…………

ユウヤ

(ん?)

ユウヤ

(RINEか…誰だ?)

ユウヤ

『ユウヤ』…?

『ユウヤ』

おい

YU-YA

誰?

『ユウヤ』

お前、○○高校のユウヤか?

YU-YA

そうだけど

『ユウヤ』

今、いくつだ?

YU-YA

16

『ユウヤ』

高校2年か?

YU-YA

うん

『ユウヤ』

今、何月何日だ?

YU-YA

6月8日

『ユウヤ』

高校2年の6月8日、間違いないな?

YU-YA

間違いないよ

『ユウヤ』

信じられない

YU-YA

あのさ、あんた誰?

YU-YA

さっきからなに言ってるの?

『ユウヤ』

『ユウヤ』

俺は

『ユウヤ』

お前だ

YU-YA

は?

『ユウヤ』

俺は、未来のお前なんだよ

…未来の、俺?

そう言えば、クラスの女子がそんな話をしてたな…

信じられるわけがない、けど…

『ユウヤ』

頼む、信じてくれ

YU-YA

YU-YA

じゃあ

『ユウヤ』

じゃあ?

YU-YA

なにか、俺しか知らないことを言ってみろ

YU-YA

本当に未来の俺だったら、なにか言えるだろ

『ユウヤ』

『ユウヤ』

6月5日の、土曜日

『ユウヤ』

町外れの廃墟で

『ユウヤ』

お前

『ユウヤ』

エイジを、殺しただろ?

…こいつ。

なんで、知ってるんだ…!?

YU-YA

YU-YA

なにいってるんだよ

『ユウヤ』

全部知ってる

『ユウヤ』

俺はお前なんだ

『ユウヤ』

俺がエイジを殺したんだからな

『ユウヤ』

あの日、俺は

…そして、『ユウヤ』は。

あの日の俺の犯行を、説明し始めた──

──10分後──

『ユウヤ』

あとは、証拠隠滅だ

『ユウヤ』

ビニールシートと、履いてた古い靴

『ユウヤ』

指紋を残さないためのゴム手袋

『ユウヤ』

髪の毛を落とさないためのニット帽

『ユウヤ』

全部、月曜日の燃えるゴミの日に捨てた

『ユウヤ』

これが、お前が

『ユウヤ』

いや、俺がやったことのすべてだ

『ユウヤ』

信じる気になったか?

YU-YA

YU-YA

信じるしかないだろ

YU-YA

そこまで知ってるんだったら

YU-YA

本当にお前は、未来の俺なんだな

『ユウヤ』

信じてもらえてよかった

『ユウヤ』

なら、本題に入るぞ

YU-YA

本題?

『ユウヤ』

6月19日の土曜日

『ユウヤ』

お前から見たら、11日後か

YU-YA

その日、何かあるのか?

『ユウヤ』

『ユウヤ』

リカが、殺される

『ユウヤ』

そして俺が、その罪を着せられる

『ユウヤ』

それがきっかけでエイジのこともバレて

『ユウヤ』

俺は、連続殺人犯として逮捕された

YU-YA

YU-YA

冗談だろ?

『ユウヤ』

本当だ

『ユウヤ』

だから、お前は

『ユウヤ』

その未来を変えるために

『ユウヤ』

リカを、助けるんだ

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160

コメント

3

ユーザー

面白くなってきたぁ*(ˊᗜˋ*)و

ユーザー
ユーザー

すごい展開になってきたね

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