―…4月

大学に入学し、1週間。

次の講義の授業に向かおうとしている最中だった

そうなんです。

まさかの大学内で迷子っていうね……。

入学して早々でｻﾎﾞﾘなんてしたくなくって

必死で校内をｳﾛｳﾛする。

……どうしよ

焦りすぎて

冷や汗が出そうになる、その時―…

不意に私の後ろからそんな声が聞こえ

ビックリして後ろへ振り向いた。

そこに居たのは見知らぬ男の人。

身長はそれほど高くはなさそうで

肌は男の人だって言うのに色白の肌。

何て声を返したらいいのか分かんなくなり

ｵﾄﾞｵﾄﾞしてたら

その男の人はふふって軽く微笑んで

…優しそうな人だな

――これが初めて出会った時の彼の印象。

その後、私が本当に迷子になってると言ったら

彼はｸｽﾘと一瞬、笑を零しながらも

その教室の場所まできちんと連れてってくれた。

そう言った後

二宮先輩はﾎﾟﾝﾎﾟﾝｯと私の頭を軽く撫で

そう言って来た方向へ逆戻りして

ｽﾀｽﾀと二宮先輩は歩いて行った。

その時は

二宮先輩に触れられた所とかが

いつまでも熱くて

二宮先輩の笑った顔がいつまでも鮮明に頭の中に残っていた。

“二宮先輩”とあの日出会ってから一ヶ月以上が過ぎ

あの日からは1度も二宮先輩とは会えずにいた。

その代わり、といっちゃなんだけど

大学でたまたま講義が同じで

今では1番仲が良い友達とも言える美莉亜とも出会えた。

そんでもって

今日は美莉亜も講義の終わる時間が同じ日だったから

学内にある小さなｶﾌｪで美莉亜と一緒にいた。

あの日、運命的に会えたとも言える二宮先輩との出会えたこと。

ほんとは今でも心の片隅では“いつか会えるんじゃないか”って

根拠もない事を馬鹿みたいに毎日思っていた。

ｱｲｽｸﾘｰﾑ屋はあまり混んでなくて

美莉亜と新商品のｱｲｽを買う

店内で席に座って

美莉亜といつも通り喋りながらｱｲｽを食べる。

美莉亜がふと

そんな言葉を口にする。

美莉亜の指差した方を見れば確かにかなりのｲｹﾒﾝさんがそこに居た。

でも、私はそんなｲｹﾒﾝさんを見ても

今の私の頭の中ではあの日の“二宮先輩”の顔でいっぱい、だ。

次の日

歴史自体嫌いな私は

講義自体も好きじゃない。

しかも、美莉亜とは講義違うし。

そう思いながら歩いてたら

目の前から走ってきた人とぶつかってしまった。

ゆっくりと体を起こすと

ぶつかってきた相手はめっちゃ焦ったような顔をして

って言いながら次々と私に声を投げかける。

って言えば

その人はわかり易いように

心底安心したような顔つきになる。

そう言ってﾆｶｯて白い歯を見せて

太陽のような笑顔でそう言う。

……3年って

“二宮先輩”と同じ学年だ。

ちょっと相葉先輩は悩んだような

そんな表情を浮かべた後

なんて相葉先輩は言ったけど

その時特に嫌でも無かった私はOKすると

って目をまん丸にして

またもや今度はわかり易いくらいの

笑みを浮かべる。

そんな相葉先輩の顔を見て

自然と笑みが溢れる。

そう言った後

相葉先輩はその場で小さな紙切れに何か書いていて

そう言われ渡されたのは

相葉先輩のと思われる連絡先。

そう再び言い直し

ﾀﾀﾀｯて嵐のように去っていった。

男の子の連絡先なんて今までほぼ０に近い数で

とったことなんて無かったから

大学に入ってすぐこんな事ってあるなんて思わなかった。

携帯のｱﾄﾞﾚｽ帳に新たな文字。

“相葉”だから

ｱﾄﾞﾚｽ帳を開くたび真っ先に目に映る名前。

なんかちょっと不思議な感じだな…(笑)