二人は知らないんだ。 咲奇がどれ程凄い女性か。 俺は命を助けてくれた恩人が咲奇だ。

彼女が同じ大学生じゃなかったら今頃、入院かこの世に居なかった

大和は携帯を見つめて固まった

恵美が横から携帯を取り、俺にも見せるように真ん中に置いた。

エスカレーターで人が巻き込まれてるのは写真ではなく、ムービーだった。 大和はその事に驚いていた

下りのエスカレーターを、サラリーマンの男性や、主婦の人が使用してるだけの映像で、特に怪しい所は無いな、と思った時だった

丁度一番下の段に着いた頃、女性が歩こうとしたまさにその瞬間だった。

女性はエスカレーターの下へと巻き込まれ、サラリーマンの人が緊急ボタンを押している

メキメキと骨が砕かれる音が携帯にも伝わってくる

エスカレーターはサラリーマンの人が止めようとボタンを押しても止まらなかったが、巻き込まれた女性の手だけが地上に残されると止まった。

一時間後

ガコン

ｶﾞｺｯ

ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ

言った矢先、大和の足に絡み付く赤いもの。 大和は足元を見つめた。

見えてない大和は、その赤いものに引っ張られていく

悲鳴を上げる恵美の足にも、赤いものが絡み付き、強く引っ張られていく。

二人はエスカレーターの一番上の段で縛られる。

逃げられない恐怖と、ゆっくりと下ってる目の先には、女性が手を出して、ゆっくりと出てきた

ｶﾞｺﾝ

ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ

段差が女性へと近付いた時、女性の手が二人の足を掴み、ニタリと笑った

ｸﾞｼｭｯ！　ﾎﾞｷｯ

先に大和の爪先が引きずりこまれ、やがて恵美の足も引きずりこまれていく。

ｸﾞｼｭｯ！

ﾎﾞｷｯ

ﾒｷｯ

その後、俺と咲奇の周りに現れる透けた人達が、二人を撮り始める。

パシャ📸

パシャパシャ📸

二人はとうとう首もとまで巻き込まれ、苦しさのあまり手を伸ばす。

涙を流す大和と恵美の二人は、咲奇に何かを伝えている。

やがて二人はエスカレーターの中へと飲み込まれていった

二人は咲奇を見ると、化け物を見るような瞳で彼女に恐れた。

大和と恵美の二人は涙を流して頷いた。

一週間後

大和を迎えに行った恵美も遅い為、マンションへと入る

そこにはエスカレーターに手を合わせてる二人の姿が合った。

まだまだ事故は起こるだろう。

でも、だからって撮影や動画は駄目だ。

「仕事に遅れる」と思っても、それはその人達のせいとは限らない。

もしかしたら咲奇みたいに、押されて落ちて、轢かれたという説も・・・