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羽山翔

あの時どうして死ななかったのだろう?

羽山翔

デビットにナイフで切られ死ぬ寸前まで行った

羽山翔

一命をとりとめて、もう忘れてしまいたい過去なのに、また会いに来てしまった

羽山翔

俺は楽しんでいるのか?

羽山翔

正直、自分が自分でわからない…

山本デビット康文

やあ

山本デビット康文

また来たのか?

山本デビット康文

よく生きていたな

羽山翔

一つ確認しておきたいことがあって…

山本デビット康文

ほう?確認?

羽山翔

そう。あなたにどうしても確認しておきたいことがあったんです

山本デビット康文

まぁ、こんなとこにいると暇だからな

山本デビット康文

お前とでも話してると暇つぶしにはちょうどいいよ

羽山翔

早速ですが…今日は妹さんにもお越しいただきました

山本ちなつ

お兄さん久しぶり

山本デビット康文

山本デビット康文

山本デビット康文

話って?

羽山翔

単刀直入に言うと、あなたはなぜ人を殺したのですか?そして俺も殺そうとした

山本デビット康文

ずいぶん面倒な質問だな。それに先に殺そうとしたのはお前だろ?

羽山翔

たしかに…そうですね。でもやっぱり理由が聞きたくて…

山本デビット康文

殺人の理由…

山本デビット康文

いちいち考えていないな…

羽山翔

理由もなく、こんなに多くの人を殺したと言うのですか?

山本デビット康文

うーん?正確に言うと理由なんて一つじゃない

山本デビット康文

遊びや楽しみで人を殺す狂ったやつも世の中にはいるが、多分俺はそれとも違うと思う

羽山翔

はあ…

山本デビット康文

その時その時、俺が殺した奴らには、消えてもらいたい理由があった

羽山翔

消えてもらいたい?

山本デビット康文

そう

山本デビット康文

存在自体が消えれば別に殺さなくても良かったし、無駄な罪を重ねなくても良かった

山本ちなつ

じゃあお父さんとお母さんは?

山本デビット康文

ああ

山本デビット康文

お前にとってはなんの記憶もないだろう

山本デビット康文

俺が殺した奴らの中で唯一「憎しみ」に近い感情で殺したのは父親だった

山本デビット康文

母親への暴力も目に余るものがあったし

山本デビット康文

何より

山本デビット康文

邪魔だった…

羽山翔

憎しみを持ってお父様を殺害…

羽山翔

それなのにお母様も…

山本デビット康文

いろんな心理学者が俺の行動心理を探って質問してくるが、どれもこれも的外れだった

山本デビット康文

俺は自分以外に興味がない

山本デビット康文

生きていようが、死んでいようが、病気だろうが、元気であろうが、俺には関係ない

山本デビット康文

目の前の人間が俺にとって邪魔かどうかの判断基準で消えてもらうかを決めるだけ

山本ちなつ

じゃあ私は?

山本ちなつ

なんで私を殺さなかったの?

山本ちなつ

幼い私は邪魔者でしかないはず

山本ちなつ

両親がいなくなった後の私は単なるお荷物でしかなかったのに…

山本デビット康文

たしかにな…

山本デビット康文

でも

山本デビット康文

利用できるかどうかなんだよ

山本デビット康文

幼い俺が赤ちゃんのお前と一緒に

山本デビット康文

生き残って頑張って生きていくってストーリーがその後の俺には必要だと思えた

山本デビット康文

そうじゃなければ、いとも簡単にお前を殺していただろうな

山本ちなつ

うん…そう思う

山本ちなつ

私への愛は?妹への愛は?

山本デビット康文

悪いが、そんなのは全くない

山本デビット康文

愛なんて気持ちが俺の判断を鈍らせるのだとしたら、それは邪魔なだけ

山本ちなつ

そう…でも私は…

山本デビット康文

それ以上は言わない方がいい

山本ちなつ

でも

山本デビット康文

お前が俺に抱いている感情は…

山本デビット康文

邪魔なだけ

山本ちなつ

邪魔…

羽山翔

ちなつさんはまだ…

山本ちなつ

羽山翔

僕があなたを愛してると伝えても?

山本ちなつ

あなたはデビットに殺されかけて、私への愛を告白したつもりでも、わたしには響かない

山本ちなつ

愛なんて邪魔なだけ…でしょ?

山本デビット康文

そうだな…

山本デビット康文

羽山…

山本デビット康文

せっかく生き残ったのなら

山本デビット康文

俺たちに関わるな!

山本デビット康文

俺にもちなつにも

山本ちなつ

そうね

山本ちなつ

羽山さんもこちら側の人間だけど、近づきすぎると傷つけ合うだけ

山本ちなつ

もう

山本ちなつ

近づかないで

山本デビット康文

その方がいい

羽山翔

そうかもな

羽山翔

これで最後にしよう

二人に挨拶もなく部屋を出た翔は静かに、そして顔には薄っすらと笑みを浮かべて夜の街に消えて行った

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