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マッチ売りの少女と謎の声

マッチ売りの少女と謎の声

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マッチ売りの少女と謎の声 第1話

♥

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2018年11月17日

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大晦日の夜

昔々、あるところにマッチ売りの少女がいました

少女の家はとても貧しく...

エマの父

エマ~!酒が切れちまったぞ!

エマ

し、知らないわよ

エマ

自分で買ってきたらいいじゃない

エマの父

そんなこと言うなよエマぁ~

エマの父

俺のかわいい娘じゃないか~

エマ

(私はあんたを)

エマ

(父さんだと思ったことはないけどね)

エマ

エマ

またマッチを売りに行けって?

エマの父

貧しいうちの家計を支えるのは

エマの父

お前しかいないんだ!

エマ

(あんたが働きなさいよ)

エマ

(朝から晩まで飲んだくれて...)

エマ

わかったわよ

エマの父

優しいなぁ~!俺の娘は~!

エマの父

いいか?

エマの父

全部売れるまで、帰ってくるなよ?

エマ

(ジーザス...)

エマ

(あー寒い...)

エマ

(雪もちらつてるし...)

エマ

(なんで私は大晦日の夜に)

エマ

(マッチを売りに来てるんだろ)

エマ

(……ダメな父親のせいだけどさ)

エマ

あーあ!

エマ

この雪が全部お金だったらいいのに!

エマ

……あの街灯…

エマ

なんだか幻想的...

エマ

(寒いのは苦手だけど)

エマ

(こういう雰囲気は嫌いじゃない)

エマ

~♪

通行人3

ねぇねぇ、おかあさん!

通行人2

なぁに、坊や

通行人3

ぼく、ケーキたべたい!

通行人2

それじゃあ、買って帰りましょうね

通行人3

やったぁ!

エマ

エマ

おかあさん、か...

エマ

(私も幼い頃は、母さんがいた)

エマ

(ダメ夫に愛想を尽かして出ていってしまったけれど)

エマ

(あの頃はまだ幸せだったな...)

エマ

エマ

(あ、大通りに着いた)

エマ

人通りがあるし

エマ

この辺りでいいかな

エマ

...はぁ

エマ

全部売り切るまで帰ってくるな

エマ

って言われてもな...

エマ

(本当はマッチ売りなんてやりたくない)

エマ

でもやるしかないのよ、...

エマ

...あ、あのぅ

通行人1

なんだ?なんか用か?

エマ

あ、あの、その...

エマ

えっと...すみません...

通行人1

こっちは急いでんだ

通行人1

用がねぇなら話しかけてくんな!

エマ

す、すいませんでした...っ!

エマ

はぁ、怖かった

エマ

いきなり怒んなくたっていいじゃない

エマ

心の狭い人だな

エマ

気を取り直してもう一度...

エマ

あ、あの!マッチは...

通行人2

ちょっとどいてくださるかしら

エマ

あ、はい...

通行人1

もっと端に寄らんかい!

エマ

すみません...

エマ

どうしよう

エマ

全然売れない

エマ

それどころか、話も聞いてもらえないなんて

エマ

これじゃ、売り切るなんて絶対に無理だ

エマ

(極端に人見知りな私には)

エマ

(マッチ売りなんて無理だよ...)

エマ

(もうやだ)

エマ

(人生リタイアしたい)

エマ

ちょっと休憩しよう

エマ

そこの家と家の間だったら

エマ

風が入って来なさそうだし

エマ

うーん

エマ

やっぱり寒い

エマ

(でもまぁ、人がいないから落ち着くや)

エマ

(しゃがめばちょっと暖かいし)

エマ

(...みじめだけど)

エマ

それにしても、今日は全然売れないな

エマ

(いや...いつも売れないか)

エマ

(みんな私を避けて行くし)

エマ

(私からマッチを買いたい人なんて)

エマ

(きっと世界にひとりもいないよ)

エマ

はぁ...

エマ

(寒すぎて心が荒んできた)

エマ

(たくさん売れ残ってるし)

エマ

(マッチに火をつけて暖まろう…)

―シュッ

エマ

あぁ、あったかい

エマ

(まるでストーブにあたっているみたい)

―フッ

エマ

消えちゃった...

エマ

もう一回

―シュッ

エマ

...っ!

エマ

ま、眩し...

エマ

えっ!?へ、部屋の中!?

エマ

テーブルに、ガチョウの丸焼き!

エマ

すごいご馳走がならんでる!

エマ

なにこれ、夢!?

―フッ

エマ

...夢だったー

エマ

そりゃそうよね

エマ

マッチを擦ったら瞬間移動なんて

エマ

どこの魔法少女かって話よ

エマ

でも、夢でもいい

エマ

いでよ、ガチョウの丸焼き!

―シュッ

エマ

今度は、フルコース料理!?

エマ

食べたい!今すぐ食べたい!

エマ

消える前に、早く...!

エマ

...あっ!?

エマ

待って、行かないで...!

エマ

スープが...ケーキが...丸焼きが...

エマ

全部...宙に浮いていっちゃう...!

エマ

待って!

エマ

私も連れてってー!

おーい!

ちょっと待ったー!!

エマ

えっ!?

キミね!

今、天に召されるところだったよ!

エマ

だ、誰?

エマ

(この声、どこから聞こえてるの)

エマ

周りには、誰もいない...

エマ

まさか、空腹のあまりに幻聴が…?

エマ

私もいよいよね...

幻聴ではないよ

キミの脳内に、直接語りかけています

エマ

エマ

いやぁぁぁ!

エマ

幻聴のほうがマシだわ!!

えええひどいじゃないか!

はじめましてなのに!

エマ

あなた、一体何者なの...?

エマ

悪魔...?それとも死神...?

もしかしたら天使かも!

という発想はないのかい

エマ

そんな楽天的なわけないじゃない

エマ

呑んだくれのダメ親に依存される、この私が!

ごめんなさい

エマ

わかってくれて嬉しいわ

サカタ

僕の名前はサカタ

サカタ

初めまして、エマ

サカタ

僕は、キミをどうしても助けたくて

サカタ

声をかけたんだ

エマ

助ける?

エマ

見ず知らずの私を?

サカタ

選ばれたんだ!って喜んでよ

エマ

胡散臭すぎるわ

サカタ

容赦ないなあ

エマ

だいたい、声だけのあなたが

エマ

どうやって私を助けてくれるの?

サカタ

ちゃんと策を考えてます

エマ

...?

サカタ

キミが持っているカゴを

サカタ

覗いてごらんよ

エマ

ここには売れ残ったマッチしか...

エマ

え?

エマ

なにこれ

エマ

変な棒が入ってる

エマ

マッチはどこ!?

エマ

いつの間に中身がすり替わったの!?

サカタ

そこはあんまり気にしないで

エマ

めちゃめちゃ気にするわよ!

サカタ

じゃあ奇跡ってことにしといて

サカタ

説明するの面倒だから

エマ

適当!

エマ

っていうか、面倒って!?

サカタ

いいかい、エマ

サカタ

キミが気にするべきところは、そこじゃない

サカタ

マッチが別の物にすり替わったなんて

サカタ

些細なことなんだよ

エマ

(全然些細じゃないけど...)

エマ

...わかったわ

エマ

話を続けて

サカタ

それは、着火棒っていう物なんだ

エマ

ちゃっかぼう?

サカタ

簡単に説明すると

サカタ

マッチの進化版ってところかな

サカタ

使い方も非常に簡単

サカタ

そのレバーをカチッと押すだけ!

エマ

これね

―カチ

―ボオッ!

エマ

きゃあっ!?

サカタ

あ、気を付けてねー

サカタ

火の勢い、結構強いから

エマ

先に言ってよ!

エマ

あーびっくりした...

エマ

...まぁでも

エマ

簡単に火がつけられるし

エマ

火力が強いのは便利だわ

サカタ

素晴らしき、文明の利器さ

エマ

ぶんめいのりき?

サカタ

キミに一つ、提案があるんだ

エマ

提案って?

サカタ

これからこれを売って

サカタ

がっぽりお金を稼ごう!

エマ

...は?

エマ

ええ!?

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