主
黒い薔薇。愛が重いと言われても、僕はあの子にこの花を渡さないといけないんだ。 それが僕の使命。 𓋪𓈒◌𓂃🥀𓈒𓂂𓏸 「好きです―――!」 そう、自分からの告白で―――。この物語は始まった。 「……ごめんなさい。私、他に好きな人がいるの」 主人公は不幸で惨めな―――僕だ。 𓋪𓈒◌𓂃🥀𓈒𓂂𓏸 その子を好きになった理由は「可愛いから」とかじゃない。 ただ……優しくしてくれた。 他の人にもそんな対応をしているのは、勿論知っていた。 だから、「早く自分のモノにしないと」と思って、告白したんだ。 ―――無理だった。またダメだった。 あの子でも、ミオでも、レアでも、サナでも、アリサでも―――。 何故、僕はこんなにも嫌がられる? 何故、僕は失敗する? 何故、僕は受け入れてもらえない? 僕が……キモチワルイ、から? 僕が僕を嫌いになる。 ―――そんなときに、思いついたんだ。花を送ろうって。 そしたら……きっとこの思いも伝わるだろうって。 そう思って、いいカンジの花言葉を調べた。 「黒い、薔薇……?」 黒い薔薇の花言葉。「永遠の愛」、「決して滅びることのない愛」、「貴方はあくまで私のもの」―――。 ぴったりだった。僕の思いと。 だから、すぐに買ってきた。そして、すぐにあの子の靴箱に入れたんだ。 そしたらどうなったと思う? 朝に自分の靴箱に、コリウスの花が入っていたんだ。 きっとあの子の気持ちがこの花に詰まっているんだ……。そう思って花言葉を調べた。 コリウスの花言葉は……「叶わぬ恋」、「健康」。「叶わぬ恋」ですぐに分かった。僕の思いは伝わっていないのだと。 だから、その後も何度も何度も何度も何度も……。黒い薔薇を入れたんだ。 それでも戻ってくるのは……いつも、コリウスの花。 𓋪𓈒◌𓂃🥀𓈒𓂂𓏸 そんな生活が二ヶ月以上続いたとき。 ……あの子に彼氏ができた。 何故自分ではダメだったのか。……何がダメだった? もしかして、告白した後だから気まずいとか―――? やり直せないって思ってるんだ。きっとそうだよ。違いない。 あの子は素直じゃない、そう思った。 既に自分が壊れているのにも気づいてた。……でも、そんなことはどうでもよかった。 𓋪𓈒◌𓂃🥀𓈒𓂂𓏸 あの子の彼氏の靴箱には、ネガティブな花言葉もある黄色い薔薇を入れておいた。 ―――そして、あの子の家にナイフを持って行った。
コメント
22件
びっくりだ!
黄色の薔薇の花言葉……『嫉妬』 ( ¯꒳¯ )フムフム