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ねぇ、熊が私のお腹を食べてる -惨劇、再び-

ねぇ、熊が私のお腹を食べてる -惨劇、再び-

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ねぇ、熊が私のお腹を食べてる -惨劇、再び- 第1話 惨劇

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2020年09月04日

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北海道**村。

田村

ほーら、餌だぞー

子グマ

クークー

エイコ

可愛いー!

子グマ

ムシャムシャ…

田村

おーおー、美味いか!

エイコ

ホント可愛いねー

エイコ

でも、大丈夫かな?

田村

何が?

エイコ

野生動物に餌付けしちゃいけないんでしょ?

エイコ

前にテレビでやってたよ

田村

まあ、良くはないだろうな

田村

でも俺たちは観光客だし、関係ねぇさ

田村

それにな、ここだけの話──

2人が雑談しながら子グマとたわむれていたとき。

ガサガサ…

子グマ

クークー!

田村

ん?

エイコ

えっ

クマ

グルルル…

茂みの中から現れたのは、巨大なヒグマだった。

田村

う、嘘だろ…!

エイコ

きゃああああ!

田村

バカ、大声を上げるな!

エイコは取り乱し、背を向けて逃げだした。

その瞬間、クマはエイコを追いかけていった。

巨体に見合わぬ素早さで、 エイコはあっさり追いつかれてしまう。

クマ

ガアアアッ

クマはその太い腕で、エイコを引き倒す。

エイコ

ぎゃあああ!

エイコ

い、イダイ、いたい!

田村

あ、ああ…

田村

すまん、エイコ!

田村はエイコを見捨てて逃げだした。

エイコ

ま、マッデ…

エイコ

いが、ないで…

クマは、動くものや、背を向けて逃げるものを追う習性がある。

田村

なっ!

クマはエイコを放置し、田村を追い始めた。

田村

こ、こっち来んな!

しかし、クマは人間よりもはるかに素速い。

逃げ切れるわけがなかった。

クマ

ガアアアッ

田村

ぎっ…!

クマの圧倒的な力に押し倒される。

田村

ぐっ…

田村

これでもくらえ!

田村は、キャンプのために用意していたナイフでクマの顔を突いた。

しかし、堅い毛皮に阻まれ、深くは刺さらなかった。

むしろ、クマを激怒させてしまう。

クマ

グアアア!

グシャ

田村

……っ!

クマの振り下ろした鋭い爪は、田村の顔面を切り裂いた。

田村は、一瞬のうちに絶命した。

クマ

ガリ、ミチ…

子グマ

クチャ、クチャ

田村は、痛みを感じる間もなく死んだ。

それはある意味、幸運だったかもしれない。

エイコ

あ、あ…

エイコ

も…やめ…

エイコは、意識を保ったまま身体を喰われていた。

エイコ

た…ない、で…

腕、腹、足……。

エイコの身体は、次々と喰われていった。そして──

エイコ

あ…

クマが、大きな口を開けて迫ってくる。

クマ

ガブッ、ミチィ

エイコの顔面がかじられ、目、鼻、口などがむしり取られてしまう。

エイコは身体を大きく痙攣させた後、やっと意識を手放した。

惨劇から数日後。

**村では、別のクマ被害が起こっていた。

後藤

森久保くんは悪くない!

後藤

あの状況では、仕方なかったんだ

森久保

…………

森久保と後藤は、地元の猟友会に所属している。

猟友会とは、野生鳥獣の保護、狩猟の管理、

そして有害鳥獣の駆除などを主な事業としている。

後藤

動画配信者が無闇にクマに近づき

後藤

挑発したのが悪いんだ

後藤

そのせいでクマは興奮し

後藤

森久保くんが発砲せざるをえない状況にした

森久保

でも、結局それが問題になってしまいました…

森久保

実際、多くの人が批判しています

森久保

その動画のコメント欄、見ましたか?

後藤

いや、そういうのには疎くて…

『クマを殺すな』

『人が近くにいるのに発砲するなんてどうかしてる』

『なぜ麻酔銃で対処しなかったのか』

森久保

そんなコメントで埋め尽くされていました

後藤

知識のない人間の言葉なんて気にするな

後藤

それがどれだけ無理難題か

後藤

部外者は知らないからな

後藤

甘い対応をし続けて

後藤

死人が出たら、それこそ最悪だ

後藤

誰が何と言おうと、森久保くんは間違っていない

森久保

ありがとうございます…

後藤

それよりも今は

後藤

先日の『観光客失踪事件』のほうを気にしたほうがいい

森久保

村外れで男女2人が、観光中に謎の失踪、でしたよね

後藤

クマに襲われた可能性が高いみたいだし…

森久保

まずいですよね…

森久保

クマは、人間の味を覚えてしまうと

森久保

何度も人を襲うようになりますから…

その日の夜。

クマ

グルルル

子グマ

クークー

観光客を喰ったクマたちは、

新たな獲物を求めて村に向かっていた。

ねぇ、熊が私のお腹を食べてる -惨劇、再び-

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