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教室に入る前に、表情を作る。天乃には素を出してしまったので、そのままでいいが、クラスの前では優秀なニンゲンでなきゃならない。
天乃が勢いよく扉を開ける。
天乃
らっだぁ
担任
担任
天乃
天乃は何かを言おうとするが俺の口止めのせいで言えず、担任に言われっぱなしになっている。
らっだぁ
担任
ほぼ嘘は着いていない。
天乃
天乃も空気を読んでくれた。
担任
らっだぁ
作り笑いを浮かべ、返事をする。もうこれが本当の笑顔なんじゃないかって、錯覚するくらい作ってきた笑顔だ。
担任
天乃
担任
自己紹介…紹介するような事もなんも無いんだけどな…
らっだぁ
らっだぁ
らっだぁ
らっだぁ
らっだぁ
最後にもう一度笑みを浮かべる。模範的だっただろうし、これで溶けそうになって休んでも持病って言い訳できる。
クラス
担任
らっだぁ
冷房の下というのは配慮なのだろうが、どちらにしろ窓側の席だと日光が熱いと思うのだが…
天乃
嬉しそうに小声で声をかけてくる。嬉しそうに、というのは俺の思い込みかもしれない…。 ……内心喜んでいるのは俺の方か……?
らっだぁ
別に出会って数時間しか経っていない様な仲なのに、何故 嬉しい と思ったんだ? …解らない、わからないワカラナイ… ……こんなの習ってないから わからない よ。
担任
丁度いいタイミングで担任が話しだす。これ以上考えても無駄だし、考えたくもない。
担任
担任
らっだぁ
気持ちがわかるようで分からない。これまで何をしてでも生に固執してきたのに、何もしなくても生きられるようなヤツらが生を捨てるのは腹立つ気もする。
でも、かと言って もうこれならくたばってしまいたい という気持ちも分かる。
らっだぁ
担任
プリントが前から後ろへと配られる。隣の天乃はぼけーっとしていて、プリントが配られたのすら気づいて無さそうだ。
担任
3時間目が終わった。
俺は生き物の体液以外に養分を摂取する必要が無いので、昼飯は食べない。怪しまれるかもしれないが、昼飯くらい抜くやつは居るだろう。
暇なので、苦手な国語の参考書を出す。
生徒
らっだぁ
生徒
生徒
生徒
らっだぁ
らっだぁ
愛想良く接する。
生徒
らっだぁ
らっだぁ
生徒
らっだぁ
そう思っていたのもつかの間、他の生徒も続々と押し寄せてくる。
生徒
らっだぁ
らっだぁ
生徒
らっだぁ
らっだぁ
生徒
生徒
生徒
らっだぁ
らっだぁ
らっだぁ
目が合った。察してくれるだろうか…
天乃
らっだぁ
周りが静まってなんとも言えない空気になる。
らっだぁ
らっだぁ
天乃
天乃は片手に風呂敷を、もう片手で俺の手を掴んで廊下を歩きながら話しかけてくる。
らっだぁ
天乃
らっだぁ
らっだぁ
天乃
らっだぁ
ニンゲンの食べ物は味がしない。せめて 美味しかった なら食べてたかもな…
天乃
らっだぁ
らっだぁ
天乃
らっだぁ
らっだぁ
当たり前だが、朝より暑い。精々20分くらいしか持たないかもしれない。
らっだぁ
天乃
らっだぁ
天乃
らっだぁ
天乃
天乃
そう言うと、天乃は地面にあぐらをかいて座った。あぐらなのに姿勢がいい。
そして、先程持っていた風呂敷を開けて弁当箱をだして開けた。今朝のゴタゴタのせいか、米は少しズレてしまっているが、綺麗な弁当だ。
焼き色が綺麗に着いた整った卵焼きに、ブロッコリー、野菜炒め……バランスも良い。親に作ってもらったのだろうか、明らかにそこら辺の弁当よりは美味しそうだ。…味は分からないが。
天乃
少し残念そうに弁当を見ている。この出来栄えでもダメなのか…?贅沢だな…
天乃
らっだぁ
天乃
天乃
元気にいただきますをして、美味しそうに食べる。見ていて面白いし、心地がいい。
らっだぁ
天乃もこちらを見てくる。どうしたんだろう。
天乃
らっだぁ
らっだぁ
天乃
らっだぁ
天乃
らっだぁ
いきなり勢いよく卵焼きを口の中に入れてくる。間違えて口を箸で刺されそうだ。
どうせ味なんかしないのに――
らっだぁ
天乃
らっだぁ
味が、する。
どうして?ニンゲンの食べ物は味がしないはず、なのに、なんの変哲もない、美味しそうな弁当の、卵焼きで味を知るなんて… ……今朝出された卵焼きは味がしなかったのに。
天乃
先程の不安そうな表情と一転し、安心した表情に変わったが、どこか焦りを感じる。
らっだぁ
らっだぁ
リアクションから推測して、まさかとは思うが聞いてみる。
天乃
さも当然かのように返事をしてくる。
らっだぁ
どう表せばいいか分からない。上手いとか、そういう問題じゃない。
天乃
らっだぁ
天乃
そうして笑顔を向けてくる。喜んでくれたみたいだ。言葉選びは大丈夫だったらしい。
天乃
らっだぁ
らっだぁ
天乃
急に何を言い出したかと思えば、無理やり話を決めてくる。これ以上貸しは作りたくないのに…
らっだぁ
らっだぁ
そう思い、少し嬉しくなる。
らっだぁ
らっだぁ
自然と口角が上がって、ついには声まで漏れていたことは、その時の俺は知る由もなかった。