昔昔、あるところに

ロワーナとダニエルという2人の男女がいました

その2人は国王の娘と息子

つまり、姫と王子でした

身内同士の2人ですが、血は繋がっていません

父・シャリフ国王は2度結婚をしているからです

1度目の結婚で産まれたのがダニエル

2度目の結婚で産まれたのがロワーナでした

歳はそこまで変わらず、2歳違いだったため

2人はすぐに打ち解けました

それも、仲が良すぎる程に

にこやかにそう話す父

…いや、国王

僕たち家族は周りとは少し違う

でも同じ「家族」だ

妹 ロワーナ

腹違いの妹

リボンでハーフアップをした金髪の髪が可愛らしい

そしてもう1つ

他の家族とは違うところがある

バタン…

2人は同時にソファーへ倒れ込む

他の家族と違うところ

それは

兄妹同士で恋愛感情を持っているということ

今は隠れて愛し合っている身

父親…国王の前でも正々堂々と愛し合える

そんな風になりたかった

…もちろん

ずっと知られずに愛し合えるはずがない

僕たちの関係は知られてしまった

召使いに見られてしまったのだ

僕たちの関係を一気に否定された気がした

翌日の朝に城を出ろと

住む場所の説明とともにそう言い渡された

その日の夜

僕たちは秘密で会った

バレてはまずいため

秘密で会って

僕の部屋で、夜を明かすことにした

ロワーナと会えなくなるのは

何とも言えない寂しさがあった

そう言われて確信した

差し出したのは

毒入りのワイン

そうして僕たちは夜を過ごした

最期の彼女の表情は

普段よりもさらに美しかった

1度寝て、また起きた

辺りは真っ暗だ

隣には愛する妹の死骸

冷たくなった頬は彼女の死を物語っていた

最初からワインに毒など入ってはいなかった

彼女が飲むものだけに毒を入れていた

最初から死ぬつもりなんてなかった

彼女が僕を愛しているか

それを知れれば十分だったんだ

愛する人を失うのは

虚しくもあり、悲しい

だが彼女が僕に命を捧げてくれて

不思議と嬉しさも混じっていた

離れ離れになっても愛し合える

それが僕たちの、愛の形

これが僕たちのストーリーの結末だ

こんな終わり方のストーリーの方が

僕は好きだ