弟の恵はあまり自炊をしない。
高専生になって寮生活になった現在、
気付けばコンビニとかで済ませて、
栄養バランスが悪くなっていたりする。
私の実の姉で恵の血の繋がらない姉の津美紀がいた時は、
食事作りや洗濯諸々やってくれていたけど、
寝たきりになった今は私のお節介で、
自室に恵を連れて夕飯を振る舞うこともしばしば。
今日も恵が私の部屋に来て、一緒に食事する。
でも最近は任務続きだったから久々だ。
伏黒〇〇
どうぞ〜
伏黒恵
ん
なんか久しぶりだといやに緊張する。
自分の部屋に恵がいるってだけの話なのに。
もう少し片付けておくべきだったかな、なんて。
伏黒〇〇
( お皿お皿っと、 )
伏黒〇〇
わっ!
ガシャン!!
戸棚からお皿を出そうとしたら、
滑って割ってしまった。
伏黒〇〇
( あちゃ〜 )
伏黒〇〇
痛っ!
伏黒恵
おい、すごい音したけど…
伏黒〇〇
あぁ、お皿割っちゃって
伏黒〇〇
大丈夫大丈夫
伏黒恵
!、怪我してるだろ
「見せろ」って私の手を取る恵。
切った指からは血がドクドクと出ていて、
恵が絆創膏を貼ってくれた。
手と手が触れ合うと分かる大きさの違い。
下を向いて伏せられた目の、睫毛の長さ。
全てにドキドキしてしまって、顔が熱くなる。
恵の耳が赤いのは、気付かないふり。