万屋物語

第10話

第5話　変化

2023年11月16日

#utit

#nmmn

#mfmf

#96tk

縁（エニシ）🍁✒️

夏芽

〜♪

真冬

…何かいい事でもありましたか？

夏芽

実は、この前真冬さんの言ってた『天月さん』をフォローしたんですけど…

夏芽

最近少しだけメールとかでやり取りしてて、それがめっちゃ楽しくて…！

真冬

そうですか…！良かったです！

真冬さんは、まるで自分のことみたいにかなり喜んでいた

真冬

もしかして、以前言っていたコラボとかもいずれする予定なのですか？

夏芽

（"コラボ"……）

夏芽

……うーん…

真冬

……どうしましたか？

夏芽

あっ、いやちょっと……

真冬

…無理にとは言いませんが、何でも気軽に話してください

夏芽

…！

夏芽

…ちょっと、今躊躇ってて

夏芽

見てみたら、意外と男女のコラボって少ないみたいで…

夏芽

やっぱり炎上とか、そういうのあるんかなって思っちゃって

真冬

………

夏芽

できるだけ男の人に近い歌声にしようかなとかも考えたんですけど、それだとなんか騙しちゃってるみたいになるし…

夏芽

…自分の声でいいんかな

真冬

…？

夏芽

ネット活動も歌い手も、自分の声を発信したくて始めたのに

夏芽

こんなことばっか考えちゃって…

夏芽

……すいません、暗い話して

真冬

いえ、大丈夫ですよ

真冬

……少し、お話に付き合っていただけますか？

夏芽

え？はい……

真冬

ありがとうございます…

そう言った真冬さんは、一息ついたあといつもよりやわらかい笑顔で話した

真冬

昔、ちょっとした能力を使える少年がいました

夏芽

…能力…？

真冬

ちょっとしたお伽話と思って聞いてください

夏芽

…？

真冬

その力はとても不思議なもので、自分のために使うこともできれば他人に使うことも可能でした

真冬

ですが父の言いつけを守っていた少年は、その能力を他人には見せずに生活していました

真冬

そしてある日少年は、孤児だった子どもと出会います

真冬

その子どもは大人たちに酷い扱いを受けて、もう少しで殺されてしまうところでした

真冬

ですがその時、少年は初めて外でその力を使い子どもを救い出しました

真冬

自分の力を悪用される事を嫌に思い、その力を隠して生きてきた少年は初めて能力を人前に現したのです

真冬

結果子どもは助かり、少年の力で人が救われた…

真冬

まあ、少し短いですがこんな話です

夏芽

………

話の内容から、これは多分誰かが作ったお伽話だと思う

でも、真冬さんはその話をとても詳しく話していた

まるで、自分がそこでその現場を見てきたみたいに…

夏芽

（いやいや、超能力とかあるかもわからんし、そんなわけ……）

夏芽

その話、なんで今ここで…？

真冬

この少年と夏芽さん、よく似ていますよね

真冬

だって、『生まれ持ったものを使って人の役に立っている』のですから

夏芽

え…？

真冬

ボクは、声も能力のようなものだと思っているんです

真冬

その声を持って生まれてきて、それは他の人と全く同じじゃなくて…

真冬

でもそれは使い方をうまく理解できれば、人の役に立つことができる

夏芽

人の役……

真冬

この話の少年は、子どもを救いたいという"願い"からこの能力を使った

真冬

そして夏芽さんは、自分の好きなことをしていきたいという"願い"があってこの活動を始めた

夏芽

…！！

真冬

そして、結果的にうまく行っている

真冬

"自分の生まれ持った力を使っただけ"なんですから、きっと上手くいきますよ

夏芽

（あ、そっか…）

夏芽

（歌声とか、全部変えなくてもいいんだ）

夏芽

…ちょっと、待っててください！

真冬

？　はい…

夏芽

…よし！！

真冬

ど、どうしました…？

夏芽

今、天月さんにコラボのお誘いをしました！

真冬

…！

真冬

急、ですね…

夏芽

わし真冬さんの言ってたこと聞いて、確かにって思ったんです

夏芽

自分の生まれ持った声なんだから、変えなくても悪いことじゃないって！

夏芽

だからその気が変わらんうちに、お誘いしました！

真冬

………

真冬さんは珍しく驚いた顔をした後、すぐに笑っていた

真冬

やっぱり、夏芽さんは強いですね

夏芽

え、そうですか？

真冬

ふふっ…それで、お返事は来たのですか？

夏芽

えぇっと、既読はついてて…

夏芽

……あ、来た！

『はい！ぜひお願いします！』

夏芽

っ…！

真冬

よかったですね！おめでとうございます夏芽さん

夏芽

あ、ありがとうございます…

夏芽

（そっか、こんなに嬉しいんや……）

真冬

…願い事、叶えられて良かったです

真冬

これにて、ボクの仕事は終わりです

夏芽

あ、そっか…

夏芽

（『歌い手仲間を探す』って願い事だから、もう真冬さんとも…）

真冬

今後の活動、ボクも応援していますね

夏芽

っはい！ありがとうございました！

夏芽

…あの、真冬さん

万屋を出る前、もう一度振り返って真冬さんに気になっていた事を聞いた

夏芽

さっき話してた『超能力を使える少年』って、どうなったんですか？

単なるお伽話には聞こえなかったさっきの話の続きがどんなものなのか、気になっていたのだ

真冬

…命を落としてしまいました、その能力を狙われてしまって

夏芽

そんな展開なんや……

真冬

…まあ、夏芽さんはこうならないとボクは確実に思っているので安心してください！

夏芽

はい、じゃあまたどっかで会えたら！

真冬

…！

真冬

…はい、また

あれから1週間経って、わしと天月さんはコラボに向けて動き出していた

でもお互い学生なこともあって、ちょっとずつだけど

あれっ夏芽！今日も来てくれたの？

夏芽

うん、またしっかり通ってみよ思って…

そっか…！夏芽、最近はかなり嬉しそうだしほんとによかったよ〜

夏芽

あ、そうや！今日わし先生に用事頼まれてた！

そうなの？いってらっしゃい夏芽！

夏芽

おん！いってくる〜

廊下を歩きながら、この前の出来事を思い返す

夏芽

（不思議な人やったなぁ、真冬さん）

夏芽

（なんかふんわりしてるっていうか、でも鋭いみたいな…）

夏芽

（またどっかで会えたら、お礼言いたいなぁ）

夏芽

〜〜♪

廊下に人があまりいないことを確認してから、天月さんとのコラボ曲を歌い出す

〜〜♪

夏芽

ん？

廊下の向こう側には、わしに気づいていないらしい男子生徒が1人歌っていた

その歌声は、前に屋上で聞いたものと同じ声だった

しかもわしと同じ曲、同じ歌詞分け…

夏芽

（…って、まさか……！）

物陰からのぞいていると、そこには茶髪の男子生徒が小さい声で歌っていた

夏芽

……天月さん？

？？？

えっ……？

夏芽

（ってやば！なんか無意識に声が…）

？？？

えぇっと……

夏芽

あ！わし、96猫っす！！

夏芽

（あれっ！？ていうかこの人、天月さんじゃなかったらやばいんじゃ…）

？？？

96猫…って、えっ！？

天月

ぼ、僕…天月、です……

そう言って、天月さんは驚いた顔をした

夏芽

へぇ、同じ学校………って

夏芽

同じ学校！？

『コラボ歌ってみた』は、もう少し早く投稿できそうだ

？？？視点

ガシャンッ！！

真冬？

っ！何…？

真冬が駆けつけると、そこにはベッドで横たわっていたはずの青年が床に座り込んでいた

？？？

っ、いった〜……

真冬？

えっ、ちょ…何やってんの！？

？？？

あはは…動けるようになったから、少し歩こうって思ったらこけちゃって

真冬？

もう…久しぶりなんだから注意してよ？

？？？

ごめんごめん…

？？？

……くろちゃんの願い、叶えてくれたの？

真冬？

…無事に終わったよ

？？？

……ていうか、くろちゃんと天ちゃん同じ学校って分かってたでしょ

真冬？

あれ、バレた？

？？？

そりゃわかるよ、くろちゃんが屋上行こうとした時に誰かいるの分かってたみたいだし

？？？

それに、『天月』が"天宮翔太"なのも分かっててくろちゃんに提案したんでしょ？

真冬？

…流石"まふ"だね、全部当たり

真冬？

…あの二人には、ここでも一緒にいてほしいからね……

真冬？

…ほら、また怪我しちゃいけないからとりあえず寝てなよ

？？？

うん、ごめんね…負担ばっかりかけちゃって

真冬？

いいよ、俺は大丈夫だから

真冬？

おやすみ、まふ……

第2章　黒木夏芽編 fin

第3章　？？？？？編に続く

万屋物語

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3件

おお！黒木棗編が完結!! とある少年のお話… あたかも目の前で現場を見ていたような感じだなぁ… けれどこのお話の終わりはその少年は亡くなった、そしてついに96月のコラボが決定！！だんだんと学校によく行くようになった96ちゃん。学校で何か知っている歌詞分けが聞こえてきてまさかの天ちゃん！！ 2人が炎上しませんように…!! 続き楽しみに待ってます！