私は、昨日あったことも 忘れてしまう
忘れたくない大切な人でさえ
そんな私のお話
病院にて
母
彩夏、調子はどう?
彩夏
.........
母
彩夏?
彩夏
ねえ、あなたは誰なの?
彩夏
ここはどこなの?
彩夏
何で私はこんなところにいるの?
母
...貴方のお母さんよ。
その後、お母さんは 昨日あったことすべてを 話してくれた。
でも、きっとこれも 明日になればきれいさっぱり 忘れてる
私は、そんな自分が嫌いだ
そもそも、私なんてこの世に 必用なのだろうか?
私は、いらないのかな?
そう、思うようになってきて しまった
彩夏
.....話してくれてありがとう。
母
...飲みものでも買ってくるわね。
彩夏
うん。
お母さんの後ろ姿を見ると 悲しくなった
彩夏
私なんかいても...
そんなことを考えながら 屋上へと向かった
彩夏
綺麗な青空だな。
彩夏
こんなところで消えられるなんて
私は、幸せものだな。
私は、幸せものだな。
彩夏
さようなら、お母さん
彩夏
さようなら、世界。
彩夏
さようなら、私
私は、後ろに倒れようとした。
でも、その瞬間、 誰かが私の手を引っ張った
彩夏
うわっ
母
何をやってるの!?
彩夏
どうして、お母さんが?
母
貴女が病室にいなかったから、もしかしたらと思ってみたら、落ちようとして!
彩夏
だって私は、いらないんでしょ?
母
何を言っているの?
彩夏
私は、お母さんのことまで
忘れちゃうんだよ?
忘れちゃうんだよ?
母
.....忘れられるのは、悲しいわよ。
母
でも、貴女がいなくなる方が
悲しいわよ。
悲しいわよ。
彩夏
え?
母
貴方は私にとって
いてほしい存在なの。
いてほしい存在なの。
母
だから、死のうとなんてしないで。
お願いだから。
お願いだから。
母
私の可愛い子。
彩夏
お、お、お母さん。
私は、泣いていた。
私が勘違いしてただけなんだね。
ありがとう、ありがとう。
私を助けてくれて。
今、私はお母さんに、
ありがとう、と伝えたいと 思った。