ふと、夜空を見あげる。
…今日は星が綺麗だな。
あの人が好きな………星空だ。
ぽつりと呟いても、誰の耳にも届かない。 貴方にさえも、届かない。
__。
なあに?
ぼくね、将来は天体に関する仕事につきたいんだ。
そうなの?
たくさんの星を見て、博士になりたいんだ。
__にも、きれいな星空を見せてあげるよ!
ほんとう!?ありがとう!
幼馴染の貴方はそう言って笑ってた。 親もにこりと微笑んで。
あ、見て!あれはね、一等星っていう一番輝いてる星で…
うんうん…
この時間が、一番の貴方との想い出。 貴方は、沢山の星を教えてくれた。
星のように輝いている時間だったんだ……
…だから、明日にはもうここにいないんだ。
え……?だって、ここにはずっといるって言ってたじゃ…
ごめんな、__。
場所は離れちゃうけど、もし会えたらまた会おうよ。
……うっ…
うわああああああああ……!!!
うわぁぁ、いやだ、いやだよ……!
泣かないで。__には笑顔が一番だから。
…そうだ!将来の夢話したところあったじゃん?
もし会えたら、あそこで会おうよ!
…約束してくれる…?
勿論さ!
だから、その時まで泣かない事!分かった?
うん…!
…じゃあね、__。
だ……き…よ。
途端に聞こえる衝突音。
えっ
__!?__!?
それ以来、貴方とは連絡が途絶えてしまった。 何があったのかは分からなかった。親に聞いても教えてくれなかった。
それでも何故か知りたくて、親に聞き続けた。 すると親は悲しそうな表情で、こう言ったんだ。
__くん、今は植物状態なの。
あなたに電話をした直後、交通事故に遭ってしまって。 親御さんだけが助かったみたい。
今はどうなのか分からないけど… 目覚める事はないらしいわ。
…………
嘘だと思いたい事なんて、いくらだってある。 貴方がいなくなった事実を、私は信じる事が出来なくて。 しばらく引きこもっていたけど…
私はある時、信じなければならないんだなと確信した。 いなくなった彼のためにも、一生懸命生きなければならないと。 だから頑張って立ち直って、仕事にも就いた。 プラネタリウムの職員に。
貴方はどうなってしまったのか、私には知る術がない。 でも。 今もこうやって、貴方の分まで生きていることはわかって欲しかった。
貴方をずっと想っていることは、知って欲しかった。
あの場所…行ってみるか。
一片の希望を信じて、私はあの日の場所に向かった。
…
何時間だって待ち続けた。
…………
どんな目で見られても待ち続けた。
……………………………………
こんな明るい場所なのに、星は負けじと輝いている。 何故か、目から溢れ出してくる感情。
晴太………
貴方の名前を呟いた。 涙声混じりに。
会いたいよ……
どうせ叶わない願いを吐き出す。
……瀬。悠瀬。
え?
不意に、私の名前が呼ばれた。
その声は、絶対に忘れたことがないあの声だった。
うそ、でしょ…
言ったでしょ。約束って。
私よりも小さかったのに、今ではもう随分と大きい背丈。 顔も大人っぽくなった。 でも、あたたかい目だけは変わらない。
あ…あ………
私は晴太を、抱きしめた。 晴太もまた、頭を撫ででくれた。
あいたかったよ。
コメント
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感動……しました….˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.
最初は名前んとこは恋人と俺でしてたけど最後主役の人の名前が出ちゃった☆