綾瀬 加奈
私は綾瀬 加奈
成人してから不治の病に侵され 入院している
小さい頃身内は祖母だけ
親は祖母が1つも
教えてくれなかった
そんな祖母も……
去年 寿命を迎え 亡くなった
1人寂しく 病室内にいる加奈は
夜中 ぼんやりと外を
眺めていた
すると
窓から一人の男が
現れた
大きな羽……悪魔のしっぽ……
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
取られちゃうの……?
『俺は死神じゃねーよ悪魔だ』
『しかもお前の命なんざ 興味ねぇさ……』
綾瀬 加奈
『……お前名前は?』
綾瀬 加奈
自分から言うのが先じ
ゃないのかしら?
『悪魔が人間の行儀に 従うわけねーだろ』
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
『……ふーん』
綾瀬 加奈
興味なさそうでねぇ……
綾瀬 加奈
名前ないと呼びずらい
じゃない。
『また会う前提なんだな』
綾瀬 加奈
『……。』
『俺は名前なんてねぇよ』
綾瀬 加奈
『捨てられたんだよ親にな』
綾瀬 加奈
『似てる……?』
綾瀬 加奈
『いいじゃねぇか…俺より』
『俺なんざざっと 1万年間ずぅーっと』
『1人だったんだぜ?』
綾瀬 加奈
私可哀想ね
『もう寂しいとか悲しいとか そんな感情ねぇけど』
綾瀬 加奈
やろうかしら?
『無理だろ……おめぇには』
綾瀬 加奈
あなた悪魔よね?
『ん?……あぁ。』
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
どうかしら?
『あーくん……?』
『ネーミングセンスねぇな』
綾瀬 加奈
いいってことよ。
『……そうだな』
あーくん👿
ことでよろしくな
綾瀬 加奈
あーくん👿
あーくん👿
見られるだろ
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
あーくん👿
あーくん👿
治るんじゃねーか?
綾瀬 加奈
だと分かったわね……
あーくん👿
気づくわ、アホ。
綾瀬 加奈
治らないのよね……
あーくん👿
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
また明日ね
あーくん👿
次の日
加奈は病院の先生に呼び出された
綾瀬 加奈
病院の先生
ですが………………
綾瀬 加奈
病院の先生
余命がわかりました
綾瀬 加奈
病院の先生
綾瀬 加奈
知っているでしょう?
綾瀬 加奈
ないし身内ももういない
病院の先生
綾瀬 加奈
で……余命は?
病院の先生
綾瀬 加奈
病院の先生
何も出来なくて……
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
病院の先生
夜中私がまた窓を
眺めているとあーくんが
やってきた
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
あーくん👿
来ちゃいけねぇか?
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
約束を守るのが
綾瀬 加奈
あーくん👿
あーくん👿
あーくん👿
持ってきてやったぜ
綾瀬 加奈
あーくん👿
綾瀬 加奈
あーくん👿
あーくん👿
わかんないけど
あーくん👿
詩集だ。
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
どうしろと?
あーくん👿
綾瀬 加奈
らしいのよね……
あーくん👿
そしてこんな日々が
何週間か経って……
余命1週間となった
この頃から
息が苦しくなったり
思うように体が
動かせなくなった
けどなぜか分からないけど
あーくんの前では微笑んだり
口を動かす動作ならできた
そして
残り1日の夜……
加奈は前日大きな手術を
受けた
手術費は知らない人が
出したらしい
手術が終わり
成功とは言えないが
結果は何も変わらなかった
最後の夜中
いつも通りあーくんが
窓から入ってきた
あーくん👿
あーくん👿
すると、、、
何故だが 口が動かせた
綾瀬 加奈
綾瀬 加奈
声は震えるが
多分聞き取れるだろう……
あーくん👿
あーくん👿
いなくなるぜ……
綾瀬 加奈
かち…………な…の……ね
あーくん👿
あー……いつしか
あーくん👿
言った時か……
あーくん👿
あーくん👿
あーくん👿
してねぇから
あーくん👿
綾瀬 加奈
あく……まめ……
あーくん👿
「会話になってないわよ」
と 言おうとしたら
口が動かなくなった
あぁ……奇跡の時間は
ここまでか……
そしてあーくんは
察したのか喋らない
私を見て 口を開いた
あーくん👿
お前がまだ生きられるよーに偉い人にたくさんおねがいしたんだよ
あーくん👿
あーくん👿
そして加奈はまた気づいた
今度は視界もダメになったことを…
だけど加奈は必死に
耳をあーくんに向ける……
あーくん👿
俺は会いに行くよ……
その言葉を聞くと
耳も遠くなり…意識もだんだんと
薄れた……けど
私のあたまに何かがついた
……においならまだ
匂いを嗅ぐと
ひまわりのにおいだった……
「あー……今日もあちぃな」
俺は腕で汗を拭うと
目先に花屋があるのに気づいた
「……今 夏だよな…なら」
「ひまわりでも買うか……」
『いらっしゃいませ』
女の店員と目が合った
俺はその瞬間不意に声をかけた
「あ……あの!その…名前って……」
『……綾瀬 加奈です。 なんの花をお探しです?』
「あ…いや その……」
『もしかしてこのヘアピンですか?』
そう店員はいうと
あたまについている
ひまわりのピンを見せた