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貴恋
貴恋
貴恋
もし冬の光が触れたら 痺れちゃうのかな。
まだ教師が来ない朝の教室の
糸を張ったような喧しさを縫うように
友人が噂話をするように、
一つの告白を始めた。
花那
「ハルナくん」
永遠のような一瞬の
冷たい静止のあとに
それが
私の元彼の名を指す事に気づく
花那
貴恋
貴恋
貴恋
貴恋
貴恋
花那
花那
花那
泣き出しそうな顔で話さなくても
あまりに申し訳なさそうで
こちらが逆に困ってしまう
花那
貴恋
貴恋
貴恋
花那
花那
冷たい風を吸って、吐く。
深呼吸
花那
花那
花那
花那
貴恋
貴恋
花那
花那
貴恋
貴恋
貴恋
花那
花那
花那
花那
花那
貴恋
花那
花那
花那
花那
貴恋
花那
記憶の隙間に隠していた “あのとき”の切れ端が接ぎ合って
刺さったまんまの棘に 古傷を小さく抉られたような
顔を顰めたくなる痛みが走った
授業があるのは
三分後
長くて、短い
ばらけていた同級生達が 席につきはじめる
花那
花那
貴恋
貴恋
貴恋
貴恋
花那
瞳を潤ませて頬を赤らめる様は
恋する女の子そのものだった。
花那
花那
花那
細い手を握る
冷えた指先の頼りなさが
少し震えた唇の赤さが
少し切ない。
花那
花那
貴恋
キコ──芥生 貴恋は、
陽の差す窓にもたれているからか
純粋な好きを持っているからなのか
泥の私なんかよりずっと
酷く眩しかった。
そしてまた
目を虹のように細めて笑いながら
眉を悲しそうに垂らしていた
だからなんで、
つらそうにするんだろう。
貴恋
貴恋
花那
貴恋
貴恋
花那
花那
花那
貴恋
またあとで、といつもの約束をして
結局いつまでも泣き笑いの表情で 帰って行く
委員長の号令で
生徒達が一斉に立ち上がる
キーンコーンカーンコーン
変わり映えしない一日の始まりの音
普段より少し張り詰めた空気は
ただの気のせいで済ませてしまうべきだったのだろうか
私が言った「がんばって」は
純度100%の応援で
確かに心からの励ましだった。
だけど
だけど
この潜々話の全貌を聞いていた人が
その中できちんと分かってくれた人が
一体どれほどいたというのだろう。
とっくに拗れていた私達の関係が
更に捻れてしまう事を知るくらいなら
あんな五文字なんて
言わなければ 良かったのかもしれない。
当然の結果
と まとめればそうなんだろうけれど
同類は集まって来る習性がある
ということなのかもしれない
だからおかしくなってしまったのも
悪い運命達のせい。
だけどいまは
何か誤れば死ぬ、くらいの重度運命が
先程の瞬間から
私達に襲い掛かっている事実を
今は知る由も、為す術も無かった。
きっと劇薬で、 たぶん猛毒。
綺麗な青春には成り得ない者同士の
病を患った馬鹿な恋の話です。