これは私が小学校5年になって間もない話

ガタガタ。後ろの方から机が動く音がした。

振り返ると、複数の男子にいじめられているスズヤ君の姿があった。

スズヤ君の家はとても貧しかった。薄汚いあばら家に住んでいて、シングルマザーの家庭。

私は保育園の頃からスズヤ君と知り合い。とても優しいスズヤ君が大好きだった。 でも今は嫌い。だってスズヤ君といるとみんなから嫌われるんだもん…

盛り上がったのは言うまでもない

友達が喜んでいる最中、私は1人落ち込んでいた。

だって隣がスズヤ君なんだから

この時感じたのは、第1の不信感。可愛そうと言いつつ口角が上がっている2人を見て、私は疑念を抱いた。

無視をするのも変だと思い、周囲に聞こえないように小声で私もよろしくと言った

あからさまに顔をしかめて、机をくっつけた

小さな声でスズヤが呟いたのを瞳は聞き逃さなかった。

この時初めて瞳は気づいた。貧乏だからといって人をいじめる事はおかしい

しかしその事をみんなに伝える勇気は瞳にはなかった

スズヤ君が隣の席にいる時間は楽しかった！

他の友達よりも色々な事を知っているからスズヤ君との話は尽きなかった。気がつくと授業が終わっていて、びっくりする事も多々あった。

時には秘密の共有もした

教室がざわめく中、スズヤ君が耳元で囁いた。

本当に楽しい1週間だった

しかしある時、邪魔が入った

私はスズヤ君が迷惑だなんて一言も口にした事がない。きっと楽しそうにスズヤ君と話す私が気に入らなかったのだろう。

言うんだ私！ 勇気を出せ！ スズヤ君は悪くない

その後、臨時の話し合いが行われ、スズヤ君をからかっていたクラスメイトは注意を受けた。

その日から私はクラスメイト全員から非難され今まで一緒にいた女友達は離れていった。

しかし私は満足だった。スズヤ君がいたから

中学に上がりスズヤ君は変わった

お母さんが大富豪と再婚し、お金持ちの家庭の子となった。

それがきっかけで、ボサボサ頭や鼻たれが治り、清潔感の溢れる好青年として生まれ変わった

あれから10年

私達は、夫婦でボランティア活動を始めた。貧しい子供達に幸せを見てもらいたいから。