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【BL】好き好きリターン

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【BL】好き好きリターン/後編

♥

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2020年06月15日

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あれからも、

夏瞳からの好き好きアピールが収まることは無く、

毎日、まるでログインボーナスでも貰いに来るかのように、

ひたすら好意を伝えられ続けた…。

─そんな状況の中迎えた、

試練の校外研修…。

幸い、一日目の行動班は初葵と同じで、

夏瞳とは離れた。

初葵(ハヅキ)

やって参りました、

初葵(ハヅキ)

校外研修〜!!

晴れ渡る空とは対照的に、

俺は中々に沈んでいた。

紗樹(サキ)

はァ〜…

初葵(ハヅキ)

…テンション低いね。

紗樹(サキ)

当たり前だろ…

紗樹(サキ)

マジで、今もうこの時点で、

紗樹(サキ)

軽く怯えてるんですけど。

初葵(ハヅキ)

えっ、紗樹って怯えるタイプ?

初葵(ハヅキ)

個人的には、紗樹は攻めなんだけどなぁ…

紗樹(サキ)

んな話はしてねぇよバカ

紗樹(サキ)

お前の腐ワールドには興味ないから、

紗樹(サキ)

マジでなんとかしてくれ…(泣)

初葵(ハヅキ)

…と、言われましても…

初葵(ハヅキ)

初葵(ハヅキ)

…あ、先生に頼んで、

初葵(ハヅキ)

部屋変えてもらったら?

紗樹(サキ)

なんて説明すんだよ…

初葵(ハヅキ)

うーん…

初葵(ハヅキ)

「夏瞳に告られてて、」

初葵(ハヅキ)

「イチャラブされそうで怖いから」

初葵(ハヅキ)

…みたいな?

紗樹(サキ)

おまっ…

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…っ本気で言ってんのかそれ…///

予想の斜め上を行った、初葵の提案に、

思わず体温が上がる。

初葵(ハヅキ)

初葵(ハヅキ)

なるほど?

紗樹(サキ)

何を察したんだお前は

初葵(ハヅキ)

さぁ?

初葵(ハヅキ)

もしもの話じゃん

初葵はそんな俺の様子を見て、

少しからかうような口調になる。

…ホント、困った幼馴染だ…。

初葵(ハヅキ)

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…いやなんの間だよ!!

初葵(ハヅキ)

…別にぃ〜

初葵(ハヅキ)

てかさ、

初葵(ハヅキ)

初葵(ハヅキ)

…さっきから何テンパってんの?

紗樹(サキ)

─っえ?

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…っ別に、

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…気のせいだろ。

初葵(ハヅキ)

気のせい、気のせいかぁ…

意地悪げにニヤニヤし出す初葵。

初葵(ハヅキ)

初葵(ハヅキ)

…あっ、もしかして、

初葵(ハヅキ)

初葵(ハヅキ)

…想像してた?

紗樹(サキ)

─っっ!!///

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…っお前マジでふざけんな!!!///

…そして、図星だった初葵の推理に、

思わず叫んでしまった。

カオに熱が集まるのが、自分でも分かる。

通行人達がぎょっとして俺の方を見つめてくるので、

コイツが悪いんです、と言わんばかりに初葵を睨んだ。

初葵(ハヅキ)

おおっと…

初葵(ハヅキ)

冗談だって!w

コイツの余裕のある笑いが、輪をかけてムカつく…

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

はァ〜…

初葵(ハヅキ)

26回目。

紗樹(サキ)

溜息数えてんじゃねぇよ…

そんなこんなで、

平穏な時間はどんどんと過ぎていき…

先生

というわけで、

先生

自由行動は楽しめましたか?

先生

ここが宿泊させて頂くホテル前です。

先生

では、皆さんちゃんと集合しているか、

先生

今から点呼を取ります。

紗樹(サキ)

俺…

紗樹(サキ)

…人生であんなに短い3時間って初めてだわ。

初葵(ハヅキ)

まだ言ってたのキミは。

紗樹(サキ)

自由行動短くないか?!

初葵(ハヅキ)

紗樹の体感がバグってるだけでしょ…

紗樹(サキ)

なぁ、マジで…

紗樹(サキ)

…マジで今から部屋行くの?

初葵(ハヅキ)

当たり前でしょ。

初葵(ハヅキ)

流石にもう1回外に繰り出すのは、色々限界だわ。

紗樹(サキ)

はぁあ〜…

初葵(ハヅキ)

58回目。

紗樹(サキ)

まだ数えてたのかよ…

今夜泊まるところは、ビジネスホテルらしく、

一室一室も、さほど広くないんだとか。

就寝時刻までは、部屋の行き来が可能らしく、

最悪、気まずくなれば、

ちょっとだけ、他の男友達の部屋に逃げ込めば…

先生から自室のカギを渡された俺たちは、

各階に別れて、夕食までの時間を過ごすことになる。

もちろん、女子である初葵とは、階すら離れ、

まるで、救いのいない、谷底に落とされた気分だった…

夏瞳(ナツメ)

う、わぁ…

夏瞳(ナツメ)

思ってたよりビジネス要素な部屋…

紗樹(サキ)

どういう意味だよ

夏瞳と2人で部屋に入った俺は、

夕食までの自由時間、

お互い荷物なんかの整理をしながら、

案外普通に会話出来ていた。

夏瞳(ナツメ)

そしたらさ、アイツが財布忘れてて…

紗樹(サキ)

うわぁ、大丈夫かよそれ…

夏瞳(ナツメ)

いや、5000円くらい抜かれててさぁ…

紗樹(サキ)

マジか…!!

夏瞳(ナツメ)

まあでもアイツ、元々1万円くらい多めに持ってってたらしいから、

夏瞳(ナツメ)

「結局プラスだしいいや」

夏瞳(ナツメ)

…って…。

紗樹(サキ)

恐ろしくプラス思考

正直、もうだいぶ安心していた。

コイツに告られたことすら、忘れかける程に。

─でも、

夏瞳(ナツメ)

…な、

夏瞳(ナツメ)

そこまでプラス思考極めてたら、

夏瞳(ナツメ)

なんかこっちも和むよなw

紗樹(サキ)

─っ、

時々、夏瞳がふわっと微笑む度に、

「コイツが俺の事を好きなんだ」…と、

何故か、思い出された。

夏瞳(ナツメ)

夜ご飯美味しかった〜!!

紗樹(サキ)

な、

紗樹(サキ)

ビジネスホテルって、なんかすごいな…

夏瞳(ナツメ)

案外ちゃんとしたホテルだよな。

また、取り留めのない会話をして、

そのまま時が過ぎる。

…と、思ってた。

夏瞳(ナツメ)

俺ちょっとお風呂入ってくる!

紗樹(サキ)

おう、終わったら交代で。

夏瞳(ナツメ)

リョーかいっ

…あの時までは。

紗樹(サキ)

お風呂は部屋に備え付けなんだな…

夏瞳(ナツメ)

ちょっとここはビジネス要素だな。

紗樹(サキ)

マジでなんなのビジネス要素って。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…なんか、

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…こう?w

紗樹(サキ)

─っっ、

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…意味わかんねぇw

─まただ。

またコイツは、そんな顔で笑う。

…どこか、もどかしい。

夏瞳(ナツメ)

紗樹(サキ)

…そして、

もう既にちょっと気まずい気がするのは、

…俺だけ?!

紗樹(サキ)

…っな、

紗樹(サキ)

夏瞳!!

夏瞳(ナツメ)

((ビクッ

夏瞳(ナツメ)

…ど、どした?w

急に名前を呼ばれ、少し驚く夏瞳。

紗樹(サキ)

…ほ、他の部屋行ってみる?

…ここに初葵が居たら、

「ヘタクソ!」と叩かれてそうな、空気の逸らし方だが、

もうこれしかない。

夏瞳(ナツメ)

…他の部屋?

紗樹(サキ)

お、おう。

紗樹(サキ)

就寝時刻までは自由だし…

言い終わらないうちにドアの方まで歩き、

ドアノブに指を掛ける。

無理やりすぎて非常に申し訳ないが、

今の空気を紛らわすのに必死で、

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…紗樹、

コイツの行動が、読めてなかった。

初葵(ハヅキ)

…っくしゅんっ

ルームメイト

はづ、大丈夫?

ルームメイト

風邪?

初葵(ハヅキ)

わかんない…多分大丈夫!

ルームメイト

バカは風邪ひかないもんね

初葵(ハヅキ)

ぶっ飛ばすよ?

…というか、今はそれどころじゃない!!

私の部屋のちょうど真下は、なんと紗樹達の部屋!

ラッキー!!

…頑張れば、██(自主規制)の声とか、

聞こえたりしない?!

初葵(ハヅキ)

…………………。

ルームメイト

…………………。

ルームメイト

(床に片耳を押し付けて、)

ルームメイト

(あの子は何をしているんだろう…)

ルームメイト

ルームメイト

(…今のうちに通報しとこうかな)

頑張って声を聞こうとしながら、

…ふと、考えを巡らせた。

紗樹(サキ)

おまっ…

紗樹(サキ)

…っ本気で言ってんのかそれ…///

夏瞳との部屋でのイチャラブの可能性に触れた瞬間、

顔を赤くして、そっぽを向いた幼馴染。

初葵(ハヅキ)

…想像しちゃった?

紗樹(サキ)

─っお前マジでふざけんな!!///

考えていたであろうことを言い当てると、

真っ赤になって叫んだ幼馴染…。

初葵(ハヅキ)

(…やっぱもうデキてね。)

あの時点で察してはいたが、

今考えると、もう確定かもしれない。

初葵(ハヅキ)

(…え、マジで、)

初葵(ハヅキ)

(頑張れば、えっtな声のひとつやふたつ聞けないかな??)

私はより一層聞き耳を立てた。

正直、定期テストより集中している自信がある。

…そんな私に、ルームメイトが一言。

ルームメイト

お巡りさんこの子でーす

初葵(ハヅキ)

あれなんか前も呼ばれた気がするな私

ルームメイト

前科持ちかよ

他の部屋に逃げようと、ドアノブに指を掛けた。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…紗樹。

名前を呼ばれたので、振り向こうとした。

─瞬間、

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…なつ、

腰に手が回されていて、

背中には温もりを感じた。

─抱きつかれたのだと悟ったのは、数秒後だった。

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…っおい、なつ…

夏瞳(ナツメ)

嫌なら、逃げろよ。

夏瞳が、ドアノブに掛けていた指に、自分の指を絡める。

紗樹(サキ)

─っ…!

夏瞳の指が、指の間をするりと通り、

思わず体がピクっと反応した。

紗樹(サキ)

夏瞳っ…

夏瞳(ナツメ)

…初葵の部屋でも、どこでも行っていいから。

夏瞳(ナツメ)

…俺が、勘違いしちゃうから、

夏瞳(ナツメ)

─嫌がれよ…

消え入りそうな、泣きそうな声に、

ふわっと流れてくるシャンプーの匂いに、

風呂上がりの夏瞳の体温に、

…脳が、くらっと揺れる気がして、

夏瞳(ナツメ)

紗樹(サキ)

思わず、

夏瞳(ナツメ)

─手を握り返した。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…拒否んないの、

紗樹(サキ)

─っ、

夏瞳(ナツメ)

…紗樹、

紗樹(サキ)

…っ、なんだよ…

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…好き。

紗樹(サキ)

言われた瞬間、

何かが崩れた気がした。

紗樹(サキ)

─っ、

気づけば、俺は、

夏瞳(ナツメ)

…紗樹…?

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

─って、うわぁ!!

俺の指に伸ばされていた、

夏瞳の腕を掴んで、

引き寄せていて…

夏瞳(ナツメ)

紗樹(サキ)

…抱き締めようとして、

やっぱり、夏瞳の肩に頭を置いた。

…まだ、俺にはそんなことできる資格がないと思った。

紗樹(サキ)

……はぁ…

もう何度目だろう、

─コイツの事で、溜息をつくのは。

夏瞳(ナツメ)

…っさ、紗樹…?!

紗樹(サキ)

…なぁ、夏瞳。

夏瞳(ナツメ)

…?

紗樹(サキ)

「好き」って、もしかして、

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…こんな感じなの。

夏瞳(ナツメ)

…紗樹?

紗樹(サキ)

ふわって、微笑まれる度に

紗樹(サキ)

なんか、言葉に詰まって、

紗樹(サキ)

…そういや、ずっとソイツのこと考えててさ、

紗樹(サキ)

「好き」って言われるだけで、

紗樹(サキ)

…こんなに、苦しくなるの。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…っっ、

…察した…だろうか。

紗樹(サキ)

…なぁ、答えてよ。

紗樹(サキ)

…夏瞳。

少し触れているだけで分かる程、

夏瞳の体温が高い。

…お風呂上がりだから?

…それとも─

夏瞳(ナツメ)

…っ、

夏瞳(ナツメ)

…ここまで言って、

夏瞳(ナツメ)

何にもなかったら、

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…はっ倒すからな。

…見なくても分かる。

きっと夏瞳の顔は真っ赤だ。

紗樹(サキ)

はァー…

そしてまた溜息。

…だけど、

こんな溜息も、もうこれで最後。

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

夏瞳、

夏瞳(ナツメ)

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…好き。

そう言って、やっと、

俺は夏瞳を抱き締めた。

夏瞳(ナツメ)

…てか、

夏瞳(ナツメ)

マジで言ってるの?

お互いに少し落ち着いてから、

俺らは、色んなことを話していた。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

未だに信じらんねぇ…

紗樹(サキ)

当たり前だろ。

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…試してみるかよ?

からかうような笑みを、夏瞳に向ける。

夏瞳(ナツメ)

─っ!?///

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…っ遠慮しとくわ…///

分かりやすく顔を赤くし、俺から目をそらす夏瞳。

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…っていやいや!!

夏瞳(ナツメ)

違くて!

紗樹(サキ)

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…俺、お前は絶対、

夏瞳(ナツメ)

初葵と両思いかと思ってたんだけど。

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

は?

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…初葵と?

夏瞳(ナツメ)

うん、だって、

夏瞳(ナツメ)

めちゃくちゃ仲良いから…

紗樹(サキ)

まあ、幼馴染だしな。

夏瞳(ナツメ)

それは、まあそうだけどさ…

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

…あれ、てか言ってなかったっけ?

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

え、何が?

紗樹(サキ)

アイツって、

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

紗樹(サキ)

恋愛対象は、女の子だぞ?

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…え、

夏瞳(ナツメ)

夏瞳(ナツメ)

…そうなの?!?!

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