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これは、昔のお話だよ。

今の彼らは、覚えていないだろうけど、これはね……。

『ある子達』の人間の頃のお話。

高柳 文哉

ゴホッ……ゴホッゴホッ……。

彼の名前は、高柳 文哉(たかやなぎ ふみや)だった。

和の貴族の子。 素直で根から良い子だったが……。

彼は、特病を持っていた。

当時の彼は動けなくて、ほぼ、ベッドの上での生活だったが……。

ある人物が、彼の歩く練習に付き合ってくれた為、長時間は難しいが、少しは歩けるようになった頃である。

高柳 文哉

……。

──────ガチャ。

高柳 和珠

文哉。

高柳 文哉

……!兄上!

そのある人物がこの子。

彼の兄、高柳 和珠(たかやなぎ かずみ)であった。

高柳 和珠

今の体調はどう?大丈夫か?

高柳 文哉

はいっ!少しは大丈夫なのです!

高柳 和珠

はは、そうか。

高柳 文哉

[にこっ、と微笑む]

高柳 文哉

あ、そうだ。兄上。

高柳 和珠

どうした?

高柳 文哉

ぼく、歩きたいです!

高柳 和珠

大丈夫なのか?

高柳 文哉

大丈夫!ぼく、兄上達のように、動けるようになりたいから……。

高柳 和珠

分かった。

高柳 和珠

だけど、無理はするなよ?

高柳 文哉

うんっ!

高柳 文哉

[ベッドから降りようと、地面に足をつけて、立とうとするが……]

高柳 文哉

わっ!?[転びかける]

高柳 和珠

……![文哉を支える]

高柳 文哉

[和珠に支えられながら]あ……えと……すみません……。

高柳 和珠

大丈夫だ。

高柳 和珠

よし、そろそろバランスがとれてきただろう?少し離してみるから、立ってごらん?

高柳 和珠

[文哉から一回離れる]

高柳 文哉

[上手く立てた]

高柳 文哉

わぁ!兄上!ぼく、前より、立ててる!

高柳 和珠

うんうん。本当だな。

高柳 文哉

[和珠に向かって、一人で、何も支えを使わないで歩こうとする]

高柳 文哉

……ぃしょっ……っ……!

高柳 和珠

……!

高柳 和珠

頑張れ![両腕を広げて待つ]

高柳 文哉

えいっ![上手く歩けて、そして、和珠の胸の方へ飛び込む]

高柳 和珠

すごいぞ!前より歩けるようになったな!

高柳 文哉

うんっ!

当時の彼らは、和珠は十歳。 文哉は六歳であった。

高柳 和珠

よし!そのまま、父上と母上に、歩けるようになったこと、言いに行く?

高柳 文哉

行きたい!

高柳 和珠

よっし!行くぞ!

高柳 和珠

階段は転ばないようにな?

高柳 文哉

はい!

高柳 和珠

父上!母上!見てくれ!

二人の父親

どうしたんだい?

二人の母親

……!わぁ!見て下さいな!

二人の父親

……!!!

高柳 文哉

父上、母上……!

二人の父親

文哉!歩けるようになったのか!

二人の母親

あぁ……良かった……。

二人の父親

このまま、少しだけ動けないままで居るのかと思ったよ。

二人の父親

良かった……。

高柳 文哉

えへへ。

高柳 文哉

これはね、兄上のおかげなんだよ!

二人の母親

ですって。和珠。

高柳 和珠

へへっ。

高柳 和珠

あ、そうだ!

高柳 和珠

おれ、文哉を外に連れて行ってあげていい?お庭だけでいいから。

二人の母親

良いですよ。ですが、お庭のみですからね。

高柳 和珠

ありがとう!

高柳 和珠

文哉!こっちだよ![文哉の手を取る]

高柳 文哉

うんっ![和珠について行く]

二人の父親

文哉もすっかり、明るくなったな。

二人の母親

ふふ、そうですね。

二人の母親

それに、和珠も、なんだか楽しそうに見えます……♪

二人の父親

そうだな!

高柳 文哉

……わぁ!

高柳 和珠

どうだ?お外の世界は。

高柳 文哉

これが……外なの?

高柳 文哉

太陽って、こんなに眩しいの?

高柳 文哉

お花は、自然に咲くと、こ〜んなに綺麗なの?

高柳 文哉

風は、こんなに気持ち良いの?

高柳 文哉

お外って、すごい……っ!!!

高柳 和珠

暫く、出た事なかったし、家の中に居たからな。新鮮だろう。

高柳 文哉

兄上っ!

高柳 和珠

どうした?

高柳 文哉

ぼく、お外の世界、もっと知りたくなったような気がしますなのです!

高柳 和珠

あっはは、流石だなぁ。

高柳 和珠

外にはあまり連れて行けないけど、その様子なら教えられるよ。

高柳 文哉

わぁ……っ!

高柳 文哉

[嬉しそうに笑う]

高柳 和珠

……♪[その笑顔に安心したのか、此方も嬉しそうに笑う]

こんな平和な日が続く事が出来るのなら……彼らは、こんな思いをしなかっただろうに……。

それは、ある日の事。

高柳 文哉

……ん?[目が覚める]

高柳 文哉

……父上と、母上の声がする……?

高柳 文哉

何が……あったんだろう……。

高柳 文哉

[ベッドから出ると、少し壁などを支えにしながら、歩いて、様子見をしに行く]

二人の父親

だから、二人はやらないと言っているだろう!帰っておくれ!

???

まぁまぁ、勘違いだけはしないで下さいな。主人殿。

???

我々は、子供を保護する為の施設でもあるのです。

二人の母親

だからって、息子達を貴方方には、お渡ししませんから!

???

ふふ、これはこれは……。

見た目は、少し黒ずくめな男性。

彼は、和珠と文哉を、『ある組織』へ連れていこうと、両親に強請っている。

高柳 文哉

[壁から]

高柳 文哉

(あれは……誰……?)

高柳 文哉

(どうして、父上と母上は……怒っているの……???)

???

[視界に文哉が映った]

???

この子ですか……。[にやっ、と笑う]

二人の母親

……?……!文哉!

高柳 文哉

……っ!!!

二人の父親

駄目だ!文哉!隠れなさい!

???

……。[ふふふ、と笑うと、何かの魔法のような力で、両親を気絶させる]

高柳 文哉

……!!??

???

さぁ、坊や。こっちおいで。

高柳 文哉

ぃ……嫌だ……っ!!!

高柳 文哉

[走れない為、早歩きで逃げようとする]

???

[魔法を構える]

高柳 和珠

[たまたま現場を見かけた]

高柳 和珠

……!?

???

悪い子には、お仕置だね?[魔法を放つ]

高柳 和珠

文哉──────!!!

高柳 和珠

[魔法が放たれたと同時に、文哉の事を庇った。そして、そのまま、気を失ってしまった]

高柳 文哉

……!!!

高柳 文哉

……兄上……っ!!!

???

もう一人の子供も出てきたか。

???

丁度いい。二人連れて行くか。

高柳 文哉

……っ。

???

良い子にしてるんだぞ?[文哉のおでこにデコピン。それは魔法の力を使ってた為、文哉は、その力で眠りについてしまった]

???

……目的、確保。

二人が連れていかれたの『Lize(ライズ)』と言う、人殺しの組織であった。

そこで、彼らは『他生物の血』を複数、与えられ、『仮人間』となった。

その衝動で『二人の記憶は、全て消えてしまった』のである。

和珠は、アンタレスとなり…… 文哉は、クロノスとなった。

そして、数年後。

クロノスは、組織を抜け出し、『悔端 絢(くいは けん)』と言う、仮名を自分で名付け、今は『天音探偵部(あまおとたんていぶ)』で仲間と共に過ごしている。

だが、その逆に……。

アンタレスは、Lizeに残ったままで、そこに居る仲間と共に過ごしている。

これが……記憶を失って、生き別れになったしまった、兄弟の話だよ。

時には、信じられない未来が待っている事だってあるんだ。

この子達みたいに……ね。

現在。 Lizeにて。

アンタレス

……。

アンタレス

なんだろうな……。

アンタレス

[ひとつしかない窓を見る]

アンタレス

……何かを……忘れてるような。

アンタレス

はぁ……思い出そうとしても無駄か。

アンタレス

どうせ、何も分からないし……。

アンタレス

……。

アンタレス

……はぁぁあ……。

現在。 天音探偵部にて。

悔端 絢

……。

悔端 絢

何かを忘れてるような気がする……。

悔端 絢

ずっと前から考えているのですが……何も出てきませんね……。

悔端 絢

ってか、ぼくは何を言ってるのでしょう。

悔端 絢

……。

悔端 絢

もう……なんなんですか……。

悔端 絢

この……『曖昧な感情』は……。

Thank you for reading!!!

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【限定作者コメント】 フォルトゥナ)はい。以上だよ。 運命は、本当にちょっとした事で変わってしまうのだね……。 でも、それは仕方ない事なのじゃ。 『運命は自分の手で変えない限り、永遠に時の針は進むから』……。

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