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モノガタリ

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モノガタリ

♥

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2020年07月29日

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自分が 『主人公』では無いと気づいたのは

敵に追い討ちをかけられる直前

どこかで見た漫画では

自分が殺されると悟った時は ぎゅっと目を瞑っていた

うん、僕も瞑っている

ただ、それは 「自分は死なない」という少しの確信から生まれた行動らしい

漫画の主人公というのは 高確率で生き残るもので

なぜなら主人公の為に 多くの人が犠牲になるから

また、主人公の為に犠牲になるというのは 大抵主人公と関わりの深いヤツで

そヤツの犠牲のお陰で 読者を話に感情移入させられる

だから僕も ぎゅっと目を瞑って

アイツが来るのを待ってた

僕の名前を呼んで 僕を庇って 犠牲になったアイツを僕が 哀れんで

それでより一層 気持ちが強くなって 敵を倒しに行く

そういう展開を 想像してた

けれど僕は

ジャキッ !

鈍い音が走って 気づけば身体が宙に浮いてた

どうして どうしてなんだろう

僕は 主人公ではなかったの?

じゃあ、あれだ

途中で死んでしまう 皆から愛されてた2番目に強いヤツ

僕はきっとそヤツだ

確かそヤツは 最終的には死んでしまうけれど

仲間から愛され、信頼され

そヤツの犠牲によって 仲間の士気が高まる展開に持っていく為の

キーパーソンだ

その後、 皆がそヤツの所へ駆け寄って

「死ぬんじゃねぇ」 やら 「ありがとう」 やら 讃えられて一生を終える

さあ、皆来て

僕の周りで涙を流して 時に抱き抱えてくれるんだよね?

けれど いくら待っても誰も来ない

皆、主人公に夢中で 誰が死んでいるかなんて考える余地も無い

こんなはずじゃなかったのに

僕は 名前すら無い

モブキャラなのだ

僕は このモノガタリの

主人公にはなれない

fin

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