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音を立てるな!

音を立てるな!

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2

音を立てるな! 第2話

♥

7,007

2020年05月04日

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化け物

ぎぃえええええええええ!

館を震わせる化け物の叫び声

再びおとずれた暗闇、そして

静寂──…

栗原涼一

(美穂、美穂はっ?)

栗原涼一

(どこにいるんだ!?)

栗原涼一

(でも明かりをつけたら気づかれる──)

その時だった

栗原涼一

えっ…

いきなりスマホの明かりがついた

明かりは真っ直ぐに化け物を照らす

化け物

ぐぎぃぃいいいー

健太だ!

井上健太

(しっ…)

健太が人差し指を口元に押し当てた

栗原涼一

(また化け物に光を当てている)

化け物

ぐがぁああああ

栗原涼一

(それなのに化け物は気付いてない)

栗原涼一

(もしかして、目が見えないのか?)

俺も静かにスマホの明かりをつけた

栗原涼一

(やっぱり化け物は気づかない)

栗原涼一

(そうか、アンナは音を立てたから襲われたんだ)

栗原涼一

(間違いない、あいつは──)

音に反応する!

栗原涼一

(美穂は?美穂はどこだ!)

ふいにスマホの明かりが俺に向けられる

栗原涼一

(美穂っ!)

美穂はピアノの下に隠れていた

栗原涼一

(裕也も正人もピアノの近くいる)

栗原涼一

(茜は──?)

今岡茜

っ…!

栗原涼一

(腰を抜かしているけど大丈夫だ)

栗原涼一

(でも今にも悲鳴を上げそう…)

今岡茜

うっ…

栗原涼一

(茜っ!)

明かりを振って合図を出す

今岡茜

…!?

栗原涼一

(静かに!)

栗原涼一

(音を立てるな!声も出すな!)

今岡茜

!!

茜が四つん這いでやってくる

栗原涼一

(だめだ、焦ってる!)

栗原涼一

(ゆっくり!)

俺の近くまでたどり着いた茜が、ホッと肩から力を抜く

そこに、アンナの生首が転がっていた…

今岡茜

!!!?

栗原涼一

(ま、まずい!)

栗原涼一

(声を出せば殺される!)

茜が悲鳴を──

今岡茜

んぐっ!

栗原涼一

(静かに!)

栗原涼一

(危ない…)

栗原涼一

(なんとか口を押さえた──)

その時!

♪…

ピアノの音色が館に響いた

化け物

ぎぃええええええええ!

中西裕也

な、なに当たってんだよ!

高木正人

よ、よろけて…

栗原涼一

(ピアノには美穂が!)

化け物がピアノを吹き飛ばす

栗原涼一

(なんて威力だ…)

栗原涼一

(でもピアノが邪魔して気づかれてない!)

栗原涼一

(このままジッとしてれば──)

中西裕也

な、なんなんだよ一体!?

栗原涼一

(あの馬鹿、声を出しちゃダメなのに!)

化け物

がぁああああ!

高木正人

こ、こここ、こっち来る!

中西裕也

に、逃げるぞ!

高木正人

つ、掴むなよ!

中西裕也

お前は俺の囮なんだよ!

階段を駆け上る2人を、化け物が追いかけていった

栗原涼一

美穂、大丈夫か!?

相川美穂

うん、なんとか…

今岡茜

ううっ、アンナが…

相川美穂

茜、大丈夫だから

今岡茜

ううっ!

栗原涼一

静かに!

栗原涼一

あいつは音に反応するんだろ?

井上健太

そうだ

井上健太

アンナが襲われた時、俺のほうが化け物のすぐ近くにいた

井上健太

それなのにアンナを殺した

相川美穂

音を立てたからなの?

栗原涼一

あいつは目が見えないんだ

栗原涼一

だから声も出さないほうがいい

井上健太

スマホでやり取りしよう

俺たちは言葉をスマホに打ち込んで会話を始めた

今岡茜

『そもそもなんなの!?』

栗原涼一

『分からない』

井上健太

『とにかく今のうちだ』

井上健太

『今のうちに出口を見つけよう!』

相川美穂

『外に連絡できない?』

栗原涼一

『だめだ、圏外になってる』

相川美穂

『どこか電波がつながる場所があるかも』

栗原涼一

『そうだな、手分けして探そう!』

井上健太

『わかった』

井上健太

『それじゃ、俺と茜は一階を』

栗原涼一

『俺と美穂は二階を探す』

井上健太

『涼一、気をつけろよ』

栗原涼一

『ああ、健太もな』

中西裕也

な、なんだよあいつ!

高木正人

しっ!静かにしないと

中西裕也

クソっ!電波が入らない

高木正人

でもこの寝室に隠れてれば…

中西裕也

あっ、電波がつながった

ギィーっ…

化け物

がるぅうう…

高木正人

(ひぃっ!来たっ!)

裕也が耳元で囁く

中西裕也

ほら、行けよ

高木正人

(い、嫌だよ!)

中西裕也

お前は俺の囮なんだよ

中西裕也

こっから化け物を出せ

僕は首を激しく振った

高木正人

(い、嫌だっ)

高木正人

(あいつに殺され…えっ?居ない?)

高木正人

(確かにさっきまで──)

スマホの明かりで部屋の中を見回す

高木正人

(やっぱり居ない…?)

化け物

ぐうううぅぅ

高木正人

(えっ──?)

明かりを天井の隅に向ける

化け物が天井に張りついていた!

高木正人

(ひぃっ!)

中西裕也

早く行けよっ

中西裕也

俺のために死ぬんだよ

そう囁くと、裕也が僕の背中を思い切り押した

高木正人

(テーブルにぶつかる!?)

ガシャン!

化け物

ぎぃえええええええ!

高木正人

ひっ!

とっさにベッドの下に潜り込んだ

高木正人

(い、息もするな!)

高木正人

(あいつは音に反応する)

高木正人

(音さえ立てなければ…)

チラッと覗くと、化け物の足が見えた

その向こうで裕也が──

中西裕也

…………

高木正人

(クッションを抱きしめて動かない)

化け物

ぐぉおおおおお

高木正人

(今は息を殺して静かにして、化け物が居なくなったら助けを…)

高木正人

(えっ?僕のスマホも電波がきてる)

高木正人

(助けが呼べる──?)

高木正人

(助けが…)

中西裕也

ほら正人、脱げよ!

中西裕也

お前は今から裸の的な?

高木正人

い、嫌だよ!

中西裕也

脱がないと根性焼きだからな!

高木正人

やめろよ!

中西裕也

じゃ、手伝ってやるよ!

僕は裕也に無理やり裸にされた

高木正人

ううっ

中西裕也

ほらみんな、ボール投げろ!

中西裕也

アソコに当てたら100点な!

中西裕也

まずは俺がお手本を見せてやるよっ!

高木正人

あぁああ!

中西裕也

早速、100点ゲットー!

僕はずっと裕也にいじめられていた

これまでも

そしてこれからも…

高木正人

(もし今、裕也に電話をしたら?)

化け物

ぎぃぐぃううう

中西裕也

…………

裕也の番号を表示する

高木正人

(これさえ押せば…)

高木正人

(着信音が鳴り響いて)

高木正人

(化け物は裕也に襲いかかる)

高木正人

(そして僕は二度といじめられることはないんだ、二度と…)

高木正人

(裕也、お前が悪いんだ)

僕は発信ボタンを指で押した──…

高木正人

(死ね!)

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コメント

117

ユーザー

これからどうなるんだろう!きになる

ユーザー

すごい👏👏

ユーザー

圏外で電話とか連絡できるんかいスマホ優秀やな(?)

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