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AI

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AI

♥

37

2020年04月19日

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AIが普及して、数十年が経つ…らしい。

断定しないのは、それが居ない時代を知らないから。

アイツ、ずっといるんだもの。

私、アイツの事大っ嫌い。

AI

私の家にはAIを搭載した人型ロボットが居る。

私は皮肉を込めてアイツとしか呼ばないけど。

それには、理由がある。

朝の例で言おう。

私は、自分の部屋にいる時。

咲良

はぁ…

という感じで、私は良くため息を吐く。

Rq13

どうされましたか?

すると、アイツは機械的に返事する。

咲良

何でもないよ

と言うと、こくりと頷いて止まる。

咲良

はぁ…

そこで、思わずため息を吐いたとする。

Rq13

どうされましたか?

…これよ。

感度が良すぎるの、良く言えば。

悪く言えば

うっざい!

咲良

…何でもないわよ

アイツは、何でもない、という言葉が鍵になっているらしい。

その言葉を言うと、こくりと頷いて机の隅にうずくまる。

いつも嫌になる。

だってこれじゃ、私が何か悪い事してるみたいじゃない。

ほんと、嫌になっちゃう。

朝の教室

咲良

おはよ

玲子

おはよ、咲良

玲子

浮かない顔ね

咲良

またアイツが何度も反応してさ

玲子

それはそれは…

苦笑いを浮かべるのは私の幼馴染みで友達の玲子だ。

我ながら良い友達だと思っている。

玲子

そんなに嫌ならご両親に言えば良いのに

苦笑いする玲子に私は言う。

咲良

プレゼントだもの

そう言うと玲子はため息がちに笑う。

玲子

そう言うと思った

玲子

私がアイツを手放さない理由はただ一つだけ。

それは両親がくれた、ただ一つのプレゼントだから。

でもね、私は今後好きになる事なんて無いと思うの。

早く感知センサーが壊れてほしい。

玲子

センサーってそんなに反応するもの?

咲良

しないよ、多分

咲良

私のが不良品

玲子

幽霊がいたりしてね

咲良

ちょっと玲子!

玲子

ははは

楽しかった学校も終わってしまった。

咲良

アイツいるじゃん

いつもこれの繰り返し。

咲良

はぁ…

私は部屋にため息で吐かない様に外で吐き切ってから家に入った。

あっお帰り〜

おかえり、咲良

咲良

あれ?ただいま

帰ると、父と母が居た。

母は専業主婦だが、父は普通のサラリーマンだ。今いるのは珍しい。

咲良

どうしたの、こんな早く?

父に向かって言うと、何故か両親の顔が曇った。

ちょっと用事があって、今日だけ特別に休んでるんだよ

父は何がある、とは言わなかった。

ちょっと、もやっとしたが。

咲良

へぇ、そんなんだ

と、言って流した。

そうそう、ほら咲良、着替えて来なさい

咲良

はぁい

私は、とぼけたフリをして自分の部屋へと向かった。

ガチャ

扉を開けると変わらずにアイツは居た。

咲良

(はぁ、また居るわ)

私は音を立てない様に制服を脱いでいく。

ねぇ、でも。

こういう生活がずっと続くのかな。

カタン

ちょっとつま先をベッドにぶつけてしまった。

Rq13

どうされましたか?

咲良

何でもないわよ

あぁ、イライラする。

パーカーとズボンを引き出しから乱暴に引っ張り出た。

ガタタ、ガタタ、ガタタ。

Rq13

どうされましたか?

咲良

私は返事をする気力も無かった。

Rq13

どうされましたか?

咲良

咲良

んでもない…

Rq13

どうされましたか?

咲良

Rq13

どうされましたか?

咲良

咲良

うるさーーい!!

私はとうとうキレてしまった。

引っ張り出した服を着ると、大きな音を立てて部屋を出る。

バタン

Rq13

どうされましたか?

部屋の中でアイツの声が小さく聞こえた。

咲良

あぁ、もうイライラする。

部屋から出て、真っ先に両親の元へ私は行こうとした。

でも、二人で何やら話している。

あの子の部屋のアレ、どうしようか

あぁ、あのロボットだな

あの子は大事に持ってくれてるわ

そうだな…

私の部屋のアイツの話みたいだ。

あの時、本当に喜んでくれてたわね…

ああ…

…私、そんなにいい子じゃないよ。

私はそんな嬉しそうな二人の様子に後ろめたくなってしまった。

鬱憤を晴らしたくて、ここまで来たのに。

咲良

私はくるりと後ろを向いた。

でも、もう要らないわよね

そうだな、用済みだ

今日で16歳だもの

私はピタっと足を止めた。

調教ロボットなんてもう要らないわ

やけに冷たいその声に寒気がした。

何の事…?

あの子の両親を殺して16年ね

俺たちも16年間演技し続けたんだぜ?

そうね、ただの赤の他人なのにね

今日でそれも終わりさ

そうね、もうすぐ引き渡しの車が来るわ

何言ってんの…?

今頃ロボットが調教してくれているし

私達は一足先に乾杯しよう

いえっさー

キーン

ガラスがぶつかり合う音が聞こえた。

私はその音を聞いてハッと我に返った。

何の事かはさっぱり分からない。

でも、逃げた方が良いのだと思った。

幸い鍵が開いていたので私は素早く外へ出た。

咲良

はぁっはぁっ…

私は走った。

咲良

はぁ…っはぁ…

無我夢中で走った。

その時

玲子

咲良!こっちよ!

どこからか玲子が現れて

グイッと腕を引っ張られた

玲子

咲良、大丈夫?

咲良

れい、こ?

息切れする呼吸を落ち着けながら前を向いた。

玲子

そう、玲子よ

咲良

玲子!実は…!

玲子

分かってるわ

咲良

咲良

え?

玲子は悲しそうに笑った。

玲子

知ってしまったのね、咲良

玲子

あなたのご両親が赤の他人である事を

咲良

咲良

えっ…?

玲子は薄く笑う。

玲子

私はあなたを守りに来たスパイよ!

咲良

咲良

う、そ…

玲子

本当よ?

咲良

だって…同い年くらいに見える…

玲子

薬で若返っているの

あっけらかんとした態度で玲子が言う。

黒塗りの車が私達の近くに止まった。

玲子

さあ、乗って

私は、ぽかんとしてしまったが

その車に乗ろうとした

その時

Rq13

どうされましたか?

どこからか声が聞こえて来た。

玲子

ちっ

その後の事は現実かどうか分からない。

アイツは黒塗りの車を木っ端微塵にした。

そして、私を抱いて物凄いスピードで走った。

Rq13

どうされましたか?

私の記憶はそこで途絶えた。

次の日

私は、自分の部屋でぼんやりとしていた。

この話は、後から聞いた話で、私もよく分かっていない。

でも、はっきりしているのは、私の両親と友達は偽物だったということだけである。

今日でおしまいだったのに…

ちっ

両親は警察に連行されて行った。

過去、私の親を殺してる訳だからね。

玲子は姿を消してしまったらしい。

咲良

はぁ…

ため息をついた。

でも、アイツは反応しない。

全く反応しなくなったのだ。

咲良

もしかして

咲良

逃げる時、物音を立たない様に訓練させてただけとか?

咲良

ないない、ないわ〜

くたっとなっているアイツ。

あんなに憎らしかったのに、愛しささえ感じる。

咲良

ありがとう、守ってくれて

そう言って頬擦りする。

Rq13

Rq13

別に

Rq13

無事で良かった

咲良

ぎゃっ!

このロボットが話したのはこれが最後だった。

私はどうしてもこのロボットを直して欲しくて、近くの工場に持っていった。

咲良

お願いします

工場の社員

はぁ…

渋々といった感じで、社員さんはロボットをみてくれた。

工場の社員

多分、ほとんどのパーツを変えないと…

咲良

でも、どうしても、直したいんです…

社員さんは、ため息をついた。

工場の社員

熱意に負けました、直してみます

咲良

ありがとうございます!

私が感激していると、社員さんは困った顔をした。

工場の社員

でも、本当に直るか分からないです

工場の社員

パーツ一つとっても、大衆的な物でないですから…

咲良

そうなんですか

犯罪者の両親の贈り物

とても、ルーツを辿るのは困難だろう。

でも、何で助けてくれたのだろうか。

工場の社員

お嬢さん、ビンテージが好きなのですね

咲良

え?

工場の社員

いや、だって、これは明らかにAI搭載ロボットが発売された初期の作品です

咲良

へぇ

私が感心していると、社員さんは自慢げに胸を張る。

工場の社員

はい、型だけでは30年くらい前に流行したシリコンモデルですね

工場の社員

工場の社員

見た感じですけれど

工場の社員

もう10年以上は動いていないでしょう

咲良

え…?

半年後

そのロボットは私の元へ帰ってきた。

でも、センサーは壊れていないし。

ウザくもないんだよね。

ねぇ

私を守ってくれたのは

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