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テキストだけでこのクオリティは凄すぎます!!
感動した………! サムネどうだったかな…?
好き…((( テキストの使い方神ですっ✨✨
窓の外の木から 少しだけ溢れ出す、
私へのステキな贈り物_。
そして、それを眺めながら
私は一人、tea timeを楽しむ。
心温まる、優しい香りに 包まれる私の、
午後の休み時間は。
私にとって…
至福のひととき。
ふっと息をはいて、
あの日と変わらぬ、
優しい甘みの紅茶を飲んで…。
ゆっくりと、あの大きな大きな木から溢れ出る
小さな光の粒を見つめる_。
「僕は、大丈夫。」
「…だから」
「俺が居なくても…。」
「…泣かないで?」
あの日、君は…。
自分の夢に向かって。
夢への希望をバッグに詰めて。
…みんなの想い_。
その中の、私の想いも バッグに詰めて…。
一人きりで、旅立った。
「で、でも…。」
「君と離れるなんて…。」
「私には耐え切れないよ…。」
君に伝えてしまった。
…心の奥底に隠していた、 真っ黒な気持ちを…。
本当は言いたくなかった、 君への想いを…。
…君に言ってしまったら。
そう思い、何度も何度も 話す事を躊躇ったのに…。
私の気持ちを聞いた君は、
私の瞳だけを真っ直ぐに 見つめて…。
私の髪を、くしゃりと 優しく撫でた。
「俺はずっと、お前だけを 愛してる。」
「離れていても…。」
「お前への想いはずっとずっと変わらない。」
「…そうだ…。」
「この、小さな木に、 お前への愛を誓う。」
「…大好きだ。」
「この木が、大きな影を つくるようになったら…!」
「また、お前に会いに行く。」
「約束、な?」
「…分かった…。」
「向こうでも、どうか…。 元気でいてね…。」
「当たり前だ…!!」
君は、にかっと 元気な、優しい笑顔を見せる。
その笑顔に、 何度救われた事か…。
「…お前も…。」
「その、優しい笑顔でみんなを明るく照らしてくれ。」
「ふふっ!!」
「…なにそれ…。」
「あ、やっと笑った…!」
「俺にとって、お前は…。」
「太陽、そのものだった。」
「お前の笑顔が見れれば、 俺は幸せなんだ。」
「だから、どうか。」
「笑顔で、いてくれ。」
そう言い、君は旅立った。
泣きながら、笑顔で。
ふと、あの日の事を思い出す。
あの日は_。
10年前の、出来たばかりの
この喫茶店で…。
君と、二人で楽しんだ。
…なんて。
…あれ…!?
私、気づいたら…
青春の思い出に 浸っちゃってた…!?
馬鹿だな…私。
もう、終わった事なのに…。
…君の事を思い出していた。
約束なんて、 守ってくれるわけないのに。
ねえ、君。
あの日、君と約束を交わした 小さな小さな木は、
今じゃ、もうこんなにも 大きく成長したよ。
日陰ができるほどに。
そこから溢れ出る、 小さな光の粒は。
凄く凄く、ステキなんだ…!!
君に届く訳、ないのに。
私は、遠く見える 蜃気楼のような君に、
一人で、語りかけている。
やっぱり、私は馬鹿だ…。
そんな、ドラマチックな 展開なんて。
あるわけ_。
…ない。
君は、もう私の元へは 戻ってこない事ぐらい
知ってるのに。
分かってるのに。
心の奥底で、
何処か期待している 自分がいる。
そんな自分を、
どうしようもなく 許せなかった。
カランカラン…。
店内に、優しい音が響く。
店員さん
せっかく、あの小さな木は
大きく、逞しく、強く 成長したのに…。
肝心の君は、 何処を探してもいない。
そう…。
君だけが_。
プルルルルッ!
電話が、大きな音を立てる。
私を慰めるかのように…。
私
ブチッ
私
私
ツーッツーッツーッ
…無言…電話…。
…君だって勘違い しちゃったじゃん…。
やっぱり、私は、馬鹿だ…。
…もしかしたら。
そんな期待は、一瞬にして 引き裂かれた…。
失恋を思い出してしまった後の 無言電話は…。
私の心を、ボロボロにした…。
もう、無理…。
こんな事なら…。
君と出会わなければ良かった。
きっと私と君は
運命の人じゃない。
それなのに…。
どうして、こんなにも…
心惹かれてしまうのだろう…
…君は、きっと…。
私の、心の支えだった。
君がいるから、頑張れた。
君がいるから、強くなれた。
そんな私が、心の支えである 君を失ってしまったら…
…もう、何も出来ない。
堪えていた一雫が、 静かに溢れ出して…。
私の洋服の袖に、 集中豪雨を降らせた。
一雫が溢れ出した今。
私の心の中は、 ずっと曇ったまま…。
頰を濡らした一雫は
胸の中に溶けてゆく…。
気がつけばもう、
空には輝く星達が、 楽しそうに踊っていた…。
消えないで。
そう願っても、星達は 朝には消え去ってしまう。
もう一度…だけ。
君に、会いたかった。
君と、笑い合いたかった。
いや、本当は…。
もっと一緒に居たかった_。
そうやって、私は。
君にも、嘘をついて。
自分にも、嘘をついて。
…私は、とんでもない 大嘘つきだ_。
…青春の淡い思い出も。
…会社での苦い思い出も。
みんなみんな…。
紅茶を飲むと、忘れられる。
何もかも忘れて、
幸せな気持ちになれる_。
今日も、私は喫茶店の、
カウンターのいつもの席で。
窓の外の大きな木から届く 「木漏れ日」という届け物を
受け取っている_。
一人、紅茶を飲みながら。