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テラーノベル(Teller Novel)
《罪》

《罪》

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♥

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2024年03月07日

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花は咲いて枯れ

いつかは必ず儚く朽ちていく

人というものは弱く醜い

俺は殺人という重罪を犯した

だけど後悔なんてしていない

いや、ちがうな

あの男を殺したという

‪”‬事実‪”‬には後悔していない。

とあるツアーのオーラス公演後

悲劇は俺たちを襲った

会場の片付けを

6人で役割分担をした結果

リーダーの俺と

しっかり者のいるまは

聖人組の2人がまとめてくれた荷物を

倉庫に戻す係になった他に

会場の方々への挨拶を担当する事になった

<疲れたわ…w>

<もうそろ天下統一?w>

なんて話しながら

挨拶も無事に終わって

会場に戻ろうとした際に

お世話になっているスタッフさんに呼ばれた

そこで彼と別れた

スタッフさんとの話し合いが終わったあと

彼を探した

紫という派手な髪色に

ちょこんと除く可愛いアホ毛

探すのは決して難では無かった

自分の顔の位置よりも高く積み上げられている荷物をみて

普段からしっかりしているから忘れそうになったが

彼の背が低いことを思い浮かべる

どうせ負けず嫌いの彼は

聖人組の反対を押し切って1人で持ってきたんだろうな

なんて勝手に妄想して

微笑ましくなって

彼の元に向かった

俺が声をかける寸前

スタッフさんでもメンバーでもない

知らない男の人が目の前に現れた

嫌な予感がした

ライブが終わって1時間は経っている

関係者以外は帰ったはずだ。

そんな事をモタモタと考えている間に

その男は彼の真後ろに立っていた

そして階段の1番上から

彼を押そうと手を伸ばした

無我夢中で駆け出した

最悪な未来が見えてしまった

彼が‪…大切な人が

消えてしまう世界

俺は頭が真っ白になって

何も考えず

その場にあった彼が落としたのであろう

長い鉄の棒でその男の頭を殴った

そして彼を自分の胸に抱きとめる

一瞬時が止まった気がした

目の前にいた怪しい男は

血だらけで階段に倒れていて

🎼I

…ら…ん?

🎼I

なん…で…ッ

守りたかった大好きな人は

俺をみて震えた

🎼L

いるま…?

🎼L

なんで泣いてるの?

差し出した手が振り払われる

🎼I

…ッ

🎼I

人殺し…人殺しッ!

何も理解出来ていない彼に

罵倒を浴びさせられて

自分のした事の重さに気づく

🎼L

きっと酷い顔をしていただろうな

今考えれば彼の対応が正常だけど

この時は何とも言えない感情が俺を襲った

🎼I

な‪”‬ぁ<胸ぐらを掴む>

🎼L

…ッ

🎼I

なんで…なんでだよ…らん

🎼I

お前は…分かってくれるってッ

彼の過去

それは‪<可哀想>こんな言葉ひとつでは表せない程

悲惨なものだと結成当初に聞いたことがある

幼少期の唯一の救いさえも___

🎼K

…ねぇ

🎼K

何があったの?

🎼H

らん…お前…

🎼M

…き…救急車ッ

🎼S

ダメだよ…みことちゃん

🎼M

なんで…まだ間に合うかもしれんやろ!?

🎼S

逃げよ…もう俺たち以外に人は居ない

🎼S

らんらんを…守らなきゃ

🎼H

すち…お前…

🎼H

こいつまだ死んでないんだろ!?

🎼H

未遂の方が少しは…

🎼K

マシじゃ意味ないよ

🎼K

らん君を守れるのはこさめ達しかッ

🎼M

───はい

🎼M

はい…はい…ッ<電話中>

🎼S

…みことちゃん?

🎼K

みこと君ッ!<取り上げる>

🎼H

邪魔すんな、こさめ

🎼K

なんでッ!?

🎼K

らん君が可哀想じゃんッ

🎼I

異変に気づき

次々と集まってくるメンバー

俺を守ろうと奮闘する

すち、こさめ

冷静な判断で罪を軽くしようとする

なつ、みこと

涙目になりながら俺をみる

いるま。

とんでもない空気が流れる

嗚呼…これも…あれも…全部…全部

俺のせい…??

俺がグループを組もうなんて言わなかったら

ライブなんてやらなかったら

死んだのが…俺だったら

君たちがそんな顔をする事はなかったの?

遠目からでも分かる

もうあの男は死んでいる

《SIXFONIA》

俺を含めた6人で活動を行う

史上初の歌い手グループ

活動当初は

ネットを通じて出会った仲間達と

趣味程度で始める予定だった

しかし、それでも

人は見たことの無いものに興味を持ち出す習性がある

人々は新しい可能性に

何より個々の強い個性に惹かれ

俺たちを応援してくれる事になった

《歌い手界隈の顔》という

第二の名を持つ俺たちは

後から出来た後輩グループと

数多くのリスナーの

大切な<居場所>を守る義務がある

勿論俺たちを叩く奴もいたけど

立っている土俵が違う

相手にしている暇はなかった

だけど…そんな界隈の顔と言われ

割と慕われてきたリーダーが

<人殺し>なんて聞いたら

またアンチが湧くんだろうな

界隈全体が悪く見られるかもしれない

申し訳ないよ

グループも活動休止かな

せっかく波に乗ってきたのに

他のグループにも迷惑かけちゃうし

リスナーも傷つくだろうな

推しが人を殺したなんて知ったら

こんな事になるなら早めに

推しの過ち=リスナーの過ち

っていう謎の風習消しとけば良かった

せめてリスナーさんは幸せになってくれよ

🎼M

…らんらん

🎼L

…ん?

🎼M

…ううん、なんでも無い

🎼L

…そっか

複雑な心情にしてごめん

🎼K

らん君

🎼L

…うん

🎼K

こさめ、らん君のこと好き

🎼K

今まで冷たくしてごめんなさい

🎼K

だから…ねぇッ

🎼K

これが夢っていって…?

🎼K

お願い…このまま終わりたくない

未来を壊してごめん

🎼K

すち君もそう思u

🎼S

🎼S

…<死体に近づく>

🎼K

…?

🎼S

ベチャ…ベチャ…<自分の服に血をつける>

🎼M

!?

🎼M

すち君…!?

🎼S

…ニコ

🎼S

らんらん、その棒貸して?ニコ

🎼L

…ぇ

🎼S

いいから^^(圧)

🎼H

おい、すちお前…まさか

🎼S

…ねぇ貸してって<低音>

🎼L

だ…ダメッ

🎼M

すち君ッ!!

🎼S

うるッッせぇなぁッ

🎼S

貸せっつーてんの💢<大声>

そんなになるまで追い詰めてごめん

🎼H

…ビクッ

🎼H

…すち?

🎼M

…<すちに近づく>

🎼M

パーンッ💥<頬を叩く>

🎼S

い‪”‬ッ

🎼H

みことッッ!!

🎼M

ここ、ライブ会場。

🎼M

防犯カメラだってある

🎼M

お前が今更小細工したって無駄なんだよッ💢

🎼S

そんなの…分かんないだろッ💢

🎼S

俺らが守らないで誰がッ

🎼K

もう…やめてよッッ

🎼H

お前らは少しは落ち着け

🎼H

…いるま?

🎼H

大丈夫か?

寄り添うことが出来なくてごめん

🎼I

🎼H

…<頭を撫でる>

🎼I

ね…ぇさんポロポロ

🎼I

ねぇ…さんッ

🎼H

…<唇を強く噛む>

辛いこと思い出させてごめん

守れなくてごめん

ごめん、ごめん、ごめん

警察官

…警察です<手帳をみせる>

警察官

署まで…お願いします

🎼L

…はい

🎼S

らんらんッッ

🎼S

違うんですッ俺が…僕が

🎼S

この人に命令してッ

🎼S

らんらんは何も悪くないの

🎼H

すち、いい加減に

🎼S

なんで!?なんでそんな冷静なの?

🎼S

みことちゃんも暇ちゃんも…酷いよッッ

🎼S

らんらんが人殺しなんてする訳ない

🎼S

何かあったんでしょ

🎼S

ねぇッッ!!

🎼L

すち

🎼S

…?

🎼L

ありがとう

🎼L

それも踏まえて話してくるよ

🎼S

🎼L

本当にみんなごめん。

🎼L

だけど…

🎼L

シクフォニは…守っていて欲しい

🎼H

警察官

…行きましょうか

🎼L

…はい

彼奴らと涙ながらに別れてから

3ヶ月程度だろうか

俺は5年の懲役を言い渡された

これでもかなり軽い方

皆元気かな

ちゃんと飯食べてるかな

活動…辞めてないかな

辛くないな叩かれてないかな

希望を捨ててしまってないかな

何度夜を重ねても

頭に浮かぶのは君たちの姿だけ

おかしな話だ

俺が全て壊したのに

心配する資格なんてないのに

失ってなってから思う

あの居場所は

シクフォニは

俺の<全て>だったのだと

嗚呼…出来ることならもう一度

大切な人と

大切な場所で

想いを届けたかった

出来ることならもう一度

君たちと笑いあいたかった

イキってイキって

どんな壁が現れても

蹴散らしていきたかったなぁ

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