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テラーノベル(Teller Novel)

ドッ!!

2人の蹴りがぶつかり合い、 暗い廊下に鈍い音を響かせる。

鏡マイキー

…期待したが、やっぱり変わんねぇな

鏡マイキー

ちっとも面白くねぇ

マイキー

黙れ…!!

「期待はずれ」

そんな顔をする彼に対し、 マイキーはそう言い、足を振り上げた。

鏡マイキー

だから…

ドォンッ!!

マイキー

ガハッ…!!

鏡マイキー

遅せぇっつってんだよ

鏡マイキーは軽々と蹴りを避けると、 マイキーの顔面目掛けて蹴りを入れる。

まともに食らったマイキーは、 床に叩きつけられ廊下を転がった。

鏡三途

マイキー!!

マイキー

来るなッッ─!!

助けに行こうとする鏡三途に、 マイキーはそう叫び静止させた。

痛む身体を起こしながら彼は話す。

マイキー

これは、俺と…あいつの戦いだ

マイキー

お前らは、入ってくるな…ッ…

鏡鶴蝶

でも…!

マイキー

分かってる…

マイキー

俺はあいつよりも弱い

マイキー

でも…ひとつだけ、
負けてないものがある

鏡三途

負けてないもの…?

マイキー

俺の方が、夢のことを何万倍も想ってるってことだ…!

鏡マイキー

いきなり何言ってんだテメェ?

鏡マイキー

死に損ないの弱味噌が、
一丁前に軽口叩いてんじゃねーぞ

マイキー

なら聞くが、お前は一度でも…
夢のことを考えたことがあるのか?

鏡マイキー

当たり前だろ

マイキー

なら夢が薬漬けにされた時、
なんで助けなかった?

マイキー

苦しんでいるのが見えなかったのか?

マイキー

悲しんでいるのが分からなかったのか?

鏡マイキー

見えてたさ。全部、分かってた

マイキー

なら何で…!

鏡マイキー

あれは夢じゃねぇ

マイキー

は…?

鏡マイキーの言葉に、 思わず困惑の声を漏らした。

しかしそんなマイキーを 気にすることなく、彼は話し続ける。

鏡マイキー

俺らは夢を取り戻りたいんだよ

鏡マイキー

"俺らの"夢をな

鏡マイキー

あれは夢の形をした模造品にすぎない

鏡マイキー

一度空っぽにして、作り直すんだよ

鏡マイキー

俺らがしているのは、そのための準備だ

マイキー

お前、何言って…

鏡マイキー

オレらはアレを灰にして"夢"にする

マイキー

…!!

イザナ

だから決めたんだ

イザナ

オレはオマエを灰にして、
"真一郎(お兄ちゃん)"にする

イザナ

だから早く空っぽになれよ

記憶がフラッシュバックした。 同時に止めどない怒りが込み上がる。

マイキー

ふざけるな、夢は夢だ…!

マイキー

アレでも、模造品でもねぇ…!

マイキー

お前なんかに、
そう言われる筋合いねぇんだよ…!!

マイキーは怒りを露わにして叫ぶと、 鏡マイキーに向かって行った。

鏡マイキー

(全くワンパターンな動作且つ、怒りに身を任せた単純な攻撃)

鏡マイキー

(もうこいつはダメだな)

鏡マイキー

(この一撃で殺す)

自分に向かってくるマイキーに、 彼は半ば呆れた様子だった。

軽くため息をつくと、 鏡マイキーは足を振りかざす。

ドッ!!

マイキー

…ッ!

鏡マイキーの蹴りが、 マイキーの側頭部に直撃した。

それと同時に鈍い音が響き、 マイキーの体が徐々に落ちていく。

鏡三途

マイキー…!!

鏡鶴蝶

クソッ…

マイキー

…もう、倒れねぇよ

鏡マイキー

…ッ…!?

ドゴッ!!

蹴りが直撃したはずのマイキー。 しかし次の瞬間、彼の拳が鏡マイキーの顔面に入った。

完全に隙をつかれ防御ができず、 鏡マイキーは大きく後ろへよろけた。

マイキー

当たれば一発KOの蹴り

マイキー

それを一番理解してるのは俺だ

マイキー

だから逆に、それを利用すればいい

鏡マイキー

…!!

そう言って鏡マイキーを見下ろす。 彼から向けられるのは、殺意の籠った視線のみ。

マイキー

見切ったぞ、お前の隙

マイキー

俺はもう負ける気も、死ぬ気もねぇ

マイキー

テメェがイザナみたいになるってんなら、あの時と同じようにぶちのめしてやる

鏡マイキー

一発攻撃当たったくらいで、
偉そうな口きいてんじゃねーぞ…

そう言って鼻血を拭う。 そんな彼の額には青筋を浮かんでいた。

隙を突かれ、イラついているのか 大きく見開かれた目が充血していた。

鏡マイキー

ぶちのめされんのはテメェだ…!

鏡マイキー

その戯言ほざく口、
喉ごと握り潰してやる…!!

ドッ!!

途端、強烈な蹴りが マイキーに向けられる。

しかしギリギリ反応が間に合い、 マイキーは腕で蹴りを防いだ。

鏡マイキー

チッ…!!

マイキー

どうした、動きが鈍いぞ

マイキー

さっきのパンチ一発で、もうボロボロか?

鏡マイキー

…ッ…!?

ドッ!!

ズドンッ!!

鏡マイキー

カハッ… !

マイキーの振り上げた蹴りが顎に直撃し、 続けて側頭部に蹴りが入り、鏡マイキーは床に叩きつけられた。

鏡鶴蝶

マイキーが押してる、一体どうやって…

鏡三途

どうやってって、見て分かんねぇのか?

鏡鶴蝶

え…?

鏡三途

攻撃が当たらないことへの困惑と、マイキーの挑発で隙だらけになってんだよ

鏡三途

確かに俺らのマイキーは、底知れない戦闘センスとパワーを持っているが

鏡三途

それ故に対等に戦える相手がいなくて、戦いは基本的に蹴り一発で終わる

鏡三途

なのに防がれて反撃されて、
さらには挑発…

鏡三途

混乱してんだよ

目の前の光景に息を飲みながら、 彼は真剣な面持ちで言葉を並べていく。

鏡マイキー

(クソッ…何でだ…)

鏡マイキー

(なんで俺が押されてんだ…!)

鏡マイキー

(こいつは俺より弱い…!蹴りだって遅ぇのに…!)

鏡マイキー

(まさか…あのパンチ一発で、本当にボロボロになったってのか…?)

鏡マイキー

(ここまで格差が出るほどに…?)

鏡マイキー

(このままじゃ、負ける…)

負ける…?

誰が?俺が? こんな奴に?

有り得ねぇ、そんなの…

負けたくねぇ…負けちゃいけねぇ…

ここで負けたら、俺は…

鏡マイキー

夢…

鏡夢

ありがとう、首領さん!

鏡マイキー

マイキー…

鏡夢

え?

鏡マイキー

マイキーって呼んで

鏡夢

え、あ…

鏡夢

わ…わかった、マイキー

鏡マイキー

うん、それがいい

鏡マイキー

おい夢

鏡マイキー

また俺のたい焼き勝手に食べたな?

鏡夢

えっ!?し、知らないな〜
竜ちゃんじゃないの?

鏡竜胆

巻き込むな

鏡マイキー

ココ、来月の夢のお小遣いなし

鏡ココ

りょーかいボス

鏡夢

ちょ!!それだけは勘弁!!

鏡夢

マイキー、BL漫画描いていー?

鏡マイキー

なんで俺に聞くんだ?

鏡夢

マイキーが入ってるカプだから

鏡マイキー

俺が受けじゃないならいい

鏡夢

おけ、じゃあマイ春ね

鏡マイキー

ああ

鏡三途

いや「ああ」じゃないですよ

鏡夢

マイキー、暇だから
蘭ちゃんにイタズラしない?

鏡マイキー

あとが怖いからやめとく

鏡夢

何マイキー、日和ってんの?

鏡マイキー

ちげーし!分かった、協力する

鏡夢

さすがマイキー!
じゃあ早速やろっか

鏡蘭

誰に何をやるって??

二人

あ…

今でも鮮明に覚えている

大切な人との大切な思い出

どれもくだらないけど、 俺にとっては忘れられない思い出

でも俺の思い出にいる夢は もうどこにもいない

また会えるのなら あの日常を取り戻せるのなら

俺は何でもする どんなことでも耐えられる

例え、信頼していた部下に 裏切られたとしても

例え、自分の分身と 争うことになってしまっても

例え、夢と同じ存在の少女を 傷つけることになってしまっても

これが全て正しいことなんだ

そう思っていたのに…

こいつの言葉に、 心を揺さぶられている自分がいる

こいつの訴えに、 感化されている自分がいる

こいつの覚悟に、 押されている自分がいる

そしてそれに気がついて、 全てを悔やんでいる自分がいる

鏡マイキー

自分本位…だったんだろうな

マイキー

…?

鏡マイキーの突然の言葉を聞き、 マイキーは動きを止めた

彼が振り上げていた足を下ろすと、 鏡マイキーは話を続けた。

鏡マイキー

誰のためでもない、ただ自分のためだった

鏡マイキー

夢にまた会いたいと、
俺自身がそう思ったんだ

鏡マイキー

でもそのせいで、全てを間違えた

鏡マイキー

あんなことしなければ、誰も傷つかず、こうやって争いが起こることもなかった

鏡マイキー

お前らやお前らの夢が、あんな辛い目にあうこともなかった

鏡マイキー

夢が死んで、どうしようもなかった…何も考えられなくなっていた…

鏡マイキー

そんな言葉を言ったところで、
何も変わらないとは分かってる

鏡マイキー

でも、もうどうしようもない…ッ…!

ひとり自責の念に駆られていた彼は、 そう言い涙を流し始めた。

マイキー

お前…

鏡マイキー

もう夢は帰ってこない…

鏡マイキー

あの子はもう…お前らの知る夢でも、俺らの知る夢でもなくなった…

鏡マイキー

全てを忘れ、幻覚に苛まれ、
本当の意識すらも消えている

鏡マイキー

もう取り戻せない…

マイキー

………………

マイキー

本当に、そう思うか?

鏡マイキー

え…?

マイキーの言葉に思わず困惑する。 下を向いていた顔を上げると、そこにはやはり瓜二つの顔がある。

マイキー

夢がああなった原因は薬だ

マイキー

大量摂取ではあるものの、それはあくまで一時的なものだ

マイキー

さらに夢は、記憶喪失に関しては3回目だ

マイキー

時間はかかるかもしれないが、もしかしたら記憶が戻るかもしれない

鏡マイキー

そんな確証どこに…

マイキー

お前は夢を信じられないのか?

鏡マイキー

いや…

マイキー

なら信じてやれ、必ず帰ってくるってな

マイキー

そのために俺たちが行動するんだ

マイキー

分かったらいつまでも、
泣きべそかいてんじゃねぇ

マイキー

立て、俺らに協力しろ!
今ならまだきっと間に合う!

そう言って鏡マイキーの胸ぐらを掴む。 いつの間にか涙は止まり、潤んだ瞳に彼の真剣な顔が反射する。

鏡マイキー

俺は…ッ…

To Be Continued…

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コメント

41

ユーザー

初コメ失礼します!🙇🏻‍♀️ 小説の書き方とかが好みすぎて 最高すぎます!!😭 無理せず自分のペースで投稿 頑張ってください!!🔥 続き楽しみに待ってます!!

ユーザー

お久しぶりです!!澪さんの投稿楽しみにしていました✨ 夢ちゃんと鏡夢ちゃん、中身も見た目も同じように見えて、同じ世界で過ごしていた皆から見たら全く違うものなんでしょうね…🤔💭 今の所、夢ちゃん助かりそうで安心しています!でも、3回目の記憶喪失…薬の大量摂取で一時的なものだとしても、不安が募ります。無事でいて欲しい…!!

ユーザー

澪さんお久しぶりです!投稿とても嬉しいです! マイキーと鏡マイキー、どっちも夢ちゃんを想っての行動だと思うと本当に辛すぎる…! 夢ちゃん助かるフラグ立ってる感じるするけど、どうなんだろう… 続きが楽しみすぎる!

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