TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)
噂の肉料理店

噂の肉料理店

「噂の肉料理店」のメインビジュアル

1

噂の肉料理店

♥

600

2020年05月20日

シェアするシェアする
報告する

五十崎 直斗

なあなあ、間宮

にやにや、何か企んでいるような顔で話しかけてくる友達。

間宮 碧斗

何だよ、五十崎(いざき)

敢えて素っ気のないフリをし、 返事をする。

五十崎 直斗

霧野肉料理店って知ってるか?

間宮 碧斗

霧野肉料理店...?

聞いたことの無い肉料理店だった。

普通の肉料理店じゃないのか? と思い、聞き返す

間宮 碧斗

なんだそりゃ

五十崎 直斗

えっ、知らねーの?

五十崎 直斗

最近よく噂されてるじゃん

間宮 碧斗

...?

記憶を深く探る。

コソコソ、噂好きな女子が 話していた内容ー...

間宮 碧斗

あっ

間宮 碧斗

あれか?

間宮 碧斗

その肉料理を食べれば、
幸せになれる。

間宮 碧斗

しかしそれ故に、幸せ過ぎて店から出て来なくなるとか何とか...

五十崎 直斗

そうそう!

間宮 碧斗

んで、それがどうしたんだよ?

五十崎 直斗

ふっふっふっ...

五十崎 直斗

間宮、明日から夏休みだろ?

間宮 碧斗

...お前まさか

俺は大のホラー嫌いだ。

まさか、そこに肝試しに行くとか 言わないよな?と願う。

五十崎 直斗

ご名答っ!

五十崎 直斗

そこに肝試しに行こーぜ!

間宮 碧斗

行かない。

即答する。言うと思った。

五十崎 直斗

だろうな。

相手も言うと思ったと言う表情を する。

その後、ニッ、と怪しい笑みを 浮かべ、こう言った。

五十崎 直斗

だ、か、ら、

五十崎 直斗

こんなのを用意しましたぁ〜!

鞄をごそごそとした後、五十崎は バンッと何かを取り出す。

間宮 碧斗

...!!

間宮 碧斗

それはっ...!

五十崎 直斗

そう!

五十崎 直斗

お前の大好きなアニメの...

五十崎 直斗

映画のチケットだ!

間宮 碧斗

人気過ぎて買えなかったのに...!

間宮 碧斗

なんでお前が!?

五十崎 直斗

従兄弟が

五十崎 直斗

「仕事入ったから行けなくなった。あげる」

五十崎 直斗

って言ってくれた

五十崎 直斗

なので〜

五十崎 直斗

肝試しに来てくれたらやるよ

間宮 碧斗

...!!

間宮 碧斗

...行く

間宮 碧斗

行けばいいんだろ!

推しへの愛は止まるはずもなく。

俺は見事に釣られてしまった。

ー当日ー

五十崎 直斗

間宮ー!

間宮 碧斗

あ、五十崎

間宮 碧斗

遅いぞ

五十崎 直斗

ごめんごめん

五十崎 直斗

準備してたら遅くなっちゃって...

間宮 碧斗

はあ...

間宮 碧斗

えっと...

間宮 碧斗

あの店だよな?

五十崎 直斗

そうだ

体が行きたくない、と拒む。

でも...と考え、俺は深呼吸して 言った。

間宮 碧斗

...あーもう!

間宮 碧斗

推しの為だ!

間宮 碧斗

俺は腹を括ったぞ!

五十崎 直斗

おー!

五十崎 直斗

じゃあ行くか!

噂の肉料理店へと、歩を進めた。

暖簾を潜る。

店員

いらっしゃいませ!

大きな声で挨拶され、慌てて こんばんは、と挨拶してした。

中は割と普通で、明るさも 丁度いい。

木の温かさを感じる店だった。

消息不明のしの字も感じない店だ。

俺と五十崎は小さな向かい合いのテーブルへ案内された。

奥の客は、ぐうぐうと眠っている。

店員

ご注文がお決まりましたら、お呼び下さい。

間宮 碧斗

はい。

間宮 碧斗

五十崎、どうする?

店員

んー...

店員

俺、カツ丼にするわ。

間宮 碧斗

はいよ

間宮 碧斗

んー...俺は...

間宮 碧斗

ステーキにするわ

五十崎 直斗

了解〜

五十崎 直斗

店員さーん!

店員

はい!

それぞれ注文し、料理を待つ。

数十分後、2人分の料理が来た。

店員

お待たせしました!

店員

カツ丼とステーキです!

五十崎 直斗

いただきます!

間宮 碧斗

あ、いただきます...

五十崎 直斗

なあ、間宮

五十崎 直斗

この店さあ

五十崎 直斗

めっちゃ普通じゃない?

五十崎 直斗

客もまあ数人いるし

五十崎は頬を動かしながら言う。

間宮 碧斗

そうだな

間宮 碧斗

噂はほんとにただの噂だったな

五十崎 直斗

にしてもうめーな...

間宮 碧斗

...ホントだよなぁ...

間宮 碧斗

...あれ、なんか眠たく...

五十崎 直斗

...俺も...

間宮 碧斗

(...まあいいか

視界が段々暗くなっていく。

降りきる手前、店員の声が 聞こえた。

店員

...ふふっ

店員

今日はいいのが手に入ったな...

不気味な笑み浮かべ、こちらに手を伸ばしてきた。

間宮 碧斗

(...

バンッ

五十崎 直斗

間宮っ!

間宮 碧斗

ああ!

店員

!?

店員を2人で取り押さえ、 ガムテープで縛る。

店員

なっ...!?

五十崎 直斗

柔道部、舐めんなよ!!

間宮 碧斗

五十崎、足もだ!

五十崎 直斗

ああ!

店員

な、何故だ!?

店員

あの飯には睡眠薬を...

店員

食った形跡もあるのに...!!

五十崎 直斗

へえー...

間宮 碧斗

やっぱそうだったのか...

店員

!?

俺と五十崎は鞄から袋を取り出す。

店員

...なっ!?

間宮 碧斗

...悪いけど

五十崎 直斗

ここに取り分けさせて
貰ったんだよね

店員

...くっ...!

店員

小賢しいガキが...!!

間宮 碧斗

...ところで、店員さん

間宮 碧斗

なんでこんな事してるの?

間宮 碧斗

...あれ、まさか人肉?

店員

...違う

店員

料理の肉はちゃんとした
動物の肉だ。

五十崎 直斗

んじゃ、何で睡眠薬なんか...

店員

...

店員

実験台だよ

間宮 碧斗

...は?

五十崎 直斗

え?

店員が呆気なく話したことと、意外な返答に戸惑った。

間宮 碧斗

実験台...?

店員

そうだ

店員

...私の娘が、不治の病に
かかったんだ。

店員

そこで、俺は薬を作り始めたんだ。

店員

そして、やっとの思いで
試作品が出来た。

店員

でも、実験台がいない。

店員

募集したり、友人に頼み込んだが集まらない。

店員

俺がやったとして、もしもそれで死んだら元も子もない。

店員

だから、肉を提供する代わりに実験台になって貰ってたんだ。

間宮 碧斗

俺たちがいい実験台だって
言うのは?

店員

歳が同じくらいだったからだ

五十崎 直斗

...誰か死んだってことは?

店員

まだない。

店員

何人かで試したが、大丈夫だった。

間宮 碧斗

...良かったな

五十崎 直斗

良かったとは言えど

五十崎 直斗

警察には通報しなきゃな

店員

ああ

店員

娘に...薬を渡してやってくれ

間宮 碧斗

...わかった

五十崎 直斗

...ああ、もしもし、警察ですか?

間宮 碧斗

...!

間宮 碧斗

(あの絵...

間宮 碧斗

(俺の好きなアニメのキャラ...

間宮 碧斗

(娘さんの名前かな?

間宮 碧斗

(星崎 霙...か

その後、店員は捕まった。

五十崎 直斗

間宮ー!

五十崎 直斗

俺たち、ニュースになってたな!

間宮 碧斗

んー?...ああ

間宮 碧斗

なってたな

五十崎 直斗

俺たちマジカッコよくね?

五十崎 直斗

あの後、消息不明になってた人も

五十崎 直斗

全員生きて戻ってきたみたい
だしな!

間宮 碧斗

そうだな

間宮 碧斗

よかったよ

五十崎 直斗

あ、でさ

五十崎 直斗

映画どうだった?

間宮 碧斗

んー?

間宮 碧斗

あ、あれな

間宮 碧斗

店員の娘さんに渡した

五十崎 直斗

え?

間宮 碧斗

壁にあった絵...

間宮 碧斗

俺の好きなキャラクターでさ

間宮 碧斗

娘さんっぽい名前あったから...

間宮 碧斗

父親を失った代わりにって...

五十崎 直斗

...なあんだ、そうだったのかよ

間宮 碧斗

まあ、あの父親も仕方なかったんだろうな

五十崎 直斗

そうだなぁ

五十崎 直斗

噂の肉料理店、か

間宮 碧斗

あの店員がいたら

間宮 碧斗

また行きたいな

この作品はいかがでしたか?

600

コメント

8

ユーザー

また長くてすみません... またまたMIコンテストに参加していただきました!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
;