息をするのが苦しい。 うつ伏せで倒れて居る所為も 有るかも知れないが。

一人称は僕で固定されたかの様に、 他の一人称を使うと云う考えは 消えていた。

織田作との約束は絶対に守る... 若し此の命が危機に瀕したとしても...

と太宰に聴こえる声音でそう呟いた。

という訳で結局 此の状態にしている薬か何かも 判らないモノの正体すら不明だ。

出来事を話し終えると国木田君は、 何やら考え事を始めた。

突然頭に酷い痛みが走った。

其の痛みの所為で躰が椅子から 落ちそうになったが、

国木田君は考え事を辞め、 僕の躰を支えてくれた。

そう...仕事をして居る時は 全く頭痛はしない。

ガチャ！

突然扉を開ける音が聞こえた。

そして人影が一人入ってきた。

声の聞こえた方を見ると、

其処には武装探偵社社員の一人

「江戸川乱歩」が居た。

乱歩は国木田を室の端に連れて行き、 こそこそと話を始めた。

太宰がマフィアに居た時に 頻繁にしていた行動を取らないと 頭痛として襲って来る

と云う事は...

太宰にはマフィアに居た時に していた事をさせなくてはいけない。

そして其の行動一つでは頭痛は 落ち着かないということ。

手を振り扉に向かって 足を進める乱歩。

其の背中に国木田は声を掛けた。

声を掛けられた乱歩は振り返り

と云い残し社を後にした。

乱歩の言葉を頭に浮かべ考える

が其れは出来なかった。

と太宰の声が聞こえて振り返る。

其処には、

頭痛で椅子から落ちて了った 太宰の姿が在った。

頭痛が先程よりも酷いのか躰を丸めて 蹲り痛みに耐えようとして居た。

息の荒い状態の太宰に問うのは 酷いが、此れを聴かない ことには始まらない為問った。

途切れ乍らもそう答えた 太宰の目には、

薄く涙が滲んでいた。

乱歩さんの考えが正しければ 頭痛は一時的にだが、治まる筈だ。

まあ乱歩さんの 推理が外れる訳がない。

半ば強引に太宰を外へ連れ出した。

数分後には太宰は自分で歩ける 程に迄、回復していた。

太宰に其のことを伝えようとしたが、

先に口を開いたのは太宰の方だった。

大体勘づいていた。 そんな感じだろうと思っていた。

若し国木田君に云った四つで 此の頭痛が治らなかった場合、 僕は如何なるのだろう。

国木田はゆっくり静かに口を開いた。

ゆっくり横浜の街並みを歩く。

そんな中、人々は働き、陽は落ちる。

空を見上げると、 月は姿を見せ初めていた。

又、頭痛が僕を襲った。

太宰は意識を失い倒れた。

其の後、 俺は急いで太宰を社に運んだ。