JKに追われてた男の子
なんとなく助けた
年下だと思ってたら同い年だった
それから今日なんとなく聞いた曲
あれを作った“MIA” のメンバーだった
なんとなくって怖い
ミア
ミア
ほんとに言ってる…?
渚
うん…?
ミア
ミア
渚くん、有名人なの!?
ミア
だからJKに追いかけられてたんだ!
ミア
どうしよう…
渚
…ミア?
ミア
私捕まる!?
ミア
有名人家に入れたら捕まる!?
渚
…ははっ
渚
なんだよそれ笑
渚
見つからなきゃへーき
ミア
見つかったら捕まるの!?
渚
そこまでは大丈夫だって笑
渚
でもファンの子になにされるかわかんない…
ミア
……
ミア
絶対殺される…!!
ミア
…今すぐ追い出したいんだけど、
ミア
帰るとこある…?
渚
……
ミア
ないの!?
渚
言ったじゃん
渚
彼女に振られたって…
ミア
彼女の家に住んでたの!?
渚
違うよ、同棲してたけど別れたから
渚
家、譲っちゃったんだよ
ミア
ミア
バンドのメンバーの家は?
渚
無理、彼女いたこと知らない
渚
恋愛禁止
ミア
はぁ…
ミア
(てゆうかなんで私がそんな心配してるの…?)
ミア
(他人なんだから私には関係ない)
ミア
(でも、この指輪…)
どうしても自分と似たような彼を ほっとけなかった
ミア
…私の家、住む?
渚
え…?
ミア
本当は今すぐにでも出てってほしい
ミア
だけど、住むとこないだろうし
ミア
この指輪、貰っちゃったから…
渚
……
渚
ありがとう…本当に……
指輪
またこの指輪という呪縛をかけられた
ミア
とりあえず、今日はもう寝よう
ミア
渚くんベッド使っていいから
渚
…いやでも、ミアの寝るとこあるの?
ミア
床で寝るからいいよ
渚
だめだよ、女の子がそんなとこで寝ちゃ
渚
俺と交換しよう
ミア
いやいや、一応お客様だし…
渚
……
渚
じゃあ一緒に寝——
ミア
勘弁して
ミア
いいから黙って寝なさい
ミア
おやすみ
渚
…おやすみ
ミア
(結局寝れない…)
ミア
(これから毎日床で寝るのはきついなぁ)
ミア
(いろいろ買い揃えないと…)
渚
……
ミア
(もう寝てる…)
ミア
(…この人、彼女に指輪あげられなかったって言ってたけど)
ミア
(どんな恋愛だったんだろう…)
ミア
(こんなにかっこいい人がフラれることってあるんだなぁ)
ミア
ミア
(手…大きいなぁ)
ぎゅっ
ミア
…!
ミア
渚くん…!?
渚
……
ミア
(…寝てるの…?)
ミア
(手離してくれないと、寝られないよ…)
渚
ア……ミア…
ミア
ミア
…ん
渚
おはよう
ミア
…手
ミア
ミア
…はっ!これ、私が繋いだんじゃないからね!?
渚
あ、そうなの?
ミア
渚くんが寝ぼけて手離してくれなかったの!
ミア
そのまま寝ちゃってたんだ私…
渚
ははっ、そっかそっか
渚
ごめんね笑
渚
俺、今日練習だからはやく行かないと
ミア
…そっか!
ミア
着替えどうする?
ミア
昨日の着て行ったら不自然だよね?
渚
悪いんだけど、借りていい?
ミア
うん…!
ミア
…一応鍵渡しとくね
渚
うん、ありがとう
渚
それじゃ、行ってきます!
ミア
…いってらっしゃい
昨日、やろうと思えば手を振り払えた
でもなんとなく、離したくなかった
久しぶりに誰かの温もりを感じた
久しぶりに誰かを見送った
久しぶりに、寂しくなかった
ミア
…っしゃあ!
ミア
家探すか!
指輪の呪縛という口実で
もう少し、渚くんに縋っていたい