中は薄暗くまるで夜のような
雰囲気を醸し出していた。
???
取り敢えずそこに座れ
無那
は、はい...
???
ほうじ茶と緑茶、どっちがいい?
無那
り、緑茶で...
???
ん。...熱いから気を付けろ
無那
あ、ありがとうございます...
少しぶっきらぼうな振る舞いだが
私はありがたくお茶を頂いた。
するとその人は私と対面側の
席に着き、私をジッと見つめた。
無那
....
???
....
無那
....
無那
(えっ、何これ?どういう状況?)
???
何故、お前はあんな所にいたんだ?
無那
えっ、何でって...
無那
街でアヤちゃんっていう女の子に話しかけられて、友達が倉庫にいるって言われたから助けに...
???
....
???
お前は馬鹿なのか?
無那
無那
は?
しかし私は脳をフル回転させて
その意味を改めて理解する。
無那
(ばか?今この人私にバカって言った...?)
無那
(ばかって?バカって?馬鹿って...)
無那
無那
馬鹿ってどういうことですかァァ‼︎
私は力いっぱいに机を叩き
その人に詰め寄るように言った。
???
だってそうだろう。それとも何だ、自分は馬鹿ではないと?
無那
ど、どこの部分が馬鹿なんですか‼︎
???
それすらも気付いていないと。ならばせっかくの機会だ、耳の穴を掻っ穿いてよく聞け
???
???
お前は簡単に人を信用し過ぎだ
無那
っ‼︎
無那
それ、レイラさんにも同じこと言われた...
???
そのレイラというのが誰かは知らんが、この忠告は二度目のようだな。では何故、お前は学習をしないんだ?
???
やはりお前は馬
無那
馬鹿じゃないです‼︎
無那
てか初対面なのに人のこと馬鹿馬鹿言うなんて失礼にも程があるでしょうが‼︎
無那
それに私は馬鹿ではなく、ちゃんとした黒星 無那という名前がありますから‼︎
???
そうか、それは失礼した
???
では黒星、単刀直入に聞こう
???
何故お前は簡単に人を信用できるんだ?
無那
な、何故って...
無那
そんなの考えたことないです...
???
...そうか
???
すまなかったな、突然罵倒してしまって。つい先祖の過去と比較してしまった、悪気はない許してくれ
無那
えっ⁉︎べ、別に大丈夫ですよ⁉︎
無那
(先祖の過去...?何か重要な出来事でもあったのかな...?)
???
そうだ黒星、お前はどこかに行くつもりだったんだろう?
無那
な、何でそれを...
???
そのリュックを見れば明らかだ
その人と私の視線の先には
パンパンに膨れた
リュックがあった。
無那
あっ...
???
無理矢理連れてきて罵倒してしまったお詫びだ。目的地まで乗せて行こう
無那
そ、そんな悪いですって‼︎
???
ならお前は土地勘あるか?
無那
....
???
安心しろ、嘘は吐かん
無那
で、ではお言葉に甘えて。えーっと...
???
ああ、そういえば名乗るのが遅れたな
茉莉
あっしの名前は鉄砲ヶ原 茉莉(てっぽうがはら まつり)、この工房で鍛冶屋をやっている
無那
(あっしと鉄砲ヶ原...どこかで聞いたような...)
茉莉
では目的地を伺おう
無那
はい、えーっと...戒楼(かいろう)市にある建沢葬儀社です‼︎
茉莉
戒楼市か...ちょうど隣の市だな
無那
そうなんですか?ちなみにここは何市なんですか?
茉莉
ここは蛇蝎(だかつ)市だ、詳しくは地図を見ろ
茉莉
さて、時は金なりだ。これを被ってバイクに乗れ
私は渡されたヘルメットを被り
青く光るバイクに跨った
茉莉
しっかり捕まっていろ
無那
えっ、ちょ
するとバイクは凄まじい速度で
発進し、私は飛ばされないように
必死にしがみつくのだった。