わたしは戸羽コトハ
夢が叶って
有名な作家になった
ある日の夜
自宅で読書をしていると
電話が鳴った
戸羽コトハ
誰かしら?
戸羽コトハ
こんな時間に…
時計の針は
深夜1時を指している
戸羽コトハ
はい…
ミオ
こんばんは
ミオ
遅くに…
ミオ
ごめんなさい
ミオ
ミオです
戸羽コトハ
あら、久し振りね
ミオは、高校の同級生だ
話すのは10年ぶり…
戸羽コトハ
元気にしてる?
ミオ
ええ
ミオ
コトハは、元気よね
ミオ
いつも読んでいるのよ
ミオ
あなたの作品…
戸羽コトハ
ありがとう
ミオ
とってもとっても、素敵な作品ね?
戸羽コトハ
戸羽コトハ
ミオ…
戸羽コトハ
今日は、どうしたの?
ミオ
わたしね…
ミオ
気づいてしまったの
戸羽コトハ
戸羽コトハ
何に?
ミオ
わたし、昔から本が好きで…
戸羽コトハ
…そうだったわね
ミオ
色んな本を読んでいたでしょう?
ミオは気づいている
わたしの
「秘密」に…
ミオ
そして
ミオ
あなたの作品に「よく似た話」を見つけたの
戸羽コトハ
よくあることよ
戸羽コトハ
戸羽コトハ
似ているくらい
ミオ
違うの!
ミオ
1つや2つじゃない!
戸羽コトハ
それは…
もう逃げられない
どうする…?
戸羽コトハ
戸羽コトハ
脅しているの?
戸羽コトハ
わたしの事…
ミオ
まさか!
ミオ
安心して?
ミオ
わたしは
ミオ
あなたの作品の「ファン」なのよ?
戸羽コトハ
だったら!
戸羽コトハ
いったい、何の用なの!?
戸羽コトハ
こんな時間に…
ミオ
ミオ
ごめんなさい…
ミオ
わたしは
ミオ
あなたの作品を
ミオ
「マネした人」に
ミオ
忠告してきたの
戸羽コトハ
嘘、でしょ?
そんな事をされたら
わたしは…
ミオ
ちゃんと
ミオ
ひとり
ミオ
ひとり
ミオ
ミオ
丁寧に、ね?
戸羽コトハ
やめて…
わたし、まだ…
『有名作家』でいたいの
ガタンッ
机に寄りかかった時…
ラジオの電源を 押してしまった…
ラジオ
速報です!
ラジオ
人気作家の○○さんが、自宅で何者かに刺殺されました
戸羽コトハ
ミオ?
ラジオ
自宅にはメモが──
ミオ
安心して?
ミオ
あなたは、わたしが守る
ミオ
言ったでしょ?
わたしは
あなたの
作品の
「ファン」
なんだから…