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届かないノート

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8

届かないノート ~8話~

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2020年04月16日

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奏多

綺麗だねー!
夕方の海が1番好きだ!

私も夕方の海が好き!

奏多

凛ちゃんと一緒に来られて
良かったよ!

奏多

今日で付き合って
10年だね!!!

奏多

10年間ありがとう

急にどうしたの💦
ありがとね!

私も奏多と来られて
良かった!

奏多

凛ちゃん!
えと、えっと

奏多

こんなに
緊張するかなー

えっ??
どうした??
ゆっくりでいいよ

奏多

ありがとう!
凛ちゃんに
伝えたいことがある
聞いて欲しい!

奏多

凛ちゃん!
10年間ありがとう。

奏多

俺は凛ちゃんといられて
幸せだった。
どんな日も
凛ちゃんのおかげで
幸せでいられた。

はい。

奏多

これから先も
ずっとずっと
一緒にいて欲しい

奏多

だから自分と
結婚してください

キラキラ光る夕方の海 波打つ音

目の前で指輪の箱を開けて 見つめてくれる最愛の人

この世界が とても綺麗で 最高の瞬間だった

はい、はい!
もちろん!
どうぞよろしく
お願いします!!!

奏多

や、や、やったー!!!

大人気ないくらい 大喜びする奏多が とても愛おしく感じた

奏多

凛ちゃん!!!
これからもよろしくね!

奏多

これ、凛ちゃんに。

ええ!
かすみ草の花束だ!!!
ありがとう!

プロポーズを受ける少し前 奏多から理想のプロポーズを 聞かれたことがあった

その時私は かすみ草の花束が欲しいと答えた

かすみ草は主役ではないけれど その控えめな印象と 他の花を引き立てるところが とても好きだった

奏多からのプロポーズは 私の理想そのもの いや 理想以上のものだった

奏多(職場)

ここ、、ですか??
婚約者さんに
プロポーズされた場所。

うん!そうだよ
ちょうどこのくらいの
気候で夕方の海だった

奏多(職場)

そうですか。
とても素敵ですね!
やっぱり立花さんの
婚約者さんだから
素敵な方ですよね。

うん。
とてもとても
私にはもったいない
くらいにね!

って私の惚気話を
しに来たわけ
じゃないから(笑)

私は泣かないようにと できるだけ明るく振舞ったが 今にも涙が零れ落ちそうだった

さ!
早く写真撮って
帰ろう

奏多(職場)

あ!はい!
そうですね!

写真撮ってて!
私ちょっと木陰にいるね

奏多(職場)

分かりました!
立花さん足元気をつけて

ありがとうー

それにしても 夕陽に当たる松永君の横顔が 奏多に似て見えてしまう

そういえばいつも海辺で 私はこの木陰小屋のような 柱だけの小さなベンチに座っていた

その時ベンチの下に 綺麗に並べられた冊子を見つけた

うん??これなんだろ。
ノート、、かな

2冊あるけど
落とし物かな

ノートの下欄に 「松永奏多」 と名前が記してあった

うそ!
まさかね!

おそるおそる ノートを開こうとした時

奏多(職場)

立花さーん!
写真撮れました!
行きましょうー

あ!お疲れ様!
今行くね!!!

遠くからの松永君の声に 私はとっさにカバンに 2冊のノートを入れた

届くはずのなかったノートを

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