じゃっぴは……

ベットに横たわり、白い布がかけられていた

じゃっぴは余命一年と言われてから

約三年も生きた

それはきっとじゃっぴだけの力ではない

じゃっぴの両親、妹、親友たち、そしてのあさん

私は力になれたかわからないけど、

じゃっぴを愛した人たちと、じゃっぴ自身がつくりあげた三年間だった

じゃっぴはのあさんと同じく、

穏やかな表情で眠っていた

十九年という短い人生

それでもじゃっぴは短かったけど幸せだった、

という表情をしているように私は見えた

じゃっぴの葬儀にはたくさんの人が訪れた

のあさんのときよりも大勢の人が最後のお別れをしに来ていた

みんな泣いていた

わたしは最後まで涙を堪えて、じゃっぴを見送った

もう何度ものあさんのブログを読んだ

読むたびに涙が出てくる

ひととおり記事を読んで、パスワードを入力する

そして、やっと開けた

鍵のかかった記事

十一月五日。晴れ。体調悪い。

今日私は、じゃぱぱさんの秘密を知ってしまった

午後から検査があるので一階に降りたら、じゃぱぱさんがいた

別の検査室から出てきたところだった

私のお母さんも一緒にいて、深刻そうに何か話してた

その後お母さんを問い詰めたら、全部話してくれた

じゃぱぱさん、心臓の病気でもうすぐﾀﾋんじゃうかもしれないって。

信じられなかった

じゃぱぱさん、私に心配かけないようにずっと黙ってたんだって

花火大会の日も、じゃぱぱさん入院してたみたいです

隠さなくていいから、話して欲しかったな

私だけじゃなくて、じゃぱぱさんも辛かったんだ

辛かったのに、辛いはずなのにじゃぱぱさんは毎日のように会いにきてくれた

じゃぱぱさんは自分に残された時間を、全部私のために使ってくれた

本当は病気なのに、健康なふりをして私を励まし続けてくれていた

そう思ったら、涙が止まりませんでした

私なんかのためにごめんね

私はどうしたらいいんだろう

このまま知らないふりをして、じゃぱぱさんには黙ってた方がいいのか

きっと私に知られたくないから言わなかったんだよね

どうしたらいいのか、どうすればいいのかわからない

わからないけど、私はじゃぱぱさんを支えてあげたい

でも、じゃぱぱさんがﾀﾋんじゃうところは見たくないから、

私が先にﾀﾋねるといいな……

私が先にﾀﾋんで、天国からじゃぱぱさんを見守ろう

うん、そうしよう

（追記。十一月十八日、二十時五十八分）

もし生まれ変わったら、私はガーベラになりたいです

色は何色がいいかな

赤やピンク、オレンジに黄色

どれも綺麗だけど、

やっぱり『希望』の白がいいな

ガーベラの花は春と秋に咲くってお母さんから聞きました

私は春に咲くガーベラになって、お花屋さんに出荷されて、

えとさんが私を手に取ってくれて、

そしてじゃぱぱさんの病室に飾られて、じゃぱぱさんを見守りたい

何日経っても枯れずに、ずっとじゃぱぱさんを見守っていたい

枯れずにいたら、いつまでもじゃぱぱさんと一緒にいられる

ガーベラに生まれ変われたらいいなぁ

やっとこの記事に辿りつけたよ

まさかパスワードが俺の誕生日だったとは笑

病気のこと、ずっと黙っててごめん

のあさんに知られていたなんて思わなかった

きっと驚いたよね、悲しませてごめん

追記も読みました

ガーベラじゃなくて、今度は健康な女の子に生まれ変わって、

幸せな人生を送れることを祈ってます

じゃぱぱ

もうすぐのあさんのところに行くことになるかもしれません

半分怖いけど、もう半分は楽しみです

のあさんのおかげで、

余命一年といわれた日から三年も生きられました

のあさん、本当にありがとう

それから、このブログのことをえとさんに教えました

誰にも教えないつもりだったけど、えとさんならいいよね

あと、どのくらいかな

もうほとんど寝てるみたい

のあさん、待っててね

ガーベラも一緒に持って行くね

じゃぱぱ

のあさん、そっちでじゃっぴに会えたかな

ガーベラを一緒に見てるかな

もし会えたら、二人ともそっちで幸せになってください

もう期限なんてないんだから、思う存分恋をしてください

天国はどんなところかな

私も何年か、何十年かしたらそっちへ行くと思います

その時は、また三人で楽しくおしゃべりしよう

その日まで、私は二人の分まで精一杯生きます

二人がいなくなった世界で、悔いのない人生を送ります

のあさん、じゃっぴ、今まで本当にありがとう

私は絶対のあさんとじゃっぴのことを忘れません

おやすみなさい

えと

これにて完結です

これを見てくださった皆様、ありがとうございました

これを見て、泣いてくれたのなら、主は嬉しいです

ありがとうございました