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テラーノベル(Teller Novel)
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あの日夕方の空を いつまでも見ていた

不思議な空だった

夕方のその時間

それは夢か現実かも分からない時間

その不思議な時間に 僕達は出逢った

どんなに見上げても 届かないその空の下で

君は何を見ていたんだろう

真一

今日の夕陽はやけにオレンジ色だな

真一

不思議な空だ

真一

あれっ?あのマンションの屋上あんなとこに女の子?

そのあどけないような

だけどすごく大人びた横顔に

一瞬で心を奪われていた

次の日もその次の日も

気がつけばその子は夕陽を見ている

だけど今日は雨だ

とっさに傘を取って走った

真一

はぁはぁ

真一

ねえ君
風邪引くよ?

奈々

ありがとう

奈々

雨、降ってたんだね

真一

なんでいつも夕方の空を見ているの?

奈々

なんでだろうね

奈々

だけど君が私を見つけてくれた

真一

だって毎日夕陽を見てるから

真一

傘どうぞ

奈々

ねえ幽霊って信じる?

真一

うーんどうだろうでもいたらやっぱり怖いかな

奈々

そうだよね
怖いよね

真一

明日もここにいるの?

真一

また話そうよ

奈々

そうだね
また会えるかもね

次の日もその次の日も

もうその女の子はいなかった

ひとつだけ確かなことがあるなら

あの日雨が降った日

傘を渡した時に触れた手は 確かに温かかった

あの子は幻だったのか

あの子は幽霊だったのか

真一

あ!あの子だ

真一

今日はいる!

真一

ねえ!久しぶり

奈々

あ、また来たんだね

真一

1週間くらい見なかったけどどうしたの?

奈々

どうしたんだろうね

奈々

今日はここにいるよ

真一

君って不思議だね

真一

何だか幽霊みたいだ

奈々

そう?
夕陽に照らされてそう思うのかな?

奈々

夢か現実かも分からない時間それがトワイライト

奈々

この景色はずっと見ていられる

真一

僕もこの時間が好きなんだ

奈々

そっか一緒だね

奈々

ねえかぐや姫って幽霊かな?

真一

いや、あれはお月様から来たお姫様だよ

奈々

そっかそっか

奈々

君はさ人間以外の世界ってあると思う?

真一

火星とか土星とかの話?

真一

あると思うよ

奈々

ふふっ良かった

真一

なんで?

奈々

あーまた明日ね

奈々

家に帰らなきゃ

真一

あ、ねえお家ってこのマンション?

真一

僕隣のマンションなんだけど

奈々

ふふっ内緒

次の日もその次の日も

今度は毎日君に会えた

だけど近いようで遠い君

君のことを知ろうとすると

必ずにこっと笑って 内緒と言う

明日こそは聞こう

奈々

こんばちは

真一

こんばちは

こんばちは

僕達が決めた合言葉

お昼でも夜でもない夕方の挨拶

そんな些細なことでもいい

君との間に約束が欲しかった

真一

ねえ君はどこから来たの?

奈々

ねえ今からすごく綺麗なものを見せてあげる

真一

あれっ?話聞いてる?

奈々

私がどこから来たのかその答えを見せてあげる

真一

どういうこと?

夕陽が彼女に射し込んだ瞬間

その光景はどんな光景よりも 美しい瞬間だった

世界に2人だけになったような時間

君はオレンジ色の絹をまとって 夕陽に照らされていた

奈々

ずっと隠しててごめん

奈々

私はね夕陽から来たの

奈々

かぐや姫は月から来たお姫様だけど私は夕陽から来たお姫様

あまりの光景に何も言えなかった

奈々

人間の世界を見てみたかったの

奈々

だけど誰かに見つかれば帰らなきゃいけない約束だった

真一

僕が君を見つけてしまったから

奈々

ううん本当はね見つけてほしかったの君に

真一

どういうこと?

奈々

いつもまっすぐ夕陽を見つめてくれる君に恋してたの

真一

向こう側から見ててくれたってこと?

奈々

うん

奈々

だけど私はいられる時間はトワイライトだけ

真一

君は僕に見つかってもいつもここに来てくれた

奈々

最初に君に見つかった日から1週間は外に出るなって言われてた

奈々

でもやっぱり君に会いたくて抜け出してきちゃった

真一

もう帰らないといけないの?

真一

僕も君が好きだ

真一

一緒に生きて行く方法は?

奈々

時々でいい
思い出してくれる?

奈々

この地球の人達は景色を写真や物に留めてその光景を忘れてしまう

奈々

だけど君は違った

奈々

どんなに綺麗な夕陽の日でも写真に撮るのではなく

奈々

その光景をずっと心に焼きつけてくれた

奈々

そんな君が好き

真一

もちろんだよ

真一

僕が眺めていたのはきっと君だったんだ

真一

なぜこんなにもただの夕陽に心を奪われるのかと思っていた

真一

それはただの夕陽なんかじゃない

真一

君だったからだ

真一

忘れるわけない
絶対に絶対に

奈々

ありがとう

奈々

本当に本当にありがとう

奈々

見つけてくれてありがとう

次に瞬きをした時

目の前からいなくなった君は

綺麗なオレンジ色の光を放っていた

あの日の光景は 君と話した何日間かは

今でもずっと心に焼きついている

夕陽を眺めるとき

君が笑っている気がするんだ

この作品はいかがでしたか?

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コメント

6

ユーザー

とても綺麗な情景が浮かぶ ステキなお話でした! トワイライト…神秘的な感じもまたよかったです(*⃙⃘´꒳`*⃙⃘)

ユーザー

とっても素敵なお話でした…。言葉選びや、物語、全て好きです…!

ユーザー

夕陽のお姫様…とてもきれいな方ですね

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