2人とも驚いてるなぁ

そりゃそうか

‪”‬神さま‪”‬に会ったことがあるなんて

普通に暮らしていた人なら

考えられないもんね

俺だって会ったばかりの

それも幽霊だなんて名乗っている奴

の話なんて信じられないもん

…え？

らんらん…こえし

…黙ってても仕方ないよね

忘れもしない

1945年8月15日

当時の天皇によって

日本が戦争に敗れたことを

ラジオ放送で告げられた

何となく予想は出来ていたよ

言ったら非国民だと罰せられるから

言うことが出来なかっただけで

日本の経済状況や

広島、長崎の原爆投下などで

誰もが多少なりは察していたんじゃない？

それでも悔しかった

虚しかった

たった一つの戦争で

厳しくも正しく教育をして

下さった父上も

強く優しい

日本女性の鑑そのものの母上も

幼かった俺をずっと

守ってくださった兄上も

父上と兄上は

敵艦と一緒に海の底へ沈んで

母上は栄養失調…

戦争が無ければ失う事もなかった

理由で俺の元から離れたんだからさ…

唯一残ったのは無力な俺だけ

何度も日常を生きる事を諦めながら

何も出来ずただただお腹を空かせる

そんな地獄の日々を送り続けていた

それでも悲しみに時は寄り添ってくれなかった

生き残った国民は悲しむ暇もなく

次のステップへの準備を求められた

2年後の1947年に

学校教育法っていうのが制定されたんだって

確かこれが後に

こえし達の時代の

9年間の義務教育に繋がってる…んだよね？

難しいことはよく分からないけど(笑)

当時の俺は11歳…だったかな

今でいう小学五年の時。

青空教室っていう

戦争の影響で学校も

壊れちちゃったからさ

名前の通り外で

国語とか算数とかの

まぁ現代風っていうの？

そんな感じの授業をしてたんだよね

そこで5人の

親友に出会った

上に2人と

下に3人

年齢も育った地域も

まるで違ったけど

それでも

一つの大きな共通点があった

だから惹かれ合う様に

仲良くなったんだよね

その6人でいる時だけは

胸の奥に埋め込まれた

黒いモヤが晴れていた

それから10数年

たったの10年で

‪”‬日本‪”‬という国は大きく変化した

国際連合に加入したり

国際生産量が爆上がりしたり

だけど、環境が大きく変化を遂げる中でも

俺たちの友情が変化する事はなかったよ

ずっとずっと一緒だった

彼奴らは…第2の家族だった

俺たちも変わったよ

俺を含め殆どの奴が成人を迎えた

それをきっかけに

6人で小さな会社を立ち上げたんだ

2人が想像するような会社じゃないよ？

本っ当に小さな会社

仕事の内容は

音楽で人を救うことが出来ると信じ

‪”‬歌で幸せを届ける‪”‬

らんらん達がやってる事と

少し似ているのかな？

さっき話した大きな共通点っていうのは

‪”‬音楽が好き‪”‬っていうこと

周りにも別に音楽が好きな人はいた

だけど違った

熱量が…音楽に対する信仰心が。

たったそれだけの共通点でも

俺たち程の仲は無いと断言出来る

らんらんも経験したんじゃない？

初めのうちはさ

容赦なく降りかかる

嫉妬や悪意の矢に

自分自身も辛いのに

苦しむ仲間をみて

余計に辛くなって

それでも、こえしの‪”‬大切な人‪”‬

みたいに自分達を信じて

応援してくれている人の

期待は裏切りたくなくて

逃げたいのか

戦いたいのかさえ分からなくなって

どうしようもなくなって。

だけど、俺は

俺たちは戦い続けた

ここで諦めたら終わりだって分かってきたから

全てを失った6人だからこそ

互いに守りたいと思っていたし

幸せを見せてやりたいって願ってた

だけどまぁ

人間誰かしらの恨みは買うよね

ライバル会社の社長に

‪”‬仲間の命‪”‬をねらわれた

厳重に取り閉められていた筈なのに

監視が甘かったんだろうね

検査を逃れた銃で一撃だよ

俺は反射神経だけはいいからさ

咄嗟に仲間を庇ったんだよね

それで死んだ

それだけの事

次に目が覚めた時には

よく語られているような花畑に

寝そべっていた

やっぱいきなりそんな所に居たら

頭なんて回る筈が無くて…

しばらく放心していたらさ

いきなり兎が擬人化しました！

みたいな奴に殴られたの(笑)

それで次の瞬間に

‪”‬僕は神だ‪”‬ってね(笑)

何言ってんだこいつって

それでも‪”‬真友‪”‬の一人が兎が好きでさ

なんか姿を重ねちゃって

余り強くは言えなかったんよ(笑)

どう目の前の兎を対処しようかと考えてたらさ

思ってたら今までの俺の生き様をお経の如く読み上げるの

怖くて怖くて…(笑)

この世はね

未練が残っていると

天国にも地獄にも行けずに

ただただ地上を彷徨う事になるんだって

皆んなが想像する‪”‬お化け‪”‬とかは

俺と似たような人がなる。

成仏出来ないから

死んで俺に会いに来てくれた彼奴らにも会えない

正確には俺はそこにいても

声も姿もみえないって感じかな

兎から未練があるから会うことが出来ないって聞くと

彼奴らは俺を殺した奴の復讐を心がけたんだけど

それは俺の未練とは明らかにズレている

だけどそんな事を知らない彼奴らとはずっとすれ違っていて

もう今回で転生は6回目かな

‪”‬６‪”‬っていう数字は

今回はちょっと期待してるんだけど(笑)

俺たちにとって大切な数字だから

あ、そうそう

話の論点を言っていなかったね

俺が霊感がある人と手を繋げば

ない人とも話せる理由。

彼奴らが6回目の人生を

始めようとしている時期にさ

兎がコソッと教えてくれたんだ~

ちょっとイラつく兎だけど

きっと俺たちの事は

乱暴だけど言動を見れば

ずっと大切におもってくれてる

俺にとっても割と…大切な存在(笑)

死んだのが俺でなくても

きっと同じ現状になっていたから。

勿論彼奴らだって辛いと思うけど

大好きな奴らの死を

何度も間近で見ることは

何度転生を繰り返しても慣れない

…自分から死を選択する瞬間なんて特にね

二人とも俯いてる

…やっぱり重すぎたかな

わざとおちゃらけて笑う

でも…懐かしい

よく寝起きの声で話すと彼奴らに

‪”‬ないじぃ‪”‬って言われてたんだよね

…う‪”‬っ‪

ごめんじゃぁぁん…(笑)

やばい…兎の話題しか出てこない(笑)

…え??

時代の進みって怖ｯ

えっ…心配してくれたの？

…あ

!?

こえしそれはｯ…

どーした？

何か変なこと言ったっけ

…あーなるほどね？

この2人はお馬鹿さん達ということで宜しくて？

…まじ？

話すことないよ？(笑)

…自分可愛いのを自覚してるタイプだなこの方

こっから俺の約2時間に及ぶ

取り調べ(？)が始まった

…大変だったけど

彼奴らといるみたいで

‪”‬楽しかった‪”‬なぁ

また…いつの日か

話せる様になりますように