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ボク……いや、オレは……。

『人間の頃の記憶』なんて 『どこにも無い』……。

……これは、ちょっとした過去の話。

……『満那瀬 悠(みなせ ゆう)』…… 『天満 蒼翔(てんま あおと)』 ……この子のお話である。

〜家〜

天満 蒼翔

……。

天満 蒼翔

(また……きこえる……。)

部屋の外から、父と母の話し合う声が 聞こえてくる。 蒼翔は、ベッドの傍で 体育座りをしながら聞いていた。

「んでこの後どうするの?…………。」 「まぁ、それもそれで、…………。」

天満 蒼翔

……。

天満 蒼翔

(はぁ……やっぱりおれ……。)

「あんな『必要のない子』をどこに?」 「そうだな……じゃあ…………。」

天満 蒼翔

(そもそも……こどもなんて……つくるきなかったとかいってたよな。)

天満 蒼翔

(やっぱりおれって……ひつようないんだな……。)

天満 蒼翔

(……なら……『うまれてこなければよかった』……。)

天満 蒼翔

(どうして……おれはここにいるの?)

天満 蒼翔

(……『いきるいみなんてない』のに……。)

天満 蒼翔

……きえちゃいたい……。

その結果。 蒼翔は、親に見捨てられてしまった。

その代わり、蒼翔の母の父と母が 蒼翔を育てることにした。

蒼翔から見ると、おじいちゃんと おばあちゃんの存在だ。

おじいちゃんは、蒼翔の両親に対して 愚痴を言っていた。 おばあちゃんは、蒼翔の小さな手を 優しく握って歩いていた。

おじいちゃん

ったぁく……何が『子供はいらない』だ……。

おじいちゃん

折角『一つの生命が産まれてきてくれた』のに……本当になんなんだ……。

おばあちゃん

可哀想に……。

天満 蒼翔

[何も思わないのか、無表情で居る]

おばあちゃん

……たしかに……蒼翔君、だっけ?

天満 蒼翔

……。[おばあちゃんを見る]

天満 蒼翔

……。[頷く]

おじいちゃん

蒼翔だな……。よし!

おじいちゃん

蒼翔、今度からお前の苗字は『天満』だ!

天満 蒼翔

……?

おじいちゃんの言う通り 蒼翔は元の苗字は『柊(ひいらぎ)』 だった……。

おじいちゃん達が育てる事にしたので 柊から『天満』になったのである。

おばあちゃん

天満蒼翔だよ。分かった?

天満 蒼翔

……う、ん……。

おじいちゃん

……。[小さく微笑む]

おじいちゃん

安心しなさい。

おじいちゃん

お前の馬鹿両親より、ずっとずーっと大事にしてやる。

おじいちゃん

可哀想に……産まれてきたのに……。

おばあちゃん

えぇ、本当に……。

おばあちゃん

もう大丈夫だよ。私達が、蒼翔君の事、大切にするからね。

天満 蒼翔

……。

天満 蒼翔

……。[不安げに頷く]

どうせまた、見捨てられるのだろうな と、蒼翔は思っていたが 祖父母から達は、違った。

〜祖父母の家〜

おじいちゃん

さぁ着いたよ。さぁさぁ、そこに座りなさい。

おじいちゃん

ジュースを持ってくるぞ。

天満 蒼翔

……うん。

おばあちゃん

疲れたでしょう。

おばあちゃん

さぁ、こっちだよ。

天満 蒼翔

うん……。

おじいちゃん

持ってきたぞ〜。

おばあちゃん

あ、蒼翔君、オレンジジュースだよ。

おじいちゃん

飲めるかな?

天満 蒼翔

のめる……えと……。

慣れない言葉を言おうとしてるのか 少し戸惑いを見せるが、 勇気をだして言ってみる。

天満 蒼翔

あり……がと……。

おじいちゃん

良いんだぞ。

おばあちゃん

沢山お飲みなさい。

天満 蒼翔

うん。

天満 蒼翔

(……おじいちゃんとおばあちゃん……やさしい……。)

天満 蒼翔

(……おかあさんとおとうさんと……まったくちがう……。)

天満 蒼翔

[オレンジジュースを飲んでる]

天満 蒼翔

……!!!

おじいちゃん

どうしたんだ?

天満 蒼翔

おぃ……しぃ……。

天満 蒼翔

(いままでのんでたおれんじじゅーすと……おなじなのに……。)

天満 蒼翔

(なんで……こんなにおいしいの……?)

天満 蒼翔

(いままで……すこししかのめなかったのに……おいしい……のみたい……。)

天満 蒼翔

おじいちゃん、おかわり。

おじいちゃん

お、飲むか!よしよし、ちょっと待っててね〜。

数分後。

おじいちゃん

よし、持ってきたよ。

天満 蒼翔

ありがと……。

天満 蒼翔

[また飲む]

天満 蒼翔

(おいしい……。)

天満 蒼翔

(おれんじじゅーすが……こんなにおいしいっておもったの……はじめて……。)

天満 蒼翔

[ぽろぽろと泣きながら飲んでる]

おばあちゃん

……まぁ。[蒼翔の頭を撫でる]

おばあちゃん

よっぽど、愛されてなかったんだね。

おじいちゃん

まったく……可哀想に。

おじいちゃん

なんなら、最初なら俺達が育ててやった方がまだ幸せだったかもしれなかったんだぞ。

おばあちゃん

そうだよね。

おばあちゃん

……。

おばあちゃん

(こうして見捨てられちゃって……オレンジジュースを飲むだけで、泣いてしまうなんて……。)

おばあちゃん

(全く……うちの娘が、何をしているのやら……。)

おじいちゃん

……蒼翔。美味いか?

天満 蒼翔

……。[飲み終える]

天満 蒼翔

うまい。

おじいちゃん

ははっ、そっか![笑顔で蒼翔の頭を撫でる]

天満 蒼翔

……!!!

天満 蒼翔

[目が潤う]

天満 蒼翔

うぅ……なんで……。

おじいちゃん

ん?

おばあちゃん

どうしたの?

天満 蒼翔

なんで……ふたりとも……やさしいの……?

おじいちゃん

優しくなんかないさー。当たり前のことしてるだけだよ。

おじいちゃん

人の生命は、最後まで大事にしないといけないからな!

おばあちゃん

蒼翔君は、生きているんだから。

おばあちゃん

それに、これから大きくなるんだから。

おばあちゃん

……あんたのお父さんとお母さんと違って、沢山、沢山、大切にするからね。

天満 蒼翔

(そういわれたの……はじめて……。)

天満 蒼翔

(うれ……しい……。)

蒼翔は、嬉しく感じて 泣き出してしまった。 祖父母は、そんな蒼翔の背中を撫でたり 抱きしめたりして、慰めた。

〜別の日〜

天満 蒼翔

……?

蒼翔は、テレビを見ていた。 テレビには 『サッカー』が映し出されていた。

おじいちゃん

どうした、蒼翔。

天満 蒼翔

おじいちゃん、このひとたちと、ぼーるって、なぁに?

おじいちゃん

これはね『サッカー』っていうんだよ。

天満 蒼翔

さっかぁ?

おじいちゃん

この白と黒のボールを蹴って、ゴールに入れるんだよ。

おじいちゃん

ほら、蒼翔。続きを見てみな。

天満 蒼翔

……。[テレビを見る]

そこには、一人の選手が ボールをゴールに入れて 周りから歓声が聞こえてくる所が 映し出されていた。

天満 蒼翔

……![瞳を丸くする]

天満 蒼翔

(ぼーるをいれただけで……みんなよろこんでる……!)

おじいちゃん

おぉ!!!また入れたぞ!!!

おじいちゃん

この選手なー、サッカー強いんだよ!

天満 蒼翔

そうなんだ……。

天満 蒼翔

……かっこいい……!

おじいちゃん

かっこいいか!

天満 蒼翔

うん!

おばあちゃん

おじいさん、サッカー好きだからね〜。

おじいちゃん

お前のおじさんもサッカー好きなんだぞ〜。

天満 蒼翔

おじさん?

おじいちゃん

……お前のお母さんの弟だな。

おばあちゃん

あの子もサッカーよくやってたわよ〜。

おじいちゃん

懐かしいなぁ……。

天満 蒼翔

おじさんは……いま、なにをしてるの?

おじいちゃん

現役、サッカー選手だよ。

おじいちゃん

本当にサッカー選手になれて、凄く嬉しそうにしてたなぁ……。

おばあちゃん

懐かしいね〜。

天満 蒼翔

おじさんも……いつか、てれびにでてくれる?

おじいちゃん

何回か出てるから、そろそろ出ると思うぞ!

おじいちゃん

蒼翔にも、アイツのサッカープレイをみせてやりたいな!

天満 蒼翔

おれも……みたい!

おばあちゃん

その時は、私達で見ようね

天満 蒼翔

うん!

これがきっかけで 蒼翔は、サッカーが好きになった。

たまに、おじいちゃんと 外に出てサッカーを軽くやっていた。

〜公園〜

おじいちゃん

おっ、いいぞー!蒼翔ー!

天満 蒼翔

[ボールを蹴りながら上手く走っておじいちゃんにパスした]

おじいちゃん

おー!

おじいちゃん

よいしょー![蹴る]

おじいちゃん

あ、飛ばしすぎた!!!

天満 蒼翔

おお、とんでる〜。

ボールは草むらの中に入っていった。

おじいちゃん

すまんすまん……蒼翔。ボール取れそうか?

天満 蒼翔

とれるよ。

蒼翔は、草むらの中に入る。 だが、ボールは見当たらない。

天満 蒼翔

……あれ。

その時、隣にボールが現れた。 ……と思ったら。

天満 蒼翔

……?

未空 奏

おとしたの、これー?

天満 蒼翔

あ……うん。ありがとう。

未空 奏

ねね、さっかー、すきなの?

天満 蒼翔

え……あ……うん。

未空 奏

やっぱり。

未空 奏

ぼくね、きみがさっかーしてるのをみていてさ、じょうずだなーっておもったんだ!

未空 奏

すごいね!

天満 蒼翔

あ、ありがとう……。

未空 奏

ぼくも、さっかー、いれて?

天満 蒼翔

おじいちゃんが、いいよっていったら……いれてあげる。

未空 奏

うん!わかった!

未空 奏

あ、おなまえ、おしえて!

天満 蒼翔

おれは……あおと。

天満 蒼翔

てんまあおと。

未空 奏

そうなんだ!

未空 奏

ぼくは、そう!みそらそうだよ!

未空 奏

あおとくんだね!

天満 蒼翔

うん。

二人は草むらから出る。

おじいちゃん

蒼翔、お帰りなさい。

おじいちゃん

ん?その子は?

天満 蒼翔

いっしょにさっかー、やりたいだって。

おじいちゃん

おお!やろうやろう!

未空 奏

やったー!

未空 奏

おじいさん、ありがとうございます!

おじいちゃん

良いんだよ〜。

天満 蒼翔

じゃあ、やる?

未空 奏

やろやろー!

奏は、蒼翔にとっては 初めての『サッカー仲間』だった。

楽しくてつい、 夕方まで遊んでしまった。

奏の両親がお迎えに来たので 奏とは此処で別れて、 蒼翔はおじいちゃんと帰っていた。

〜帰り道〜

おじいちゃん

いやー、楽しかったな。

天満 蒼翔

うん!たのしかった!

おじいちゃん

はは!そうかそうか!!!

おじいちゃん

……それと、さっきの子も上手かったなぁーっ!

おじいちゃん

名前、聞いとけば良かったな。

天満 蒼翔

おれ、なまえきいた。

おじいちゃん

ん?なんていってたー?

天満 蒼翔

そうって、いってた。

おじいちゃん

そう、か……多分奏って書いて奏君なのかな?

おじいちゃん

へぇ、あの子もサッカー好きなのかね?

天満 蒼翔

さぁ?そこまでは、わからなかったよ。

この後もお話をしながら 帰っていく二人だった。

この後も、 蒼翔は、奏と会う日が多くなった。

たまに二人でサッカーをしたり おじいちゃんとやったり。

たまに、お互い知ってみたり、 蒼翔にとっては、 奏は『友達』だった。

だが、ある日、 おじいちゃん奏の父と奏と蒼翔で サッカーをして遊んでいると、 黒ずくめの男が現れる。

男は、蒼翔と奏を見て この二人を此方に渡してほしいと言う。

拒否したが、それでも 離れてくれず、 おじいちゃんと奏の父は眠らされ、 蒼翔と奏は、連れていかれてしまった。

連れていかれたのはLize。

蒼翔は『冥界の男神、プルートー』 奏は『大犬座の星、シリウス』 の仮人間となった。

その時、記憶を取られるはずだった。 蒼翔は、人間の頃の記憶を失うが……。

奏は『記憶が残っていた』……。

施設でそれぞれバラバラで過ごしてきたが、また再会出来る。 だが、蒼翔には記憶が無いので 一から仲良くした。

仲良くなって 『親友』だとお互い言うが、数年後、 奏は、研究員によって殺される。

『奏の人格』が『ボクの悠』を作り、 元の人格は『オレの悠』と名乗った。

それが、今の『満那瀬悠』なのである。

【番外編】過去まとめ

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