ちょうど廊下を歩いていた瑠衣と鉢合わせる

瑠衣はあやくんを凝視した後、手を叩いた

あやくんと別れて各々の教室に入った

そしてまたあったこと全て瑠衣に話す

ちょうどその時、クラスメートの女子が話しかけてきた

内容は健太郎と花宮さんが付き合うことになったということ

私はというと、その現場を直接見たから驚きはしない

しかき瑠衣は驚いたようで…

私をチラチラと見てくる

花宮さんが悲劇のヒロインかのような表情で訴えかけてくる

めんどくさい奴が乱入してきた

そして花宮さんが泣いて健太郎に抱きつく

健太郎はそう言って花宮さんと一緒に自分の席へと向かった

昼休み

後ろのドアから教室を覗き見る

あやくんはスマホを横にして何かやっていた

その周りにいる数人がスマホを見ている

周りにいる男子たちがあやくんを｢なに負けてんだよ〜｣と茶化し出す

そうしてクラスのみんなにノート提出だと伝えるあやくん

そんな時、佐藤くんと目がばっちり合った

私を見つけたあやくんの表情がだんだんと輝いていく

そして両手を広げて

こちらに走ってきた

首を横にブンブンと振る

あやくんの変わりようにクラス全体が混乱し始めた

さらに混乱するクラスメート

体育の授業中

隣のクラスと合同授業だからもちろんあやくんもいる

今日は珍しく自由時間

グラウンドの中央では陽キャ男子達がサッカーをして女子達にキャーキャー言われている

その中心にいるのは須藤健太郎

ここからサッカーゴールまでおよそ20メートルほど

つまりボールを真っ直ぐ蹴ることさえできれば外さない

運動音痴じゃない限り外すわけない

あやくんはボールを地面に置き、綺麗なフォームで蹴る

そしてゴールに…

入らなかった

2人でゴールに入らなかったボールを見つめる

おかしくて思わず吹き出した

隣のクラス対俺のクラス

楽勝だぜ

遠くから笑い声が聞こえる

チラッと笑い声が聞こえた方を見ると声の主は更紗だった

モブからボールを受け取り、思い切り足を振り切る

目の前が急に暗くなる

そしてバコンッ！という大きな音が聞こえた

数秒後にあやくんに抱きつかれてるんだと理解する

耳元で聞こえる苦しそうな声

そしてあやくんは最後まで私の心配をしながら気を失っていった

あやくんは気絶したまま保健室に運ばれベットに寝かされた

今、保健室にいるのは

体育の先生、保健室の先生、あやくんの担任

ボールを当てた健太郎

そしてそばにいた私

あやくんはそう言って私の頬を触る

そう言ってあやくんの両頬を摘む

その後あやくんは体育の先生におぶられて病院へと向かった

保健室の先生がため息を吐きながら着いていく

健太郎と顔を合わせたくなくて、早歩きで戻っていると

健太郎が追ってきて腕を掴んできた

健太郎のナルシスト発言に鳥肌が立つ

健太郎の私の腕を掴む力が強くなる

嫉妬？

独占欲？

バチンッ！

掴まれていない方の手で健太郎の頬を叩いた

そして掴む力が弱まった隙に逃げる

教室に帰るとみんなはもう帰りの準備をしていた

ついさっき教室に入ってきた健太郎がこちらに歩いてくる

途中で花宮さんが話しかけるも

拒絶

肩を乱暴に掴まれた

クラスメート達も流石にやばいのでは？と騒がしくなる

健太郎が私の肩から手を離す

家に帰って自分の部屋に行く

私の親は共働きでほとんど家にいない

腕まくりすると少し赤くなっていた

しかしあやくんが学校に来たのは3日後だった

3日後

駅のホームで電車を待っていると

と、聞き馴染みのある声が聞こえた

後ろに振り返った瞬間、あやくんは苦しそうに胸を抑え始めた

周りの目なんて気にせず彼に抱きついた

周りの人達がバカップルを見るような冷めた目つきで見てきているのが伝わる

でもそんなのどうでもよくなるぐらいあやくんに会いたかったんだ

自分で思っているよりも私は……

あやくんを好きになっている

いつも通りあやくんの隣に座り、横を見た

彼の耳が赤くなっている

昼休み

健太郎くんに校舎裏に呼び出された

言い終わる前に胸ぐらを掴まれて壁に押し付けられる

暴力は嫌いだ

暴力を振るって何になる

俺の父親はいわゆるDV夫というやつで

仕事で溜まったストレスを母さんにぶつけている

俺も殴られそうになったことは何回もあるけど

その度に母さんが守ってくれた

中学

クラスメートはクソしかいなかった

自己中なやつ、人の上に立たないと気が済まないやつ

根拠のない噂を流すやつ、一軍とか二軍とかどうでもいい

変に逆らって目をつけられたくない

こんな奴に目つけられたら残りの学校生活終わりだろ

俺はそんな馬鹿じゃない

学校で友達は多い方だと思う

健太郎くんにも気に入られ、他人からしたら充実した学校生活だろう

でも健太郎くんと友達も全員信用したことなんてない

あいつらと俺の間には大きな壁があるように感じる

中学3年、3月のある日

その日の父さんはいつも以上に荒れていた

そして包丁を持ってこちらに歩いてきたんだ

その後のことは忘れようにも忘れられない

これから夢に何度も出てくる事件が起こる

母さんの実家は俺が住んでいたところから5駅ほどしか離れておらず、

高校を変更せずに済んだ

しかし入学式当日

続いて嫌なことがありすぎて、もう俺は全て放棄したくなった

そう思って引き返そうとした瞬間、人とぶつかった

今思えばこれが運命の出会いだったなぁ

入学式の翌日

駅のホームに行くとお金を貸してくれた女の子がいた

封筒に入れたお金を差し出す

それが第一印象

ある日

友達と昼食を食べていたら、健太郎くんと手を繋いだ木下さんが校舎から出てきた

今の彼女は楽しそうに笑っている

そんな姿を見て素直に可愛いなと思った

別の日

会話が聞こえる

丁度帰宅ラッシュの時間に帰ることになってしまった日

座れなかった俺は人混みに揉まれながら死にそうになっていた

そんな中、老婆が入ってくる

しかし俺の予想は外れた

こちらの予想は的中

人波に潰されそうになっている

そんな中、1人の怪しい男が木下さんに近づいていた

その男が来る前に彼女の真後ろに移動して守るように立つ

男は舌打ちをして離れていった

さらちゃんはよく人助けをしている

でも見返りを一切求めない

当たり前のことを当たり前にしているかのようにも見える

そんな君を、日に日に好きになっていった

胸ぐらを掴んでいる健太郎くんの手を掴む

そして右手に力を込めて健太郎くんの頬を思い切り殴った