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監禁観察日記

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監禁観察日記 -シーズン1- 第3話

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2021年06月22日

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荒らされたリビングの中央で、男がナイフを突き立てる

福田ヨウジ

てめえ…ハルカの仲間か?

立花ヒナタ

(仲間?)

福田ヨウジ

おい、そのバッグをこっちによこせ

福田ヨウジ

どうせハルカに言われて取りに来たんだろ?

立花ヒナタ

(なにか勘違いしているのか?)

立花ヒナタ

(どうする?武器なんてカッターくらいしか…)

福田ヨウジ

さっさとしろ!

立花ヒナタ

(やるしかない)

立花ヒナタ

(死んでも構わない)

立花ヒナタ

僕はヒーローになるんだ

福田ヨウジ

あ?
何を──

カッターを握り締め

逆の手で、男に向かってバッグを投げつける

福田ヨウジ

うおっ!?

立花ヒナタ

(死ね)

男の腹部目掛け、カッターを突き刺す

福田ヨウジ

舐めんなクソガキ!!

男は間一髪で刃を避ける

ガッ!

立花ヒナタ

──っ!?

男の前蹴りが、僕のみぞおちに直撃した

倒れた僕の顔を、男が踏みつける

福田ヨウジ

余計な手間掛けさせやがって…

福田ヨウジ

だがてめぇがいてくれて助かったぜ

福田ヨウジ

これでアラタさんに殺されなくて済む

立花ヒナタ

(…アラタ?)

立花ヒナタ

あ、あんたは…ストーカーじゃないのか?

福田ヨウジ

ストーカー?
わけわからねえこと言ってんじゃねえよ

立花ヒナタ

(ストーカーじゃない?)

立花ヒナタ

(でも桜井さんのことを探している…)

立花ヒナタ

(この人は一体…?)

男は僕のバッグの中身を確認した

福田ヨウジ

なんだこれ!
ただの下着だけじゃねえか!

福田ヨウジ

クソッ…!
ふざけやがって!

立花ヒナタ

(焦ってる。一体なにをそんなに…)

福田ヨウジ

やばいな…一度戻るか?

福田ヨウジ

いや、手掛かりゼロはまずい…とにかくなんでもいいから…

立花ヒナタ

(…チャンスだ)

立花ヒナタ

(ストーカーだろうがストーカーじゃなかろうが関係ない)

立花ヒナタ

(彼女を危険な目に合わすような奴らは…)

立花ヒナタ

(殺す)

握ったままだったカッターを、男の足にぶっ刺す

福田ヨウジ

ぐっ、う!!

福田ヨウジ

てめぇ!!

カッターは抜けなかった

僕は落ちていたガラスの花瓶を拾う

そして、足を抑える男の頭に向かって

思い切り振り下ろした

福田ヨウジ

がっ…!

立花ヒナタ

僕はヒーローになるんだ

何度も何度も

立花ヒナタ

僕はヒーローになるんだ

何度も何度も

立花ヒナタ

桜井さんのヒーローに

何度も何度も何度も何度も 叩きつけた

立花ヒナタ

僕は、なるんだ

男は血溜まりの中で動かなくなった

立花ヒナタ

立花ヒナタ

死んだ?

立花ヒナタ

殺しちゃった

立花ヒナタ

僕が、殺したんだ

立花ヒナタ

どうしようどうしようどうしよう

立花ヒナタ

とりあえず、隠さなきゃ…

死体を浴槽へと運ぶ

立花ヒナタ

(こいつは誰だったんだ?)

立花ヒナタ

(桜井さんなら知ってるかもしれない)

立花ヒナタ

(写真を撮っておこう)

カシャッ

立花ヒナタ

これでヒーローになれたかな

立花ヒナタ

なれたよね

立花ヒナタ

桜井さんのために、殺したんだから

帰り道

立花ヒナタ

ハァッ、ハァッ…

立花ヒナタ

(早く帰って桜井さんに伝えなきゃ…)

立花ヒナタ

(あの男のスマホ、一応持ってきたけど捨てた方がよかったか?)

伏見ユウキ

おい、お前ヒナタか?

振り返ると、伏見ユウキが立っていた

伏見ユウキ

お前なんでこんなとこにいんだよ
家こっちじゃねえだろ

立花ヒナタ

関係ないだろ

立花ヒナタ

君こそなんでいるの?

伏見ユウキ

てめぇ、なんだよその口の利き方は
質問してんのはこっちだろ

伏見ユウキ

調子乗ってんじゃねえぞ

ユウキが僕の胸ぐらを掴む

立花ヒナタ

(こっちは急いでるのに)

立花ヒナタ

(ひとり殺したんだし)

立花ヒナタ

(もうひとりくらい殺したって…)

伏見ユウキ

もしかしてハルカのストーカーってお前か?

立花ヒナタ

──!

立花ヒナタ

(こいつもストーカーを探してるのか)

伏見ユウキ

まさか、ハルカと連絡が取れないのもお前のせいじゃないだろうな

立花ヒナタ

(随分と必死だな)

立花ヒナタ

(ああ、そうか)

立花ヒナタ

(こいつ、桜井さんのことが好きなのか)

伏見ユウキ

さっきから黙りやがって!
なんとか言えよ!

立花ヒナタ

うるさいなぁ

息苦しくなり彼の手を振り払う

立花ヒナタ

どなれば支配できると思うなよ

立花ヒナタ

(君が欲しいものを、僕は持ってるんだ)

立花ヒナタ

(もう怖くない。劣等感もない)

立花ヒナタ

僕はもう君には従わない

伏見ユウキ

なっ…

伏見ユウキ

クズのてめぇが、よくもまあでかい口が叩けるな

立花ヒナタ

それじゃ

伏見ユウキ

あ、おい!

伏見ユウキ

──っ!

叫ぶ彼を無視し、帰路に着いた

伏見ユウキ

(あいつ…よく見ると服が赤く濡れてる…)

伏見ユウキ

(血か…?)

伏見ユウキ

(いや、まさかな…)

寝室

立花ヒナタ

ただいま

立花ヒナタ

着替え取ってきたよ

桜井ハルカ

ヒナタくん、ありがとう!

立花ヒナタ

あと、ひとり殺しちゃった

桜井ハルカ

…え?

桜井ハルカ

ど、どういうこと?

桜井さんの家で起きたことを説明した

立花ヒナタ

これが殺した男

立花ヒナタ

見覚えはある?

男の写真を見せる

桜井ハルカ

知らない人だ…

桜井ハルカ

少なくともストーカーじゃないね

立花ヒナタ

そう…

立花ヒナタ

アラタって名前に聞き覚えは?

桜井ハルカ

ごめん

桜井ハルカ

聞いたことないや

立花ヒナタ

そっか

立花ヒナタ

それじゃあ僕は…関係ない人を殺しちゃったのか

立花ヒナタ

(あれ、手が震えてる)

立花ヒナタ

(今更、罪悪感でも抱いているのか?)

立花ヒナタ

(彼女のヒーローになるって決めたのに…)

桜井ハルカ

ヒナタくん

腕を引き寄せられる

ベッドの上で、彼女が僕を抱き締めた

桜井ハルカ

ありがとう

桜井ハルカ

私のために殺してくれたんだよね

立花ヒナタ

…うん

立花ヒナタ

でも僕は…

桜井ハルカ

ヒナタくんはなにも悪くないよ

桜井ハルカ

君はすごい

桜井ハルカ

私のためにひとりで悪い奴をやっつけちゃったんだから

桜井ハルカ

それだけで、君は私のヒーローだよ

立花ヒナタ

ヒーロー…

桜井ハルカ

そうだよ

立花ヒナタ

(彼女が感謝をしてくれる)

立花ヒナタ

(ヒーローと言ってくれる)

立花ヒナタ

(僕は間違ってないんだ)

桜井ハルカ

君は間違ってない

桜井ハルカ

私にはやっぱり君が必要なんだ

桜井ハルカ

だから

立花ヒナタ

だから──ストーカーも殺さないと

桜井ハルカ

そうだね

立花ヒナタ

ありがとう、桜井さん

桜井ハルカ

お礼を言うのは私のほうだよ

彼女は優しく微笑んだ

立花ヒナタ

あの死体、どうしよう?

桜井ハルカ

お風呂場に置いてきたんだっけ?

立花ヒナタ

うん

桜井ハルカ

そっかー

桜井ハルカ

見つかったらまずいよね

桜井ハルカ

だからさ

桜井ハルカ

私たちで処理しよっか

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