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テラーノベル(Teller Novel)

担任の先生

なんで、職員室に呼ばれたか分かってるか?

沙恵(さえ)

え?

沙恵(さえ)

わかんないです

担任の先生

はぁ...

先生はキョトンとした私の顔を見ると、深くため息をついた。

担任の先生

この紙、どういうことですか?

そして不満げに、私の進路希望の用紙を差し出す。

担任の先生

名前だけ書いて真っ白で出すなんて、何考えてるんですか

沙恵(さえ)

だって、嘘書く訳にもいかないですし...

担任の先生

せめて、仕事に就きたいなら「就職」と書いてくださいと言ったじゃないですか

沙恵(さえ)

いや、就職もしたくないです

担任の先生

はー?

担任の先生

ニートになりたいっていうんですか?

沙恵(さえ)

いや、ニートにもなりたくないですけど...

担任の先生

んんん??

私が発言すればするほど、先生は困った表情をしていた。

担任の先生

うーむ...

担任の先生

沙恵(さえ)

私、まだわからないんです

沙恵(さえ)

将来の夢が決まらなくて...

私がそう言うと、先生はしばらく考えていた。

担任の先生

なるほどねぇ...

担任の先生

とにかく、そういう事ならわかりました。

担任の先生

ですが、もう時間がないのも分かってますね?

沙恵(さえ)

....はい

担任の先生

ちょっとそこらへん、親御さんと僕とで話しましょうか。

担任の先生

ちょっと僕、今月は用事が重なってて予定が合わないので、来月に三者面談しましょう。

沙恵(さえ)

....わかりました

私はそう言うと、職員室を後にした。

帰り道

蘭(らん)

それで?どうだったの?

親友の蘭(らん)が、心配そうに私の顔を除く。

蘭(らん)

先生に呼ばれてたじゃん?

蘭(らん)

まさか沙恵、悪いことしたんじゃないでしょうね

沙恵(さえ)

いやいや

沙恵(さえ)

そんなんじゃないよ

蘭(らん)

じゃあ、どうしたってのよ

沙恵(さえ)

......進路希望用紙の事で呼ばれた

蘭(らん)

んえ?

蘭(らん)

進路希望用紙?

沙恵(さえ)

そうそう

沙恵(さえ)

私、白紙で出したから

蘭(らん)

は、白紙!?

蘭(らん)

ちょっとまって、それはやばくない!?

沙恵(さえ)

やばい...よね...

蘭(らん)

うん、だってもうすぐ高校3年の夏休み入るよ?

蘭(らん)

それ、大学に行きたいってなったら間に合わなくない?

蘭(らん)

他の子は夏休みで猛勉強して、受験に向けて準備するんだし...

沙恵(さえ)

そうなんだよね

沙恵(さえ)

分かってるんだけど...

そして、私は暗い顔になる。

蘭(らん)

うーん、なにか私にもお手伝い出来たらなぁ...

沙恵(さえ)

蘭はもう、決まってるんだよね?

蘭(らん)

うん、私は福祉関係の大学に行こうと思ってるよ

沙恵(さえ)

小さい頃からの夢だったもんね

蘭(らん)

そうなの!

沙恵(さえ)

蘭は凄いなぁ...

蘭(らん)

ええ?笑そんな事ないよ笑

蘭(らん)

でも、私にできることがあったらすぐ言ってね

蘭(らん)

沙恵の力になれるようなら、できる限り私も協力したいから

沙恵(さえ)

うん...ありがとう

沙恵(さえ)

(蘭は優しいなぁ...)

蘭は可愛くて、優しくて、夢がある。

沙恵(さえ)

(私とは、全然違うな...)

沙恵(さえ)

私、本当に自分に自信がないんだよね

蘭(らん)

自信?

沙恵(さえ)

そうそう

蘭(らん)

えー!なんで??

沙恵(さえ)

なんでって...

沙恵(さえ)

可愛くないし、勉強も運動も出来ないし、将来の夢だってない...

蘭(らん)

え、そうかな?

沙恵(さえ)

うん。

沙恵(さえ)

私も、蘭みたいになれたらなぁっていっつも思ってるんだよね

蘭(らん)

え、私!?笑

蘭(らん)

私になったっていいことないよ笑

蘭(らん)

ほら、私だって抱えてる問題とかあるし。人間誰しも持ってるものだって

沙恵(さえ)

うーん...そっか...

沙恵(さえ)

でも、そんな風には見えないよ

蘭(らん)

あはは笑

蘭(らん)

私、そういうの表に出したくないからかもね笑

蘭(らん)

でも、沙恵の方が羨ましいけどなぁ

沙恵(さえ)

え?私?

沙恵(さえ)

なんで私なんか...?

蘭(らん)

だって、どこか余裕があって自由に見えるし...

蘭(らん)

謙虚だし、自分の感情に素直だなって思うし

蘭(らん)

それに、家族とも仲良いじゃない?

沙恵(さえ)

家族と仲良いのは当たり前だよ。血繋がってるし生活上話さなきゃいけないし。

沙恵(さえ)

それよりも、自分自身に自信が持てないんだよね...

蘭(らん)

蘭の表情が、一瞬曇る。

蘭(らん)

..........そっか。

蘭(らん)

じゃあ沙恵が自信持てるように、私もサポートさせてね

沙恵(さえ)

本当に、蘭は優しいね。

沙恵(さえ)

ありがとう

蘭(らん)

いえいえ!

蘭(らん)

じゃあ、また明日ね

沙恵(さえ)

また明日ね

そう言って、私と蘭は別れた。

自宅

沙恵(さえ)

はぁ...自分の部屋、落ち着くなぁ

私はベットに深く腰をかけた。

沙恵(さえ)

(はぁ〜、疲れたな)

沙恵(さえ)

(さ、ゲームでもしよっと)

そして、今はまっているゲーム画面を立ち上げた。

沙恵(さえ)

さてさて、今日はどのアイテム使おっかな〜

沙恵(さえ)

......ん?なにこの広告...

沙恵(さえ)

人物乗っ取りアプリ(体験版)...?

沙恵(さえ)

なんか....うさんくさいな...

私はその怪しげな広告を、じーっと見ていた。

沙恵(さえ)

(なにこれ、なりたいと思ったその人になれます...?)

沙恵(さえ)

(でも....なんかちょっと面白そうかも...)

沙恵(さえ)

(騙されたと思って、試しにダウンロードしてみようかな...?)

こんなの嘘だろ、と思いながら 私はこのアプリをダウンロードした。

人物乗っ取りアプリ

【皆様へ】

どうもはじめまして♪♪
ダウンロードして頂き、誠にありがとうございます🌟🌟

当アプリは、自分が望んだ人物を乗っ取ることができるアプリとなっております✨

人物乗っ取りアプリ

乗っ取りをする際にはいくつか条件がございます。

《条件》

①相手の顔と名前がわかっていること。

②こちら「体験版」のアプリですので、意識は自分だけれど、行動自体は元の人の意思で動くこと。

③最初の乗っ取り体験は1日間です。
その後自動的に元の自分に戻り、その後、その人を乗っ取りたいか希望をお伺いします。その際、「はい」か「いいえ」でお答えください。

④乗っ取り途中で「元の自分に戻りたい」と思った場合、「元に戻る」と3回唱えてください。
そうすれば、強制的に自分に戻ります。

以上の4点となっております🍀

人物乗っ取りアプリ

《乗っ取り方法》

①乗っ取りたい相手の名前をアプリに送る。

②仰向けで横になる。

③相手の顔を思い浮かべながら目を閉じる。

④合唱をして5秒待つ。

そうすれば、ご希望の相手を乗っ取ることが可能です✨

人物乗っ取りアプリ

※尚、このメッセージは自動的に送られているものです。
そのため、返信を頂きましてもご返答しかねますので、ご理解の程をよろしくお願い致します。

沙恵(さえ)

(わぁ....なんか一気に送ってきた...)

沙恵(さえ)

(よくわかんないけど、相手の名前をこのアプリに送って、顔を思い浮かべて横になって、手を合わせて目を瞑ればいいってわけね)

沙恵(さえ)

(うわぁ、誰になってみようかな....?)

沙恵(さえ)

(やっぱり、なるなら芸能人になりたいよね)

沙恵(さえ)

(人気者になりたい!)

私は早速、自分の部屋のベットに横になる。

沙恵(さえ)

(どうせなら、大人気女優の広瀬ゆずになってみようかな...!)

沙恵(さえ)

(女優になってみたかったんだよね!!)

沙恵(さえ)

人気的女優 広瀬ゆず

私は大人気女優の広瀬ゆずの顔を思い浮かべながらベットに横になり、

手を合掌し、目を閉じた。

人物乗っ取りアプリ

人物乗っ取りアプリ

広瀬ゆず

人物乗っ取りアプリ

承知いたしました。

人物乗っ取りアプリ

それではごゆっくり、お楽しみくださいませ♪

この時、私はあんな体験をすることになるなんて

1ミリも、思っていなかった。

人物乗っ取りアプリ(体験版)

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