きいてください
産まれた時から声が出せなかった
ただ声だけが出せなくて
小学校も紙に書いて話して
その中でいじめをうけて
それでも辛くはなかった
家の方がよっぽど悪い
家に帰っても誰も居ないような環境
母親1人だけだから、いつも1人
別に寂しくはなかった、慣れた
夜の八時過ぎに母が帰ってくる
ため息をつきながら夜食の準備
その姿を見て学んだ
『悪いことじゃダメだな』
なるだけ困らせたくない
毎日のことで手一杯な母親
前少し、気にかけた時があった
紙に書いて渡した、心配の言葉
母親は笑って言った
「大丈夫だよ」
と言った
そんな事を言ったその翌日
確り倒れた
予感はしてた、でも焦った記憶がある
結果的に言えば熱を発症 祖母を呼んだ
フリック入力では家族一である
もう高校に上がったのだが
そこはいわゆるバカ高
もちろんいじめられた
ノートを使うようになったから いつもそれを持ってたんだけど
見事に破られた
その次もその次も
もう無くなったから持つのは辞めた
小学校のいじめとは比にならない
教科書も机も何もかも酷い
泣きたい気持ちを抑えて雑巾を持った
雑巾で拭き始めたその瞬間
とある天使に出会った
雑巾と絆創膏、包帯を抱えたままで
手を差し伸べてくれた
『大丈夫?』
この言葉が嫌という程耳に入った
凛とした表情で優しく笑う彼女
急いで紙を取り出してかいた
「大丈夫」
そう書いたのを見せると彼女は笑った
『手伝うよ、傷いっぱいあるし』
彼女は雑巾を取りだし 汚れた机を拭き出した
立ち尽くしてしまった
いじめられてる人にこうやって
助ける事の出来る人はそうそう居ない
いじめっ子に知られたら彼女まで_。
「..できた、ちょっと残ったけど」
彼女は真っ黒の雑巾を床に置いて
椅子をこちらが座りやすいよう向けた
「座って」「手当てする」
言葉に甘えて座った 椅子が軽く軋む音が響く
「ふぅ〜!おだいじに〜!w」
彼女は手を合わせて笑ってくれた
その笑顔に一瞬だけ顔が赤くなった
唯一なかった感情が動き出す
紙に『ありがとう』と記入して見せる
「全然いいよ、どういたしまして」
スクールバッグを肩に背負い
「じゃあね!また明日!!」
と言って手を振ってくれた
振り返して考えた
なんで顔が赤いんだろう。
一瞬で矢を命中されたような気がした
何かがすっぽり入ったような、
異様な快楽と恥をかいた
数分ほど考えて決意を固めた
恋だ。きっと恋をしたんだ。
中学の時に知った、友達が
「恋したことなさそうだよね」
「オレあの子と付き合ったんだよ」 「おまえ経験なさそうだな」
男女問わず意見は同じだった
恋などしてる暇がなかっただけだ 別に欲しかったわけじゃない
でも彼女と出会ってようやく知れた
声が出せなくても、恋したし 彼女と絶対に、付き合いたい、。
高校での目標は、「彼女と付き合う」 に決定してしまった...。
続
コメント
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どうやったらええんや.. って思ってた..辛かった...
一人称を出さないのに苦労しました