めんたるぶれいくなう✌🏻

昼休み、僕は莉犬くんを 見送ったあと 1人で弁当を開ける

今までは莉犬くんと2人で 食べていたけど ただの友達が恋人に勝てる 筋合いは無い

一人で食べるなんて いつぶりだろうと考えていると

ドア越しに会長の声が聞こえた

気持ちを隠すように 平静を装う

期待が高まって 妙に体が固くなっているのが分かる

きっと僕の顔は今真っ赤だろう

予想外の言葉に つい間抜けな声が出る

変な期待をした僕が馬鹿だった

僕が渡した400円を 大事そうに握りしめ にぱっと笑う会長

いつか言ってた、 ｢生徒会室にいる時だけ 会長のスイッチが入る｣ とやらはどうやら本当らしい

今はまるで小さい子供を 相手にしているようだ

小さく手を振る会長の笑顔に 胸がドキッとする

人はギャップに弱いとか言うが 僕はその典型的な例なのだろう

会長は僕の弱さを知っているのだろうか

本当に罪な人だ

それからは 強いてあったことといえば 莉犬くんが浮かれて 帰ってきたことぐらいで

特に何事もなく放課後になり いつもの殺風景な生徒会室で 3人になった

昼休みの時の会長は どこに行ったのか、とも思うが

そもそも僕は会長のこういう テキパキしたところに惚れたから 寂しいとは思わない

会長から受け取った資料の 右下には小さく書かれていた文字

｢昼から気になってたんだけど 今日のころん ずっと寝癖ついてるよ かわいいね笑｣

確かに今日は少し寝坊して ヘアセットが適当だった

それでも寝癖はちゃんと 直したと思ったのに…

一日中寝癖を付けっぱなしだったこと

寝癖姿を会長に見られていたこと

そして何より最後の ｢かわいいね笑｣の文字

全てが恥ずかしくて あまりの衝撃に勝手に体が 椅子から離れる

最後に僕の目に映ったのは 悪戯っぽく笑う 会長の姿だった

昼間にトイレに行った時は 気付かなかったが

改めて鏡を見ると 確かに髪の毛がはねている

莉犬くんに 髪の毛をいじられること数分

器用に作られた編み込みに 綺麗に分けられた前髪

鏡の中には自分でも見たことがない 僕が映っていた

わざとらしく咳き込む 会長の顔は真っ赤で

でもきっと、 同じぐらい僕の顔も真っ赤なんだろうな

あーあ、もう会長 耳まで真っ赤っか

ゆでダコみたい

わざととしか思えないタイミングで 生徒会室を出ていく莉犬くん

伝えるなら今だ___。