出席番号順に答案が返されていく
教室が次第にざわつく
俺は彼女が燥ぎに来るのを待つ
古典の点数を見ては
緩む口元を抑えていた
榊 美 月
湊っ湊っ!
梶 原 湊
んー?笑
榊 美 月
古典どうだった!?
榊 美 月
赤点回避っ!?
梶 原 湊
おう、完璧!笑
榊 美 月
やったやったー!
嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる彼女
揺れる髪が余りにも綺麗で
何時も彼女には見惚れてしまう
榊 美 月
私何か付いてる?
梶 原 湊
あ、いや、嬉しくて
梶 原 湊
その、ありがとな!
榊 美 月
どういたしましてー!笑
奇跡的な赤点回避に教師は 詰まらなそうな安心した様な顔をした
榊 美 月
じゃあ遊ぼ!
梶 原 湊
何処にしよーかなー
榊 美 月
灯台見たい
梶 原 湊
うん??
榊 美 月
ねえ笑
梶 原 湊
灯台好きなの?
榊 美 月
見てみたいの
梶 原 湊
ふーん
梶 原 湊
いいけど
榊 美 月
いいの!?
梶 原 湊
美月が楽しいなら何処でも
榊 美 月
やったー!
梶 原 湊
灯台って何処にあんの?
榊 美 月
近くに海あるじゃん?
一昔前、失恋した日だっただろうか
静かな波音を聴きに行ったことがあった
梶 原 湊
あー、有るね
榊 美 月
其処に灯台も有るんだよね
彼女の瞳は矢張り綺麗だった
何かに恋焦がれている様な そんな瞳にすら見えた
梶 原 湊
じゃー、今週末はどう?
榊 美 月
いいの?
梶 原 湊
俺、美月との予定なら何時でもウェルカム!
榊 美 月
嬉しい!
榊 美 月
楽しみにしてるね
別れ際、彼女は白く細い手を 俺に向けてひらりと振った