さところ 「やくそく」

･nmmn ･幼児化みたいな表現あり ⚠️ころままクズになっております

この街に引っ越してきて3日目

今日は転校先の高校へ行って、 普通に授業を受けて帰っている所だ

そして、他のみんなと仲良くなれた ものの、みんな部活やらなんやらで 一緒に帰れる人はいなかった。

俺は何部にしよーかな、なんて しょうもないことを考えていると 道に迷ってしまった。

生憎学校でスマホを使いすぎてしまった為充電は0%だ。

時刻はもう5時。この季節だと ほぼ真っ暗だ。

どうしようかなぁなんて呑気なことを考えていると、小さな人影が見えた

暗くてよく見えないが、その子は かなり小さく、ランドセルを背負っているから小学生だろう。

こんな時間に何してるんだ？と思い、 見過ごす訳にもいかないので声をかけた

小学一年生といった所か。

小一にしては舌っ足らずで、 まるで3歳の子と話しているような 感覚になる

ダメだ、会話が成り立たねぇ

警察にでも言った方がいいのかも しれないが、交番なんてどこにあるのかも知らない。

面倒なことにならなきゃいいなぁと 思いながら、その子の隣に腰掛けた

「ん！」と手文字で6と表した

やっぱり6歳にしては言葉が 発達してないような気がする

誰だってこんな小さい子をこんな時間に1人にする人は居ないだろう

これから何か予定がある訳でもないしころんが宿題を終わらすまで待ってやることにした

宿題が終わっても椅子から動かない ころん。

時刻はもう5時半を回っている

そろそろ帰らないと俺が誘拐犯みたく なってしまう

そう言って指さす方は時計台。

その後は滑り台をしたりブランコに 乗ったりした。

俺も俺で、久しぶりにこんな遊具と 遊んで少しばかり楽しかったん だと思う

時間はあっという間に過ぎていき、 例の時計台が6時を知らせた

ｺﾞｰﾝ……ｺﾞｰﾝ……

ころんは俺に懐いてくれたようで、 帰路に着く頃には手を繋ぐよう言ってきた

※6時頃です

夕飯の美味しそうな匂いに 包まれながら並木道を歩く

ころんは毎日来ているようで、 「こっち」と自分の家を教えてくれた

小学生なんだから放課後に 友達と公園に行くぐらいあるだろう

しかしころんの話を聞くといつも 1人で来ているみたいだ。

いたい…とは、「痛い」だろうか？

それにしては終始笑顔だ。

どういう事だ？ 危ない･痛いと言う割にはニコニコ しているし、でもはっきりと 「家は危ない」と言うし……

仮に虐待だとして、高三の俺には 何も出来ない。

今日、それもつい1時間前に 出会った子だ。

会ったばかりの子どもを勝手に 保護施設へ連れていくなんてそれこそ誘拐になるだろう

引き取るなんて以ての外だ。

うっすらと人影が見える

染めた金髪の髪に派手なワンピースを 纏っているその女性。

とてもじゃないが大人しいころんの 母親とは思えなかった。

だがころんはあの人を母親だと言うし その女性もこちらは近づいてきた

なんだか妙に圧を感じる女性だ。

あっという間にころんの手は引かれ、 すぐに目の前から居なくなった

子どもがこんな時間まで帰って来なかったら普通心配するんじゃないのか？

第一声が、俺に関する質問。

違和感を覚えたが、俺も言うて今 迷子なのだ。

なんて、悪態を着きながら歩いていると、段々と知っている場所まで たどり着くことが出来た

次の日もなんとなくころんが 気になり、公園に寄ってみた

すると、公園に設置してある テーブルの上でせっせと何かしている ころんがいた

そう言って出来た宿題を見せてくる

その日も時計台の鐘が鳴る6時まで 一緒に遊んだ。

ｺﾞｰﾝ……ｺﾞｰﾝ……

俺はすっかり無邪気なころんのことが 気に入っていた。

ここで1人は寂しいだろうし、 俺も転校してきたばっかで遊べる友達も居ないから毎日こよっかな、なんて 考えていると、

繋いでいた左手をくいっと引かれた

そんな泣きそうな目で言われたら 誰だって毎日来ちゃうだろ笑

そう言って右手の小指を出すころん。

俺も小指を立てて、ころんの指と 絡める

ぎゅっ(？)

その日も一緒に帰っていたが、 途中であの母親らしき女性に会い、 ころんと別れた

ころん宅･寝室

バチンっと頬に痛みが走る

ママ…なんかいってる……

あれ…ママいっちゃうの……？

まって……まってよぉ…っ

ガチャ

あかないよ…？かぎしまってるのかな

もしかしてぼく… すてられちゃった、？

公園に来ることが日課になって もう2週間ほど経った。

この日はころんが公園にいなかった

予定があったか、体調不良か。

生憎いつもあの母親が途中でころんを 引き連れて帰ってしまうため、家を 知らない。

この後特に予定がある訳でもないのでとりあえず待ってみた

ｺﾞｰﾝ……ｺﾞｰﾝ……

結局、ころんが来ることはなかった

次の日も、その次の日も公園に ころんの姿があることはなかった。

ころんside

おなか…すいたなぁ…

さとく…あいたいな…

ガチャ

(パン渡す)

ころんが公園に来なくなって １週間が経った。

遊び盛りの小学生の事だ。

きっと、学校で友達がたくさんできて 放課後一緒に遊んだり しているのだろう

もしかしたら俺の事も公園の事も忘れて毎日を謳歌しているのかもしれない

寂しいが、ころんが楽しいなら それでいい。

所詮赤の他人だ。それが少し 仲良くなっただけ。

しかも俺ももうすぐ大学受験を 控えている。

正直、遊んでる場合ではないと 自分でも思う。

こうして、あの日交わした『約束』は 呆気なく終わった。

まま……ドアの向こうでおこってる…

また僕…なんかしちゃったかなぁ…

あれ……こっちくる…

ガチャ

やった、がっこういけるっ！

さとくにあえるんだっ！

やくそくやぶってごめんねって いわないと…！

なーく、ぼくすき

すっごくやさしいんだよ

おはなししたらだめ！

それくらいぼくでもできるもんっ

学校･職員室

おはなし、ダメ。

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ…ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ…

がっこうおわった！

さとみく！！

ころんside･(16時)

きょうぜんぜんおはなししてなかった のにつかれた…

おはなししないってつかれるんだ…

ー30分後ー

ーさらに30分後ー(17時)

ー30分後ー

いつもだったらさとみくんが いっしょだからこわくなかったのに

この人はななもり先生じゃないから おはなししてもいいかな？

ころんの意思を尊重したいが、 教師としては家に帰さないといけない

『ママが家にいるから帰ったらだめ』……？

それはつまり……

……虐待…？

ころんの母親からは体調不良と 連絡があった。

ころんが小一にしては発達が遅れているのはこれが原因か。

とりあえずなーくんに連絡して、 母親と距離を置こう。

多分服の下にはアザとかできてそうだし、それを証拠に警察に母親を突き出してあわよくば逮捕。

なーくんに連絡すると、なーくんが 何とかしてくれるそうだ。

何とかしてくれるって……こわ…笑

ころんはとりあえずなーくんの家で 預かってもらうことにした。

　それから数日後、母親は 逮捕とまではいかなかったものの ころんと距離を置くことになった

ころんはなーくんの家で過ごし、 俺もちょくちょく様子を見に行って いたりした。

母親と距離を取ったことでころんの ストレスは消え、元気にすくすく 育ってくれた。

だが昨日、急にころんが思い出したかのように『公園に行かないと』って 言い出した。

ころんはベンチに座って、 俺となーくんも近くに座る。

さとみくんって人の事がすごく 好きらしく、ずっとキラキラした目で 公園の外を見ている

ｺﾞｰﾝ……ｺﾞｰﾝ……

結局、さとみくんって子は来なかった

あの日から3年。

さとみくんって子はもう大学生だろう

この辺はド田舎だから大学は 隣町にしかない。

つまりさとみくんがここに来ることは ないということ。

もうころんも小4だから1人で 公園に行くようになった。

今日もころんは、 誰もいない公園で大好きな人を 待っていた