貴方
お前って呪いとか信じる?
彼の言葉は突然だった
私
非科学的な事なんて信じるわけないでしょ
冷たく返すと 彼は予想通りムッとする
子供っぽくて飽き飽きしちゃうわ。
貴方
お前は相変わらず真面目だなぁ
貴方
昔と変わらずに…
薄ら笑いを浮かべた貴方
なんて人聞きの悪いことでしょう?
幼なじみとして恥ずかしいわ。
私
貴方の思い通りに生きた記憶はないわ。
貴方
相変わらず冷たいなぁ
貴方
もう少し暖かくなっても良いんじゃない?
私
貴方のくだらない話に暖かくなる訳無いじゃない
やっぱり私は冷血漢
愛想が悪い? なんとでも言いなさいよ
貴方
じゃあ、魔法は?
懲りない彼は質問攻め
鬱陶しいわね、帰ってちょうだい?
私
だから、そんな非科学的な事なんて信じるわけ──
貴方
じゃあさ、魔法かけよっかな
私
は?
突然の彼の言葉に困惑する
魔法なんてかけられる訳 無いじゃない
貴方
ひとつめ、暖かくなる魔法
その言葉と同時に
私を抱き締める彼の腕
私
バカなんじゃないの
貴方
バカって言った方がバカですー
ふざけた言葉
変わらないわね、子どもらしい
貴方
暖かくなった?
耳元で彼の声がする
なんだか恥ずかしくなった私は 早口で返した
私
ならなかった事もないわ
貴方
ずいぶんと回りくどい言い回しだね
私
うるさいわね!
貴方
はいはい笑
私の必死の言い返しも
クッションみたいに包まれてった
貴方
じゃあ、二つ目の魔法
私
まだあるの
貴方
いいから
彼はいつも以上に落ち着いていて
それが私の調子を狂わせる
貴方
一生大切にするから
暖めていた腕をほどいて
貴方
一生隣にいてくれませんか?
光輝く指輪を差し出して
私と向き合って放った言葉
私
一生、私を暖めてくださいっ─