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テラーノベル(Teller Novel)

仁さん

…。

仁さん

"元親子"って言ったら、

仁さん

どう思う?

玲花

…。

玲花

元…"親子"……?

元親子?

ということは…。

玲花

松本と血のつながりがあるってこと、?

玲花

「元」ってことはもう離婚したってこと、?

玲花

えっ…えっ…?

また、パニックに陥る。

玲花

どういうこと?え?

仁さん

とりあえず落ち着いて欲しい。

玲花

無理だよ、落ち着けるわけないよ。

玲花

教えて。どういうことなの。

仁さん

…玲花の家はたしか〇〇のほうだったか?

玲花

そうだけど…

仁さん

今からそっちへ向かわせてもらう。

仁さん

直接会って話がしたい。

玲花

わかった。私もすぐ行く。

玲花

すぐそこの駅前でいい?

仁さん

わかった。

ツー、ツー

すぐさま電話を切り、 私は軽く身支度を済まし 外に出た。

玲花

ハァッハァッ

駅まで早くてあと5分。 もっと体力をつけておけばよかった。

ドンッ

玲花

ひゃぁっ…!!

仁さん

すみませっ…って…!

玲花

!!

玲花

仁さんっ…!

ぶつかった相手はまさかの 仁さん。 なんだか初めて会った日のことを 思い出してしまった。 …でも、今はそんなことは どうでもよかった。

私は仁さんに聞きたいことが 山ほどあるのだから。

玲花

……。

考えれば考えるほど、 嫌な憶測ばかり出てくる。

仁さん

その……うーん………

玲花

…私の家がすぐそこにあります。

玲花

家の中でお話ししましょう。

仁さん

いやいやそんな…

玲花

いいから。

仁さん

………はい。

この時私は、 どんな顔をしていたのだろう。 怒った顔?悲しい顔? なんにせよ、 いつもの自分でいるのには 流石に無理があった。

玲花

逃しませんから。絶対に。

仁さん

逃げるつもりはないよ。

玲花

どうぞ。

仁さん

ありがとう。お邪魔します。

玲花

こちらへどうぞ。

玲花

こちらへどうぞ。

私は家具がほとんど置いていない、 質素な部屋に通された。 置いてあるのは 机1つと椅子3つだけ。

玲花は一人暮らしなんだね。

玲花

はい、高校生になってから。

玲花

そこにお掛けになってください。

あぁ、ありがとう。

玲花

なにから聞いていいのか わからない。

玲花

……。

玲花

…あなたは…私が嫌いですか…?

玲花

無意識に聞いてしまった質問。

仁さん

…嫌いなわけあるか。

仁さん

1人の人間として、大好きだよ。

玲花

…そうですか。

仁さんらしい返答。 私はすかさず次の質問へと うつろうとするが… そう簡単には聞けなかった。

もしも自分の嫌な憶測が 当たってしまったら…? そう考えてしまうのだ。

玲花

……。

仁さん

仁さん

まだ私が生まれて2歳くらいの頃だったかなぁ

玲花

え?

仁さんが喋り出す。

仁さん

これが意外と記憶に残っているもんでね、

仁さん

母親は優しかったものの、父親は気が短く、すぐ怒る。

仁さん

両親はいつも喧嘩ばかりしていた。

仁さん

決して、仲睦まじい家族などではなかった。

おい!飯はまだなのか!

あと10分ほどかかります💦

はぁ!?ふざけるなよ!

早く食べたいのなら手伝ってください

俺は仕事で疲れてるんだ!!

私だって仕事をして帰ってきてるんです!

なんだと!?!?

俺は教師だぞ!!
偉いんだぞ!!!

なによそれっ…!

仁2歳

…。

じっ、仁!

ごめんね!💦
怖いよね!

仁はあっちで待ってなさい
すぐご飯作るからね…!

は"ぁ"〜〜…

だいたい盲目の子供なんて…

あなた!それ以上言わないで!

仁2歳

モウモク……。

この時から、自分は"モウモク" なんだと理解していた。 モウモクの意味はわからなかった けれど、あまり良いもの ではないというのは なんとなくわかっていた。

それから3年後…

そこでやっと、母親の 堪忍袋の尾が切れた。

…もういいです。離婚してください。

お願いします…。

お前には失望した。

すみません。

仁2歳

ママ…?なんの話?

もうね、パパとはバイバイなの。

仁2歳

バイバイ?

そうよ。

もう会えないの。

仁2歳

……。

会いたくねぇよ、こっちから願い下げだ。

ちょっと!!
やめてちょうだい!!

両親は最後まで喧嘩をしていた。

そこから月日は流れ、 私は今の年齢となった。

遭遇してしまったんだ。 もう二度と会うことはないだろうと 思っていた、自分の父親と。

それは何気なく、学校の前を 通った時だ。

「まつもっちゃん!さようならぁ!」

そんな声が聞こえた。

その時は人違いだとは 思ったんだが、なにか 惹かれるものがあった。

松本先生

はいはいさようなら〜

…!?

どこかで感じたことのある、 気持ち悪いほど濁った 『不幸』

それは1人しかいなかった。

松本…潤?

私は気づいたらその名前を 口にしていた。

【松本 潤】 私の、父親の名前。

松本先生

松本先生

何か言いました?

あっ、いえ、なにも…

松本先生

そうですか。

松本先生

……あ〜!

松本先生

君のことどこかで見たことあると思ったら…うちの子供にそっくりだ!

松本先生

うちの子は生まれつき盲目でねぇ!

…そうなんですか

(私のことか…?)

松本先生

今頃家にでも引きこもってんじゃないのかなぁ!はははっ

なっ…!

松本先生

君は強く生きなよ!

絶望した。 こんなことをサラッと言える アイツの神経に。

正直今すぐにでも怒鳴りたい。 「ふざけるな!」って、叫びたい。 そんな気持ちを飲み込んで 私は返事をする。

…今は家族の方と離れて暮らしているんですか?

松本先生

あぁそうなんだよ!妻が浮気してなぁ!参った参った

……

そうなんですか……

松本先生

でも俺はやっぱり心配で…だからよくメッセージを送ってやってるんだ!

松本先生

今も元気に仕事やってるってよ!

へぇ…お優しい……

…。

嘘だ。 母親は2年前に 病気で他界してしまった。

コイツは…他の人にも こんなデタラメを言っているのか?

許せない。

絶対に。許さない。

……ポツッ、

松本先生

あ、雨だ。

松本先生

それじゃあ私は校内に戻りますんで

……はい

"またどこかで"

ここで、私はアイツへの 復讐を決意した。

"あんなこと"をしておいて ここまで人はのうのうと 生きられるんだ、と思った。

家に帰り、ずっと、ずっと、 ご飯もまともに食べずに アイツについて調べ続けた。

あ、これじゃないか!

私は盲目で目は見えないから パソコンなどでの調べ物は 中学で少し関わったことのある 友人?に協力してもらった。

元々人とのコミュニケーションは 苦手だったから、 唯一喋れるのが その人だけだったのもある。

フェイスブック、フェイスブック…

あ!これか、?

松本 潤。 46歳。 ××高校、テニス部顧問。

あぁ、それだ

えーと…××高校のホームページを開いて…

おっ、これは?

《在校生》 教師の差別が少し酷いです。 一度スクールカウンセラーさんにも 相談をしたのですが 当てにされませんでした。 言葉遣いも失礼極まりなかったり してました。 通りがかりの盲目の男性に 酷いことを言っていたり。 決して全員がそうなわけじゃ ないと思いますが。

だってよ

!!

これは…私のことだ。

マジか

あぁ。

…たしかに近くに1人、誰かがいた気がしたんだ。

へぇ〜、お前ほんとすごいな。
よくわかるもんだ。

舐めてもらっちゃ困るよ笑

その後もずっと、 調べ続けた。

仁さん

そんな時に君に"また"会ったんだ。

仁さん

玲花。

玲花

!!

仁さん

あの文を書いたのは…君か?

玲花

ッ…。

玲花

………そうだよ。

今の話だけで、 仁さんがどれだけあの男を 憎んでいるのか 痛いほど伝わってきた。

でも1つ、私の中で 引っかかるものがあった。

玲花

…仁さんは、

玲花

今までどんなことをされてきたの?

仁さん

…というと?

玲花

確かに 夫だからって奥さんに酷いことをたくさん言って、離婚してからものうのうと嘘ばかりついて生きていたら、私だって怒る。

玲花

でも、それだけでそこまで彼を恨むのにはもっとなにか酷いことをされたはず。

仁さん

ほう…玲花も自分の意見をはっきり言うようになったな。

仁さん

…それ、一緒に調べてくれた友人にも言われたよ。

「なんでそこまでして 復讐しようとするんだ? 母親を悪く言われただけだろ?」

仁さん

って。

玲花

……。

仁さん

…曾祖母に、

玲花

仁さん

曾祖母に雑用ばっかりさせて足を悪くさせたのはアイツだ。

玲花

仁さん

生活費を何度もギャンブルに溶かしたのはアイツだ。

仁さん

祖母に何百万もの金を借りて返さなかったのはアイツだ。

仁さん

祖父を鬱状態にさせたのもアイツ。

仁さん

学校の不登校者を増やしたのもアイツ。

仁さん

仁さん

この目の傷も……

「アイツがつけたんだ。」

仁さん

…本当は事故なんかじゃない。故意的にだ。

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