デビルズパレス 主の部屋
ドアの前に
誰かの気配が現れる
ラト
気がつくとわたしは
いつものように主様のベットに
丸くなって寝ていました
ラト
腕の中に抱いていた主様のシャツは
くしゃくしゃの白い布に なっていましたが
懐かしい香りがしました
ラト
わたしは
ドクドクと早まる心音を押し殺し
ベットの縁に座って
部屋の扉を見つめました
ラト
主
主
主様は大きく伸びをしながら
部屋に入ってきました
ラト
主
主
突然声をかけられた主様は 少し驚いた様子で
私の名前を呼びました
ラト
主
主
作り物の呆れ顔をしながら
主様はこちらに歩いてきて
そのまま私の隣に
腰を下ろしました
ラト
主
主
主様はそのまま
わたしの頬を片手で包み
人差し指で線を引くように 瞳の下を撫でました
主
口の端を釣り上げるように
主様は笑いました
ラト
主様が触れている部分から
じわりと吸い上げるように
主様の体温が自分の中に 流れこんできました
それと同時に
ドクドクと体が脈打つ音が 強く響きました
ラト
ラト
わたしは
その大きく少し骨ばった手に 頬を擦り寄せ
その手を包むように自分の手を重ねました
そして
ラト
ラト
薄く柔らかなその手の甲の皮膚に
主
少し血が滲むくらいの加減で爪を立てました
ラト
主
一瞬痛みに歪んだ顔も
徐々に光悦な微笑みが 浮かび上がってきました
ラト
ラト
ラト
主
ほんのりと赤く紅潮した顔が
息のかかる距離まで迫り
主
主
低い声が優しく耳をなぞっていきました
主
主
主
歪
ラト
ラト
ラト
ラト
爪を立てた箇所から
ラト
何かが垂れ落ちる感覚がありました
ラト
ラト
ラト
わたしは主様の手を放し
ラト
真っ赤に染まった指先にキスをした
ラト
酷い隈が出来た主様の目元が 嬉しそうに微笑みました
主
主
主様はベットに寝転び
誘うようにこちらに視線を送りました
ラト
ラト
わたしは無防備にさらされた体に 覆いかぶさりました
主
主様はわたしの手を取って
自らの首にわたしの手を導くように 置きました
ラト
主様の首に添えた手は
無意識に輪郭をなぞるように首を覆い
しかしわたしを先導した本人からは
生きようと必死に脈打つ音が なだれ込んできました
主
それは主様の口癖でした
ラト
爪をたてながら手に少し力をくわえると
主
ピクっと横たわった主様の体が 跳ねました
ラト
主
小さなうめきとともに
主
主
ラト
また何度か体がピクっと痙攣しました
ラト
ラト
主
うめき声が大きくくなる
ラト
ラト
主
ラト
ラト
ラト
主
ラト
ラト
主
主
ラト
主
わたしははっと我に返り
主様の首から手を離しました
ラト
主
激しく咳き込む主様に
思わず手を伸ばそうとしたとき
ラト
主様の指が
わたしの瞳の下をなぞりました
主
か細い声が
わたしの名前を呼び
主
主
いつの間にか泣いていたわたしの涙を
主様は優しく拭き取り
微笑みました
ラト
わたしはまた
その手を包むように自分の手を添え
頬を擦り寄せました
ラト
ラト
嗚咽の混じった声で
必死に主様を呼びました
主
たしかに掴んだはずの骨ばった手が
ぬくもりが
主
溶けていく
ラト
主
ラト
ラト
主
ラト
涙で揺れる視界がどんどん輪郭をなくし
意識が徐々に遠のく
ラト
ラト
ラト
わたしの声とともに
意識は次第に溶けてなくなった
つづく
コメント
5件
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙めっちゃ尊い☆