呼吸するのも

食べることも

話すことも

「めんどくさい」

そう思っていた

“アイツ“に出会うまでは_____

にいちゃんから貸してもらった体操服を抱えながら

一階に降りていた

俺が虐められても学校来れたのは

無遅刻・無欠席を守るためだ

簡単に言えば意地みたいなもの。

だから何としてでも授業に間に合いたかった

なのに…

階段の角に人がいるとは思わず

その人の背中を蹴ってしまった。

その拍子に、その人が持っていたゲーム機が階段の下へ飛んでいった

そんな事を考えていると

その人は、下に飛び足でゲーム機をキャッチした

超絶トラップをしたのにも関わらずその人はまたスマホを始めていた

ゲーム機からは悲しげなBGMが流れる

その人は俺を無表情で見ていた

なんだそれ…

お金…？

俺は今朝兄からもらったものを思い出した

その人は疑問に思いながらも手をゆっくり出した

男の人は飴を少し掲げてじっと見ていた

ちょっと変わってる人だな…

覚え方がワンパターンだ…

そう言い残し

授業だと言う事を忘れていた俺は

慌てて校庭に行き

無事に遅刻した。