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わぁぁぁぁぁぁ、感動!! いい仲間を持ったね世一!!まさか最後がカイザーだったなんて!✨ 思ってもなかったよ〜!! 【世一のこと嫌いですけど味方です】 この台詞が好きすぎる🫣
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「 ふッ、ふーッ 」
明確な “ 夢 ” が定まった俺は、帝襟さん達に隠れて自主練をする事にした。
今は部屋で腕立て中だ。
次は皆に見つからない様にトレーニングルームへ行く。今は午前 6 時。誰も居ないはず ──
「 ぁ、潔ッ! 」
「 ぁちあッ!? 」
「 潔が居ると聞いて急ぎました! 」
びしっ、と敬礼を決めて微笑む蜂楽。
この前から部屋越しに少し話す様になって、対面で話すのは今日が初めてだ。
「 …ぁ、あぉさ、 」
「 どーしたの?らしくないぞー! 」
「 ぉ”め、… 」
と、事情を話す。
「 そんな事?いいのいいの!また作ればいいしー♪ 」
糸電話の紐をちぎってしまった事を話すと、意外にもあまり気にしていない様だった。
「 あれ作るの楽しいんだよー♪ 」
「 ひぉ、むすぃあ、 」
この前紐を結ぼうとしたが細かくて中々出来なかった。
「 俺に貸してみなーッ!! 」
ちょ ちょいのちょい、と言う言葉が似合いそうな手際で結んでいく。
少し不格好な小さいリボン結びだった。
蜂楽らしいな、と少し声を出して笑ってしまう。
「 ぁーあーッ、聞こえますかーッ! 」
「 きぉえまーすッ! 」
「 潔ー!大好きだよーーー!!! 」
「 ぉえもー! 」
こうして糸電話越しに話す事なんて、前までの俺なら想像も出来なかっただろうな。
〈 がたんッ
…と、少し大きい物音が。
「 …だれ? 」
「 …俺隠れて来てるからやべぇかも ( 🙌🏻 」
「 みーーーーっけたッ!!って、ぇ、? 」
扉の向こうを覗いて目を見開く蜂楽。
何があったのか、と俺も見ると ───
────── 目元を赤くしたカイザーが。
「 世一ぃぃぃぃぃぃッ!!!!!!! 」
ぎゅッッ、と潰れそうな程の力で抱き着かれる。
「 ぃ”って”、はなぇ、ッ 」
「 寂しさでクソタヒにそうだったぞ… 」
「 んもーッ、潔は俺のだって!! 」
ぐぐ、ッ、と蜂楽が俺をカイザーから引き剥がす。
「 そもそも練習してる事先に知ったの俺だろ、クソ黄頭 ( む、 」
「 先に来たのは俺ですー ( ふふん 」
と、子供の喧嘩の様な屁理屈を並べて口論する2人。
─ と、扉の向こうで少し震えている帝襟さん。
「 …ぁ、ぁちあ、かいぁー、 」
「 …蜂楽君、カイザー君、来なさい。 」
「 …ぁ”、 」
「 …アンリちゃーん、許してよ、ね、? 」
それから2時間後、2人はしょんぼりした顔で戻って来た。
「 潔君、明日試合ですからねっ! 」
帝襟さんは何故かスッキリした顔で俺に伝える。
「 出れるんですか!? ( 🙌🏻 」
「 絵心さんとノアさんからの許可が下りました! 」
─────────── 次の日。
「 ~~~~~♪ 」
「 ご機嫌だなぁ、世一ぃ♡ 」
「 だって試合出れるんだぞ!? ( 🙌🏻 」
「 3ヶ月ぶりの試合…幸せ… ( 🙌🏻 」
「 本調子取り戻せたら良い方やね 」
「 ガチでメタ・ビジョンも使える様にならねぇと… ( 🙌🏻 」
「 潔ー、やっほー 」
「 ぉーッ!やっぉーッ!! 」
今日の試合はイングランド戦。
久しぶりの試合ともなるとやっぱり思う様にはいかなくて ───── …
「 はー、はーッ… 」
「 ぁ”ーくそ、あのゴール決まったでしょ… 」
それでもカイザー達で何とか勝利。
「 世一ぃ、バグー♡ 」
「 ッ、なんぁ、? 」
「 今日の得点王の俺にクソご褒美はー? 」
「 はぁー… ( 軽抱 」
今日はカイザーが居たから勝てたと言っても過言ではない。
それからBLTVは、これまで以上に荒れていた。
「 …、ぁ、 」
[ 潔選手耳聞こえないってマ? ]
[ ただ邪魔なだけだろw ]
[ 見てたけど足手まとい過ぎる ]
[ もうサッカー辞めろよww ]
…と、俺に関する事で荒れに荒れていた。
「 …へぁ、いぉ、 」
1人じゃ心細くなってしまった俺は、皆の居る寮まで行く事にした。
「 …なぁ、あいつ…w 」
「 噂の “ 難聴君 ” じゃんw 」
「 うわ、ガチでイヤホン違うんだww 」
「 さっさと出ていけばいいのになーw 」
と、目の前から歩いて来る知らない人に、大きい声で噂される始末。
─────── こんな事は、昔にもあった。
『 よっちゃんヘンなのー! 』
『 おみみ、きこえないの? 』
『 こらッ__ッ、ごめんね、世一君 』
『 ぃあ、ぁぃりょーぅ、 』
『 …あんな子と遊ばせてたら気分悪いわ 』
『 いっその事引っ越せばいいですよねーw 』
『 …そうだ、──────── 』
─ その日から俺の家には、嫌がらせが続く様になった。
『 …世一、ごめんね…ッ、 』
と、泣きながら謝る母さんの姿と、
『 …世一、引っ越そうか 』
と、眉を下げて笑う父さんの姿は、
今でも忘れられない。
「 …世一? 」
「 …、ねぅ、? 」
「 何で泣いてるんですかッ、!? 」
「 へ、 」
「 うっわ、キモー、被害者気取りかよw 」
「 …成程、そう言う事ですか… 」
「 …おい 」
と、眉を下げるネスの姿とドス黒く響く低音。
その瞬間、視界が真っ暗になる。
「 あのさぁ…辞めよーよ、そーゆーの 」
「 君らのが十分キモイんだけど… 」
「 こら凪、そんな真っ直ぐ言ったら駄目だろ 」
「 まーまー、図星だろ、見てみあの顔w 」
「 …潔君の苦労知らないでしょ、 」
「 影でコソコソ言うくらいやったら真正面から行こーや、なぁ? 」
「 …ネス、頼む 」
「 嗚呼、程々にですよ 」
と、俺の耳も塞がれる。
それから数十秒後 ───────── …
「 潔、大丈夫? 」
急に真っ暗だった視界が明るくなり、音が聞こえる様になる。
「 …大丈夫か、? 」
「 へ、みぅぁ、? 」
もうそこには、先程までの人は居なかった。
「 …怖かったよな 」
と、俺の目を塞いでいたらしい千切が優しく頭を撫でる。
「 もっと頼ってくれても良いんやで?笑 」
「 …僕は世一の事嫌いですけど、味方です 」
「 ~~ッ、 ( ぼろぼろ、 」
途端に堪えていた涙が溢れてくる。
「 よしよーし、潔ちゃーんッ! 」
「 …世一ぃ、泣くなよーw 」
と、暖かく包まれる。
嗚呼、皆俺の為に。
俺だけの為に。
俺を大切にしてくれている。
「 ぁ、潔 」
凪が俺の頬を突く。
「 これ、拾ってきた 」
と、前は手紙と共に渡された花をくれる。
そういや、前にもドイツである男の子に貰った様な ──── … ?
この花は…、
『 きぃろのがーぇらッ!よいち、あげるッ! 』
と、ボロボロの手で俺にくれた花。
──── そうだ、これは ─ …
「 …きぃお、ぁ”ーえら、 」
「 あれ、知ってた? 」
きょとん、と目を見開く凪。
「 昔、男の子に貰って ( 🙌🏻 」
「 へぇ…どんな男だった? 」
にや、と笑って聞くカイザー。
「 綺麗な、切れ長の目の… ( 🙌🏻 」
「 ぁ、? 」
そこで、俺はある事に気付く。
綺麗な顔立ちも、切れ長の目も、目尻に浮かぶ赤い跡も、黄色の少し長い髪色も。
全てが、カイザーに似ていた。
「 …そいつの名前、覚えてないか? 」
『 おれ?みひゃッ! 』
『 みひゃえる、かいざーッ! ──── 』
まさか。
「 …かいぁー…? 」
「 は、やっと気付いたか 」
その時俺に綺麗な黄色のガーベラをくれたのは、もう1度会いたかったあの男の子は、
「 …カイザー、おめでとーー!! 」
「 やっと気付いたかーw 」
「 意外と鈍感だよね、潔って。 」
「 何で知って…ッ!? ( 🙌🏻 」
それから今までの事を聞いた。
皆はカイザーから話を聞いていたらしい。
凪が黄色のガーベラをくれた理由は、俺にその事を思い出させる為らしい。
「 ふは、ありぁとッ! 」
他の言葉よりも練習した “ ありがとう ” 。
まだちゃんとは話せないけど、ちゃんとは伝わらないかもしれないけど、少し怖いけど、
俺の事を気遣って、考えてくれた皆なら、
遠慮なく話せる。
” コイツらなら伝わる “ 、と確信が持てるから。
「 ぁ、 」
なぜか咲いていた、オドントグロッサムという花を摘んで、皆に差し出す。
「 くれるのか? 」
「 んッ!ありぁとッ! 」
貰った分の花を、気持ちを、言葉を、返す様に。
俺は、俺なりに、ちゃんと恩返しをしていく。
難聴が再発して、最初は神様を恨んだ。
” 何で俺なんだ “ って、” わざわざ再発なんて “ って。
それでも、今は違う。
この耳は、神様からの贈り物なんだと思う。
不器用な俺が、人の優しさに気付きやすい様に。
不器用な俺が、精一杯の想いを仲間に伝えられる様に。
だから俺は、今に懸命に向き合っていく。
” 今まで以上に、誰よりも凄いエゴイストになる “
という明確な夢を持って。
大切で大好きな仲間と、いつまでも一緒に居られる様に。
俺は、今を生きる。
サッカーと、仲間と、夢を握り締めて。
── 🌍🐝⛓️🦈 E N D 🧊🎮🥀🪄 ──
黄 色 の ガ ー ベ ラ … 優 し さ
オ ド ン ト グ ロ ッ サ ム … 特 別 な 存 在
( 作 央雅 )