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ゆきのはな

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7.【百と八つの悪しき魂】

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2023年04月11日

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雪乃は美希に向かい合う。

苦しそうに呻く友人に、雪乃は近寄る。


「…お前、入る身体を間違えたな」


雪乃はいつもと違う、鋭い視線に冷たく抑揚のない声をだす。


「私のものに手を出したこと、後悔させてやる」


エーフィが雪乃の側で水晶を光らせる。


「*ジャマ…スル、ナァァァァ!!!*」


美希のものかどうか分からない地を這うような恐ろしい声が周囲に響く。

途端に衝撃波が起こり、周りのものを吹き飛ばす。


「”サイコキネシス”」


雪乃の一言にエーフィがその場から動くことなく技を放つ。

美希は見えない力に拘束され、動けなくなる。


「今だ委員長!こいつの正体を見破って!」


雪乃は叫んだ。

瀬戸はそれに応えるようにモンスターボールを投げる。


「いけっ!ガーディ!」


ボールから出てきたのはこいぬポケモンのガーディ


「ガーディ、”みやぶる”!」


瀬戸の言葉にガーディは「ガウ!」と鳴いた後美希の側を嗅ぎ出した。


すると美希の頭の上に、そいつは正体を現した。


「あいつは…!!」

「ふういんポケモン、ミカルゲやな」


驚くチーノの隣で冷静に答えるショッピ。

何故こんなところにミカルゲが。


ふと雪乃は思い出す。


「そういえば委員長、裏山になんか封印されてるって言ってたよね?」


「そう、それこそこのポケモン、ミカルゲだよ…何故封印が解かれたんだ」


雪乃は後ろを見る。

怯える男子生徒と目があった。


「ち、違うんだ!僕じゃない!言われたんだ、あいつらに!!じゃなきゃ、僕の居場所はないって、脅されたんだ!!」


「だから、何を言われたの」


雪乃の冷たい視線に、ビクリと肩を震わす男子生徒。


「…う、裏山にある“お札”を取ってこいって」


その言葉にその場の誰もが納得した。

それで封印が解けたのか。


「*ヨコセ…ヨコセ!!!!*」


美希、いや美希に取り憑いたミカルゲはその言葉を繰り返す。


「キミ!お札を持ってるのかい!?」


「も、持ってます…」


男子生徒は懐からお札を取り出した。

古いもののようで、色褪せ今にも破れそうだ。


「なんでずっと持ってたんや」


「す、捨てようとしたよ!でも必ず僕の元に帰ってくるんだ!それにずっと何かに追われ続けるし、怖くて、…もう嫌だ、誰か、助けて…」


お札を握りしめ俯き頭を抱える男子生徒に、雪乃が近寄る。


「わかった」


ただ一言。雪乃は男子生徒の前にしゃがみ手を差し伸べた。


「もう大丈夫だから」


男子生徒は涙目で雪乃を見上げながら、その静かで力強い声に少し震えが収まった気がした。

そしてその手にお札を渡す。


「…さぁやろうか、委員長」


立ち上がり瀬戸の方へと顔を向ける雪乃。


「全力でサポートするよ、草凪さん」

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