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リタが部屋を出ていったあと。

(はあ……どうしてこんなことに)

何の考えも浮かばず、リタに従うしかない自分が無力で悔しい。

(もしユージーン王がリタと私の違いに気づいてくれなかったらどうしよう)

リタには信じていると強気で反論したけれど、不安はある。

同じ顔で、かつ私の服を着ているリタ。

そばで観察していたなら、リタが私のフリをするのも簡単なはず。

ユージーン王がリタを連れていく光景が浮かんで、急いでその悪い想像を消した。

(自分で言ったんだから、ユージーン王を信じないでどうするの。……けど、待つだけじゃ余計なこと考えちゃう。何か他にできることがあれば)

せめて、この腕の縄を解いてもらいたい。

そう思って、同じ位置から少しも動かず、黙って立っている魔術師に話しかけた。

「この縄には、あなたの術がかけてあるんですよね。……緩めてもらえませんか?きつくて痛いんです」

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